【2】 スタイルは流転する│ノン・ビジョンゆえのしなやかさ。あぁ!なんて自由なベンチャー思考!
【連載note】セプテーニグループの社内ベンチャーをめぐり、事業家ひとりひとりが持つ“プレイスタイル”を聞き集める企画です
=目次=
page1「周囲の目線」との距離感について
・相手を惹きつけるひと or 自分から近づくひと
・“ワールドを築く”
👉page2 スタイルは流転する
・好きなひとの数だけ関心も増える
・コトか、ヒトか。
・モテたいとも言えるし、___ 。
スピンオフ
・三矢さん、移動中は何してますか?
制作後記
プロフィール
三矢晃平
株式会社デライトチューブ代表取締役社長
2010年 株式会社セプテーニ中途入社。100名以上のクリエイターで構成されたクリエイティブニアショア拠点の責任者を経て、2017年にコンテンツプロダクション株式会社デライトチューブを設立。月間500万ユーザーのWEBメディアBITDAYSの編集長としてデジタル時代の新たなライフスタイルを発信中。その他国内外のクライアントのオウンドメディアやSNSの運用、撮影・動画制作など多角的なサポートを行う。
スタイルは流転する
好きなひとの数だけ関心も増える
ーどうして今の道に?『好きになって応える』は、どんな領域でも武器になりそうですけど…
僕はその〜…半径5メートル人間なんですよ。それ以外は世界じゃないっていうか。
今このインタビューで話してる1時間は、目の前のことだけを楽しむ。でも次の1時間で別の人と話せば、そのあいだはそこにしか興味がない。だから遠くをみて「ああなりたい」とか考えたこともないんです。
自分の身の回り、5メートル圏内で起きたことに乗っかってきた、その掛け合わせが今なので…。メディア事業をやろうとか、経営をやろうとか、考えてたわけじゃないんです。
ー事業家や起業家は、ビジョンやリーダーシップが前面にでることが多いと思いますけれど、三矢さんは、目の前のひとにチャネルを合わせて一緒に波に乗る、みたいなスタイルなんですね。
個人的にはそれがコンプレックスだったりして。ビジョンやなりたいものが散漫してるというか…。いや、なりたいものはないのか。やりたいことはめちゃくちゃあるんすけどね。
『世の中に〇〇をしたい』とビジョンを聞くと、「いいなあ、格好いいなあ」とは思うものの。でも、最近思うのは、ビジョンのある人たちのお手伝いをたくさんやるのがうちの会社なんだよなあと。
僕らのクライアントやメディアのユーザーさんって、世の中をこうしたいと思想や意見をしっかり持ってる方が多いので、そういった方々のお手伝いすることで、結果的に僕らも世界を良い方向に変えることが出来ているのかなって。だからその…乗っかり系ビジョンです(笑)。
ーふふ。セプテーニグループのスタートアップは、世にない事業を作りに行くだけでなくて、既存の摩擦にビジネスチャンスを見出す人たちも多いですよねえ
ですね。摩擦とか既存の人間関係とか、そこから生まれるものが僕は好きなんですよね。競合とか制約とか、あった方が楽しいタイプです。
それよりも『今から社会変えてください』と言われる方が「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜」ってなりそうっすね。ははは。今、目の前にあるこの半径5メートルの世界を、出会った人たちと一緒によくしていく。僕は、そういうことをたくさんやりたいっすね。
ーこれまで接点を持ったなかで「捨ててきたもの」ってありますか? キャリアとして「これは俺の道じゃないな〜」って。
あ〜…すごい、面白いですね、ない…ないですね。やりたいと思ったら基本的に全部やっていて、中途半端に終わっちゃうというのが、あんまないんすよね。
出会った人を好きになって関心が増えて、だから事業の領域も、金融があったりコスメがあったり。よく『ひとつに絞れば』と言われるんですけど、好きなことなので、あんまり絞りたくないんですよね〜。
会社を立ち上げるとか仕事をするとか以前に、昔からそうですね、ずっと足し算の連続で今がある。個人的には何も捨ててないです。
ーは〜。言い切れるのって格好いいです。
コトか、ヒトか。
ー事業領域も多種多様で、インプットする領域も自然と増えると思うのですが、領域横断でどうやって…?
