見出し画像

夢のような魔法の恋をした 第12話

『恒例イベントとLIVEとセッション』

2人の関係がかたまったころには、
LIVE先やセッション先のおじさま、お姉さま方とも
顔見知りになっていた。

最初のころ、彼には
「演奏に集中したいから、来るのは控えてほしい。」
お店に行くのを止められていたが、
次第に、それもなくなっていた。

クリスマスや年越しの時期には
必ず、彼は決まったお店でLIVEやセッションに参加した。
彼女はいつも、1番若かったが、皆と仲良くなろうとした。
ブルースハープを吹く、年の近い二十代のお姉さんに懐いた。
セッションで会うたびに、彼女はキティちゃんの小物をプレゼントした。
寡黙なお姉さんは笑ってくれた。

クリスマスや年越しLIVEでは、
ベーシストの饒舌なMCの、Mさんが仕切る。
たまに若手(とはいっても二十代だが)の
男の子が仕切るのを、Mさんたちがいじる。

Mさんは、そのお店のお酒を作ったり、
小料理を出してくれるお姉さんが好きなようだった。
そんなことは、彼から聞くまで彼女はわからない程に
Mさんは大人で、優しくて、面白い人だった。

大企業に勤めるひとも、セッションにきていた。
ここで話してよいのかわからないが、その人は酔っぱらいながら
「次は、板ガムサイズの音楽プレーヤーがくるぞ」
当時のiPod Shuffle のことを言っているのが、後に判った。

歌の上手な女性もいた。ブルースボーカルはアツい。
ソウルフルで、グルーヴで周囲を巻き込む。

クリスマスは、ロマンチックな音楽も流れた。
彼女は白いダッフルコートを着ていた。
窓のないお店はキラキラしたり、フワフワな飾りによってクリスマス仕様になった。

大晦日の、日付をまたぐ瞬間には音楽でバンドが揺らぎ、
座ったり、立っている皆が腕を上げて歌い
時には叫び、新年を迎えた。

2人は共に新年を迎え、その後、メールでも新年を祝って、
年賀状もおくりあった。

身体の関係性も変わりつつあった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?