わたしはあなたの涙になりたい
30代女のラノベ読書録。
第一作目はこちら
『わたしはあなたの涙になりたい』
ワタクシが唐突に
「読書感想書きたい!noteやろっ!」
とびくびくしながらも、ネットの海に文字を吐き出すきっかけとなったのがこの小説でございます。
小学館さんのライトノベルレーベル
ガガガ文庫から出ている小説です。
ガガガ文庫さんのTwitterアカウントよく見るのですが、第16回小学館ライトノベル大賞受賞した作品だよー!!と推されていたのと、
私の大好きラノベ『プロペラオペラ』の作者・犬村小六先生が激推ししていたので、
これは読まねばなるまい…
と文庫本ポチりました。(byAmazon)
プロペラオペラの読書録もいずれ書きます。
【あらすじ】
全身が塩に変わって崩れていく奇病“塩化病”。その病で母親を亡くした少年は、ひとりの少女と出会う。美しく天才的なピアノ奏者である彼女の名は揺月。彼にとって生涯忘れえぬただひとりの女性となる人だった――。
(公式サイトより)
【感想】
文庫本帯の、磯光雄監督のことばににもありますが、
「美しい物語をありがとう」
と、これにつきます。
↓(以下・ネタバレになっちゃう部分もあるかもです、ご注意を!!)
【おすすめポイント①主人公の性格が好き】
物語は、主人公・三枝八雲の
「僕は海の底へ、そして過去へと向かうために、この物語を書き出すー」
という語りではじまります。
プロローグ→第一章〜第九章→エピローグ
の流れで始まり終わる小説です。
八雲のお母さんは『塩化病』という、全身が塩になっていく奇病にかかってしまいます。
同じ頃、小学3年生の八雲は、ヒロイン・揺月に出会います。彼女はピアノの天才少女として有名で、ひょんなことから二人は出会い、打ち解けていきます。
お母さんの病気がどんどん進行していき、悲しくてやりきれない気持ちと、揺月と出会って幸せな気持ちとがないまぜになる、この文章を読んだときに、序盤で一気に心をつかまれました。
八雲という主人公、わたし好きです。
この小説、文章のことば選びが節々美しいので、ともすればオシャレな言い回しに酔ったスカした主人公になりかねないのに(しかも一人称の地の文だし)まったくそれもなく、
性格も、内省的ではあるけれど人間関係を閉じているわけでもないし(いい友達が多くてほんと羨ましい…)
いわゆる「オレ、ぼっちなんで…」みたいな卑屈さもない。
人物像にとても好感がもてました。
揺月や清水のおかげなのかな。
八雲の友達に、清水という野球のうまい心優しい男の子がいるのですが、清水、かっこいいんです。なんというが、彼の存在に救われる。
甲子園のあのシーン、読みながらうるっときました。気になったそこのあなた、いますぐ文庫本の第五章終盤・p146を要チェックや!
【おすすめポイント②音楽を聴きながら読むべし!】
章を読み進めるごとに、小学生から中学生になり、高校生になって卒業して、それから…と時がながれていきます。
作中で揺月がピアノを弾くシーンが何度もあるのですが、その演奏描写がとても好きでした。
漫画「四月は君の嘘」の最終巻を読んだときと似ているかも。
具体的な曲名がいっぱい出てきます。
・『別れの曲』
・『舟歌』
・『3つのマズルカ作品59』
・『ピアノ協奏曲第1番作品11』
わたし、お恥ずかしながらクラシック音楽の知識がまったくないのですが、作中にこんな風に曲名出てきたら聴きたくなりません?聴きつつ読みたいじゃないですか。
YouTubeっちゅう便利なもんが今はありまして
曲名を調べたら、たくさんでてきました。ありがたやー。
↑このシーンなど、ぜひ曲を聴きながら読んでみてほしい。
できれば曲の頭から聴いてほしいけれど、忙しい現代社会(?)どうしても待ち切れないのならば約四分半後へ秒数をとばすその右スクロールの手を止めはしない。
(ちなみに私が聴いた音源動画は3分58秒からピアノが登場してきました)
想像が、音楽と文章が合わさることでより立体になって、最高の没入感で物語に臨めるというか…。うまくいえないけれど、やってみてほしい。1000倍のお得感で読書体験できます。おすすめです!
【おすすめポイント③むりに涙を流さなくてもいい】
いや…
「わたしはあなたの涙になりたい」言うてますやん
はい、そうなんですけどね。
なんていうか、むりに泣かなくて大丈夫って言いたいんです。
たとえ読んで、涙が流れなかったとしても、ちゃんと大事なものは心に残ります。そんな小説です。わたしはそうだった。
タイトルや、あらすじや、本の表紙のイラストをみて、思いませんでしたか?
「ああ、よくある、ぜったい泣ける的なやつね」
って。
正直、私も最初ちょっと思いました。
そして私、めちゃくちゃ涙もろいので、きっと終盤とか泣くだろうなと思ってティッシュ準備しながら読んでたんです。
でもね、号泣することなく読了しました。
読みながら、苦しくはありました。八雲の気持ちを思うととても苦しくて、深く悲しいんです。
でもいわゆる、感動お涙頂戴ものとは違う。
空白、虚無感、青、雪、桜、福島、ワルシャワの街、音楽、揺月の姿…。
読み終わったとき、優しい希望が残りました。
(むしろ読み終わって振り返ってこの文書を書いている今の方が泣きそうだよ。)
八雲と揺月は、自分たちがたどる状況に対してときに客観的です。
『物語化』ということばが作中何度も出てきます。
八雲は小説家を志します。『物語』を書くことが、この物語の核になっています。
「わたしはあなたの涙になりたい」
このタイトルが、終盤とても大きな意味を持ちます。
このタイトルの意味を知ったとき、あなたは必ず涙する!…みたいな、簡単な言葉で済ましたくないんです。
小説を読む入口なんて人それぞれで、そこにいちいち重たい理由なんていらないし、気軽に読むのが一番いいんだと思います。
ただ、たくさんの人にこの『物語』を味わってほしいなと思いました。
もちろん、自然に涙が流れたのならそれはそれで大正解です!!
なんだかうまくまとまらないので一言で締めます。
とにかく読んでみて!!
この『物語』に出会えてよかった。
【おわりに】
ということで、ラノベ読書録
『わたしはあなたの涙になりたい』
ここまでお読みいただきありがとうございました。興味を持ってもらえたらとてもうれしいです。
試し読みできるみたいなので、URL貼っておきます!↓
それでは、また!
ありがとうございました!
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