なんなんすかね〜?インプットしようという感覚もあんまなくて。
あ、僕個人もそうなんですけど、これはうちのメンバーあるあるなんですが、相手のことを好きになっちゃうから、その場その場でプロフェッショナルになっていくんですよね。
ーな…るほど。
ニュースとかネットサーフィンしてても、今アンテナを貼ってるものに目がいっちゃいませんか?だから、ユーザーが好きそうなものが日常生活でどんどん入ってくるんです。
街中歩いてても「あ、あの人がこれ好きって言ってたな〜」とか、「これ気になるんじゃないかな〜」とか。それこそ、gooddoの下垣さんと話したらSDGsに関心が向いたりね。
うちのメンバー達も同じで、『こういうの出てましたよ〜』とみんな自然と持ち寄ってくる。惚れ体質が多いのかな? 好きな人の視点に無理なく入っていける。
ー最初におっしゃってた『好きな人ができると、相手と同じ趣味に “なっちゃう” 』と、『その場その場でプロフェッショナルになる』が、今ぴったり繋がりました…。
そうですねえ。自然と好きになって、自然と関心を持ってます。ジャッキー・チェン、知ってます?
ー名前と動きは知っております。
いざっていう時に、近くにある椅子とか武器に使うんですよ。相手を好きになることは、僕にとってそれくらい自然なんです。
ー (椅子を持ってみた)・・・ん?
ーなりたい像は決めてないとして、「こうはなりたくない」ってありますか?
おもしろくないのは嫌です……。僕小3くらいからずっと人生おもしろいので、あんまりおもしろくない経験はしたくないですねえ。
ー小2までは何が
いやもう、暑いか寒いかしかわかってなかったです。
ーあはは! 小3くらいから、コミュニケーションの駆け引き出てきますもんね
そうそう
ーおもしろいとおもしろくないの違いはなんでしょう
誰にも喜ばれてない状況はおもしろくないです。でも、仕事をしている以上、そんな状況にはならないですけどねえ。
「この仕事はやりたくない〜…」と言う人もいるじゃないですか。僕、それあんまなくて。目の前の人に貢献できてれば楽しいんですよね、手法がなんであれ。金融もコスメも、これまで特に接点はなかったけれど、今仕事でやらせてもらっててめちゃくちゃ楽しいですし。
ー「物事への飽き」ってあるんですか?
そこに人が居る限り、基本的に飽きないんです。それこそ、加来さんは10年くらいの付き合いですけどね、もうずっと言ってること変わらないでしょ。お酒の席でいつも同じ話聞いてますけど、飽きないですからね。
ー(めっちゃ笑う)
そろそろ飽きてもいい頃なのになあ。
モテたいとも言えるし、___ 。
(加来さん:うう〜ん…… 三矢くんは、飽きないって言うより、スピードが速いんだよね。あたらしいことをすぐやるし、いい意味で追い詰められてる感じがする。物事に飽きるかどうかより、最速で応え続けるけど、いつも「足りないな」って思ってるような気がする)
あー、確かに。そうかもしんないっすね。いつも「もっともっと」って思ってます。ま、相手がいるからですけど。そこに誰もいないことには全然急がないです。求められてなかったら超腰重いですし。速く相手の反応が見たい、というのもあるんでしょうね〜。なに焦ってるのか知りませんけど…
(加来さん:や…?モテたいんだよね)
あははは、そうかもしれない!いろんな人にモテたい。
ーふふっ
ー『はやく相手の反応がみたい』『相手ありき』、とはいえ今はなかなか人に会えない状況ですけれども。
そうですねえ、うちは名古屋と東京にメンバーがわかれてるから、ただでさえ遠隔なのに、さらに顔を合わせる機会が減りました。
でも、この地獄を楽しむ、というか。ふふふ
ー(びっくり)
普段会話では静かな人がチャットだと結構おちゃめだったり、そういう事に気づいて楽しんでいます。
状況が変わると見えることも変わってくるので、“楽しい地獄” にすぐ変換できましたね。楽しみを見つけるのはうまいのかもしれません、もしかしたら。
ーなんかこう……どんなことも、コミュニケーションの中でどう転じるか、その不確実性を楽しんでいるような印象を持ちました。
あ、そうですね!自分で言語化したことはないけれど、不確実性を楽しんでるところはあります。
まわりの社長さん達は結構未来の話もするし、長期的なビジョンがありますけど、僕なんか3ヶ月先くらいが限界で、30年先なんか全然見えない! はははは、真っ暗ですよ!
