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ミュージック・マガジン編

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ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」で取り上げられているアルバムを扱った記事たちのまとめです。
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2023年8月の記事一覧

フリッパーズ・ギター『ヘッド博士の世界塔』(1991)

アルバム情報アーティスト: フリッパーズ・ギター リリース日: 1991/7/10 レーベル: ポリスター 「50年の邦楽ベスト100」における順位は12位でした。 メンバーの感想The End End  どうしたんだろう、この2人。喧嘩でもしたのかな…  というのは冗談として、前作までの感想で“ハッピーさで塗りつぶすことで、逆説的にネガティブな物事の存在を示しているようだ”と書いたのだけど、この作品においてそのハッピーさは“希求するけど手にできないもの”になっているよう

裸のラリーズ『77 LIVE』(1991)

アルバム情報アーティスト: 裸のラリーズ リリース日: 1991/8/15 レーベル: Rivista Inc.(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は75位でした。 メンバーの感想The End End  刺激的な音がずっと鳴っているのだけど、不思議と穏やかな気持ちになる。シガーロスを聴いている時みたいな。もしかしたら、録音の質がお世辞にも高くはないことで、ノイズとはいえ角の取れた優しい音になっているからかもしれない。真空管がぶっ壊れたような、ギュウと押さえ

ブランキー・ジェット・シティ『Bang!』(1992)

アルバム情報アーティスト: ブランキー・ジェット・シティ リリース日: 1992/1/22 レーベル: 東芝EMI(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は88位でした。 メンバーの感想The End End  カッコいいということは、ダサいことも含んでいると思う。歌詞も歌唱もこれ以上ないくらいカッコつけてて逆に野暮ったいくらいなのだけど、でも、だからこそ最高にカッコいい…めちゃくちゃなこと言ってるけど、わかるよね?  それと、グレッチはやっぱりベンジーのギター

ヤン富田『MUSIC FOR ASTRO AGE』(1992)

アルバム情報アーティスト: ヤン富田 リリース日: 1992/11/1 レーベル: SONY(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は96位でした。 メンバーの感想The End End  スティールパンからトロピカルを剥ぎ取る向き、ここにもうあったんですね。小林うてなさんの発明かと思ってしまっていた。  音がとっても良いと思う。パンニングと帯域の整理がとても緻密で、それぞれの美味しいところが同時に発揮されているし、パーカッションやベースのコンプレッション具合も

スチャダラパー『WILD FANCY ALLIANCE』(1993)

アルバム情報アーティスト: スチャダラパー リリース日: 1993/2/21 レーベル: Ki/oon(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は63位でした。 メンバーの感想The End End  まずトラックがすごくすごく良い!ブレイクビーツ、リズムのクオンタイズが緻密過ぎないのも良いし、量子化ビット数とサンプリングレートが高すぎなくて、かつ波形を切り刻むことによるエイリアスノイズが付加された音にしか無い魅力というものが、ある。サンプリングって“完成された”

小沢健二『犬は吠えるがキャラバンは進む』(1993)

アルバム情報アーティスト: 小沢健二 リリース日: 1993/9/29 レーベル: EAST WORLD(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は84位でした。 メンバーの感想The End End  1曲目が気になって仕方ない。なんですかこの、アマチュアバンドがセルフで作った音源みたいにドライなボーカルのミックスは。歌い方もなんだか、歌詞を間違えずに正しい音程を出すことしか考えていないような感じ。それが味、と言おうにも素っ気なすぎる…  と思っていたら2曲目で

小沢健二『LIFE』(1994)

アルバム情報アーティスト: 小沢健二 リリース日: 1994/8/31 レーベル: EAST WORLD(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は15位でした。 メンバーの感想The End End  覚悟を感じる。自分が魅力的だと思う音楽を自分で作ることや、”LIFE”を冠するに恥じない歌を書くこと、そのプレッシャーや責任を背負う覚悟。  恋をはじめたときの全能感、しかもピーキーな悦びではなくて、互いに大切に思っている人がいるときの常に心のどこかがあったかい感

ドゥーピーズ『DOOPEE TIME』(1995)

アルバム情報アーティスト: ドゥーピーズ リリース日: 1995/10/20 レーベル: フォーライフ(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は69位でした。 メンバーの感想The End End  ハイパーポップ的と言えるんでしょうか?とびきりキュートで親しみやすいポップスを解体/脱構築して生み出されているという点で。ちょっと摩訶不思議すぎるけど、PUMPEEみたいに可愛らしくて、ステレオラブみたいにスマートで、聴いていてとても楽しかった。あと最後にクラフトワ

フィッシュマンズ『空中キャンプ』(1996)

アルバム情報アーティスト: フィッシュマンズ リリース日: 1996/2/1 レーベル: ポリドール(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は6位でした。 メンバーの感想The End End  レゲエが…とか、ダブが…とかいう話ではなく、とても細かな質感づくりやバランスのとり方において、この音像を他に知らない。近年の海外リスナーによる”発見”からしても、おそらくは本当に他のどこにも無いんだろう。同じ演奏でいくらでもリラックスしたアルバムに聴かせることができそう

サニーデイ・サービス『東京』(1996)

アルバム情報アーティスト: サニーデイ・サービス リリース日: 1996/2/21 レーベル: RHYME(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は38位でした。 メンバーの感想The End End  2023年の視点ではっぴいえんどを見るとこの作品がなんだか懐古主義的に響いてしまいそうで、1971年生まれの曽我部恵一がはっぴいえんどなどをリファレンスにすることが、99年生まれの自分に置き換えるとどういうことか考えてみた。例えばその置き換えの対象はナンバーガー

ソウル・フラワー・ユニオン『エレクトロ・アジール・バップ』(1996)

アルバム情報アーティスト: ソウル・フラワー・ユニオン リリース日: 1996/10/21 レーベル: Ki/oon(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は59位でした。 メンバーの感想The End End  ごめんなさい!!全然好きじゃなかったです!!  なんぼ世界の民謡を取り入れたサウンドでも、なんぼ素晴らしいメッセージが込められていても、生理的に好んで聴けない音をしていました!!SNS上の知人(?)が“政治的なイシューを扱った漫才において、それを実行し

BUDDHA BRAND『人間発電所~プロローグ』(1996)

アルバム情報アーティスト: BUDDHA BRAND リリース日: 1996/5/22 レーベル: Cutting Edge(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は73位でした。 メンバーの感想The End End  まずサウンドに対する感想から。  ローが気合の入った太さで、嬉しい。タイムストレッチしたギターのデジタルな揺らぎも遂に登場してくれて、嬉しい。デジタルディレイに恐らくリバーブなどの”馴染ませる”手間が加わっていなくて、声がそのまま複製されたよう

コーネリアス『FANTASMA』(1997)

アルバム情報アーティスト: コーネリアス リリース日: 1997/8/6 レーベル: トラットリア(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は31位でした。 メンバーの感想The End End  バイノーラル録音、テープストップ、1曲を2つの曲に解体…と、とにかく"ガワ"でできる遊びをとことんやり尽くしている感じで、いつもニコニコしてしまう。  この作品を好きになってから5年以上経つが、毎回毎回新しい気づきがある。こんなエイフェックス・ツインみたいなドラムのロー