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しまなみサイクリングがさらに情緒的な旅になる"尾道U2"

いつか、しまなみ街道を自転車で渡りたいと思っている。
数年前に尾道を訪れたときは、妊娠中だったため自転車に乗ることはなかったが、U2は友人からもよい評判を聞いていたので、宿泊してみた。

尾道は愛媛県の今治市と瀬戸内の島々を結ぶ「しまなみ街道」の本州の起点である。この時は車で今治から入り、大島で一泊してから尾道に到着した。とにかく海、連なる島々、何もかもが美しい。そして鯛めしは絶品!

U2は昭和初期に建てられた海運倉庫を改築し、2014年に複合商業施設としてオープンした。ホテル、レストラン、サイクルショップ、物産店などが入る。自転車に乗ったままドリンクを注文できたり、サイクリスト向けの配慮も随所に見られ、しまなみ街道を走る人々の要所となってる。設計は広島県出身の谷尻誠氏である。


1.尾道の魅力が凝縮された、町の中の小さな町

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倉庫リノベーションのよいところは、建物はその町の歴史を物語り、中身を新しくしてもちゃんと町に馴染むことができる。新旧のデザインが融合しながら、尾道を訪れる人々に瀬戸内や町の文化を伝えている。ショップで地場産品を眺め、カフェのテラスで瀬戸内の風を感じながら、瀬戸内レモンのフレッシュジュースを飲む瞬間は最高だ。

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2.倉庫リノベーションならではの大胆な空間構成

ショップ、レストランやホテルは客室以外、きちんとした仕切りはなく、それらの用途が緩くつながっている。天井も高く、倉庫の梁や柱が現しになっているのも何だかワクワクする。ホテルは2階建てになっていて、階段付近にはサイクリストたちが交流できる共用空間も設えてある。倉庫の頃の記憶を漂わせる、薄暗さとひんやりした感覚が妙に心地よい。

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3.広島愛、サイクリング愛がデザインから漏れ出る

谷尻氏の設計した建物は東京でいくつか見たが、地元広島での作品はどこか伸び伸びしてて、地元への愛しみが感じられる。この町の自然や文化を知り尽くし、素材やデザインに上手く組み込まれている。客室はスチールフレームのインダストリアルな雰囲気と木目の天井が調和し、開口部は水回りを介しているため、ベッド部分は日の光が微かに届く程度である。コンセントやスイッチが上手く収められていて、全体に上品さを醸し出す。壁には自転車が掛けられるサイクルハンガーもあり、サイクリストの自尊心をくすぐる。

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この施設のオープンを機に尾道はさらに活気づいている。いつかまた訪れたい。


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