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クリスチャン・ボルタンスキーの順番。

この先に進みたくない、途中で引き返したいと思った美術展は初めてかもしれない。

国立新美術館で開催されている、「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展。

第一の展示があの映像から入るというのも、もう試されている感じ。部屋から出ても、音だけがずっと追いかけてくる。
とにかくぞっとした。

次の部屋に入るのに、足がすくむ。
何がこんなに怖いのかと考えてみたけれど、「死」そのものというよりも、死を大量に並べ、積み上げることで一人ひとりの特別なものではなく、無造作な「もの」に見えてしまうことが怖かったのかもしれない。
死が特別なものではないのなら、生も特別なものではないのだろうか。

「来世」をくぐった先の展示からは、なんとも言えない匂いがした。
あれは何の匂いだったんだろう。
どこかで嗅いだことがあるけれど、懐かしいものではなくて。
それさえも作品のうちなのかどうか分からないけれど、とにかくぐったりした。

その足で、表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京へ。
これが、果たして同じ人間の作品なのか。
草のかおり、風鈴の音。森の向こうに、ビルが並ぶ。
全然違う。なんだろうこれ。

順番逆じゃなくてよかった…と心から思ってしまった。
ルイ・ヴィトンの方とも「順番で全然違いますよね」というお話をしてみたり。こっちを先に観て、このイメージで向こうに行くと、かなりダメージ受ける方もいるらしいです。
皆様もぜひお好みで。

ボルタンスキー、まいりました。

サポートありがとうございます。これからもコツコツがんばります。