ーあははは(笑)。でもこないだ下垣さんが『三矢さんは中長期が見れる』って。
ああ〜、下垣さんは30年先が見えるって言ってたからなあ。全然見えないなあ、30年後って64歳…。
ーいわゆるビジョンは「自分が社会とどうコミュニケーションするか」という外向きの話だと思いますが、今日は「エネルギー切れしないで動いていくときの、ツボ」みたいな視点を教えてもらいました。三矢さんは、自分が何に動かされて、どう楽しんでいるのか、詳しいんだなあって。
そうですねえ、自分発信で何かやろうと思っても、誰かのためじゃないと僕は続かないんですよ。
だから、うちのグループで事業をやらせてもらって良かったなあと思います。自分に投資してくれた人や、背中を押してくれた人が社内にいるから、みなさんに応えたいし、楽しいんですよ。見ててくれる人がいる緊張感もね、頑張れます。
ーへえ、事業を持ち出して一人でやろうとは思わないのかなあって不思議でした。
そうですよね。事業内容だけでいえば、社外でもできると思いますけれど、ひとりで起業してたら、こうはいかなかった気がしますね。Netflixみて一日過ごしてるかもしれない。
僕が2017年に会社を立ち上げたとき、このチャレンジを一緒に喜んでくれたり、応援してくれたりしたのは、社内の人たちが圧倒的に多かったんですね。
誰に喜ばれるのかわからない状況で起業しようとは、僕の場合は思わないので、やっぱ周りの人の存在は大きいですよ。こんな楽しいと思わなかったですからね〜、経営。うん。
👂スピンオフ:三矢さんは東京、名古屋と2拠点にオフィスがあり、移動も多いと思いますが…。日々、移動中は何してますか?
え、物理的な移動ですよね?
Kindleで本買って、Siriに読んでもらってますねえ、機械の声ですけど。歩きスマホはできないんで……。
今でこそ自粛してますけど、僕、お客さんのところまで徒歩で行ってたんですよ。都内、新宿 - 渋谷 - 目白 - 池袋とか10キロくらいは平気で歩くんです。だから、本を音声で聴いたりミーティングしたりしながら、移動してます。運動になるし、いいですよ!
ーと、いうことで、三矢さんオススメの「耳」コンテンツを3つ、教えていただきました!
出勤時に聞いてる音楽
出勤時はとにかく余計なことを考えずテンション高く出社したいので大好きなポップソングばっかり聴いてます。
長距離歩行中に聴いてる音楽
1日に平気で5キロ〜10キロは歩きます。歩いてる時間はオーディオブックかミーティングに使うことが多いですが、たまに考え事したいときはリラックス出来るダウンテンポなものを聴いてます。この前オフィスで流したらメンバーから眠くなるってクレーム来ました 笑
嵐
周りにとにかく嵐好きが多くていつの間にか僕もめちゃハマってしまった。
今は行けないけど色々落ち着いたらカラオケで熱唱することを今は夢見てます。
=三矢さん、ありがとうございました!=
制作後記 “この感じ”の正体を知りたくて
三矢さんにインタビューをお願いしたとき『僕、下垣さんみたく大きなビジョンの話できないですよ』とおっしゃっていました。それを聞いて「ふふふ、そうそう、この感じ…」と、ワクワクしたのを覚えています。
社外にいるわたしからすると、まさにこの「スタイルの違うリーダーがいること」こそ、セプテーニグループの不思議な魅力のひとつなのです。ひとりひとり違うスタイルを持つみなさんが、生き生きと共存している(ように感じる)、一体どうなっているんだろう。
三矢さんとは以前、一度だけお会いしたことがあって、その時はあまり仕事の話はしませんでした。ですので今回、本当に楽しみにしていました。企画の意図も、取材写真が撮れない状況下での提案も、ひとつひとつ『あ、それもそれで面白いですね』と、どの線でも打ち返してくださるところに、お話いただいた “起きたことに乗っかる”というスタイルの片鱗を感じました。三矢さんが、転ぶ先を一緒に面白がってくださるのが嬉しく、なるほど、こうやって気づいたら三矢さんのファンになってしまうのね…と学習いたしました。
余談ですが、編集の三浦さんから原稿が返ってきたとき、なぜか冒頭の方に『三矢さんは絶対に岡村靖幸を聞いている。』とコメントがありました。後日、三矢さんからプレイリストが届いたときの驚きたるや。日々摂取してる音楽を、すこし教えてもらうのって面白いですね。三矢さん、みなさん、今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。( keiko.mei by editing unit Spielen )
- fin.-
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