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じぶん作詩/短歌 のようなもの

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くるくる貝

くるくる貝

相変わらず奇抜な柄が似合ってしまうきみの

ひろい肩やむねに付いてる貝や貝や貝や貝の

そのうちの一つに過ぎないとしても少なくとも

薄まったレモネードが回ってるいまはあたしの海だ

だからくるくる回って永遠に減らなくてこの時間が

続いてほしいのに続いてほしくない、なんで?

分かってるんだよそうして陽だまりみたいに笑う

ちゃん付けしてくれるさり気なく靴をほめてくれる

優しさを持て余して手も

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◇冬眠

まどろんひるさがり

あまいクリイムに誘われて

春まであと少しだけ


***


◇君日和

あんまいねこれ

スプーンに映る君と

君がくれたさくらんぼの赤さ

今日はぼくのほじょりんがとれた日だから
ゆずるのも愉しくて思わずふり返る春の小道

素数になりきれないおとなたち

素数になりきれないおとなたち

おとなは緊張してないフリも、してるフリも上手いのね。

もうあの頃みたいに、試験開始の合図にドキドキしながら素数をかぞえたりはしない。
わたしは大人だから。

ゆうべの寝返りを朝のコーヒーで流し込めば、
きょうも電車が走って株が動きます。

でもどこへ?

わからない。

割りきれない気持ちというのが、あるでしょ。

それを空にうかべてみるんです。
あの頃みたいに、心をからっぽにして。

今朝よりも黄ばんだビニル傘携えて

飯の匂いには犬並みの嗅覚持つ君の

そういうとこが好きと味見す湯気越しに

鍋のなかの人参とジャガイモ、お前たちはまだ何にでもなれるよだなんて。わたし、あなた、東京の片隅で今日も箸つついて笑いあおうじゃないの。