【第3回】ゴールと手順を決める

発表者が決まり、現状~メリットを得るまでの過程の説明が終われば、次に行うべきは「ゴール」と「手順」を決めることです。

ゴールを決める

ゴールとは「何が決まったらこのディスカッションは終わるのか」ということです。だいたいの企業や学校での会議がぐだぐたと長引くのは、このゴールが決まっていないことが原因です。

「企画を通すかどうかを決める」とか「今月の目標数値を決める」とか、ゴールを達成できたかどうかが一目でわかるものを設定しましょう。あまりよくない例としては「みんなの意見を集める」や「みんなに理解してもらう」などです。

ディスカッションの場合、ゴールは常に同じで「発表者の提案したプランをとるか、とらないか」を決めることです。発表者の案にだれも反論がなく、メリットがデメリットより多いことを確認できればプランをとる、確認できなければプランはとらない。これだけです。

ポイントは後者の「確認できなければプランをとらない」ですね。これには、3つの可能性があります。

1)プランが成立しなかった
現状確認の段階で、そのような現状は存在しない、ということがわかってしまった場合や、提案したプランに実効性や実行性がないことが確認された場合、このプランをとることができません。よってプランをとらない、が結論です。

2)メリットよりデメリットのほうが大きい
プランが成立して、メリットを得られることがわかっても、他のメンバーから出されたデメリットのほうが大きければ、プランをとることはできません。

3)時間がなく、プランが成立するかどうかが確認できなかった場合
はい、これが重要です。ディスカッションの時間は3時間、この時間内にプランの確認ができなければ…延長はありません。そこで(建前としては)一時的な結論を出します。プランの内容が十分確認できていないので、結論は自動的に「プランをとらない」となります。

こうやって、いかなる場合でも、話の途中でも、時間がきたら結論をいったん出します。この思い切りが、日常のディスカッションや会議でも必要ですね。話がまとまらなければ、「採択しない」で結論として、次に持ち越すようにしてみましょう。

手順を決める

次に、議論の順番を決めましょう。これも、ディスカッション上ではある程度決まっています。大まかにいえば、
1)現状を確認する(問題により被害を受けている人を少なくとも1人確認する)
2)プランの具体的な内容を確認する
3)プランにより1)が解決できるかを確認する(メリットが得られるかどうか)
4)デメリットの案を募り、メリットと比較する
です。

各段階でも、必要があれば細かな手順をそのたび決定します。

例えば現状ある問題の内容が「死刑制度により執行人が精神的苦痛を負う」で、それを証明するための根拠となる記事が1枚あるとします。そうすると、
①主張への質問(死刑制度とは?執行人とは?精神的苦痛とは?この辺は後日詳しくやります)
②根拠への質問(日付の確認、本当に苦痛だと言っているかの確認など)
③主張への反論(執行人は精神的苦痛を負わないはずだ、なぜなら~)
④根拠への反論(この根拠は古すぎる、など)
と、さらに細かく手順を決めることができます。だいたい、質問のあとに反論を募集する流れが一般的です。


ゴールを決めることにより、だらだらと議論が伸びるのを避けることができます。また、手順を決めることにより、脱線や話がごちゃごちゃするのを避けることができます。

大事なのは関係ない話が出てきたときに、「それはゴールに必要ない話だからまた今度ね」とか「それはいま手順に沿ってないからあとでね」という勇気を持つことです。①の質問の段階で②の反論をぶち込んでくる人は大勢いますが、テーブルメンバー全員の理解をきちんと得るためには、①の質問がなくなるまで②の反論を受け付けてはいけません。手順通りに進むよう、心を強く持って采配していきましょう。


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