【第4回】あいまいな語句を確認する

ゴールと手順を決めたら、手順にそって早速議論を開始しましょう。発案者のプランの内容を一つずつ確認して、そのプランが本当にメリットを生み出せるかどうかを検討します。

その際、ディスカッションではくどいほど行われるのが、あいまいな語句の確認です。例えば、発案者の提示したプランの内容が、

現状「駅に点字ブロックが少ない」
問題「目の見えない人が、線路に転落する」
プラン「点字ブロックをつけよう」
メリット「目の見えない人が、線路から転落しない」

であると仮定します。ずいぶん単純なプランですが、このくらい単純でも、怒涛の「あいまいな語句確認」があります。

「駅って、電車の駅だけ?バスの駅は?」
「点字ブロックとは?」
「目の見えない人って、全く見えない人だけが対象なのか、弱視も含まれるのかどっち?」

いやそのくらい、わざわざ聞かなくてもわかるだろう、ということであってもしつこいくらいに確認をします。ここで議論をしているメンバーに認識の差があってはいけないからです。とくに、最後の「全盲のみか、弱視も含まれるのか」は、認識が食い違ったままだと議論がうまく進まない可能性が高いですね。

私たちも日常生活では、なんとなくみんなが知っているつもりで言葉を使ったり、キチンと定義せずに言葉を使ったりします。「あそこのコンビニで待ってて」と友達に伝えたのに、自分が思っていたのと違う場所で待っていたとか、「去年の売り上げさ…」と切り出したのに、部下が想像していたのは売り上げではなく利益だった、とかいう経験はありませんか?

一つの単語に対するみんなの認識が異なっているかもしれない、という前提に立ちましょう。どんなに馬鹿げて見えても、一言一句確認するだけの価値があります。

ここで、あいまいな言葉を定義するのに、いくつかの方法があります。
1.辞書的な定義を持ってくる
2.文章で表現する
3.判断基準を置く
この3の「判断基準」は他でも使えるアイディアなので、確認しておきましょう。

AかAでないか、それを分ける基準を設けることで、Aをより明確に表現することができます。おでんかおでんじゃないかを分ける基準に「ちくわぶが入っていたらおでん」を置いたら、おでんの範囲がものすごく狭くなりそうですね。点字ブロックを使ってほしいターゲットを確認するのに「見えるか見えないか」ではまだあいまいですね。「障害者手帳を持っているか」とか「白杖を持っているか」とかにしないと、弱視の人を対象にすることができなくなってきます。このあたりは、実際に議論するとなると、1.のように辞書的な定義や、公式のガイドラインなどを確認する必要がある場合もあります。

ディスカッションでは、メンバー皆が理解して、皆が同じ物事について考えることができるように、細心の注意を払う必要があります。日常的な会議や話し合いにおいては、新人や外部の人も正しくイメージできるよう、用語の定義づけを徹底してみましょう。

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