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自閉症の長男、中学校に行くの話。

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自閉スペクトラム症の長男が小規模小学校からマンモス中学校の壁へと挑む、いろいろな葛藤と成長の現在進行系の実話です
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2021年4月の記事一覧

自閉症の長男、中学校に行くの話➅

自閉症の長男、中学校に行くの話➅

さてさて、中学校4日目の朝。天気は雨だった。
6時にきちんと自分から起床してきた息子。
朝ご飯も食べ終わり、制服に着替えて、準備完了。

今日も問題なく行けるだろうと思っていたが、問題が起こってしまった。

「雨だからカッパを着て行ってね。」

「嫌だ!着ていかない!」

「制服濡れちゃうと大変だから、着て行って!」

「嫌だ!行かない!」

カッパを着ていくことを嫌がり、そこから学校に行かないに

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自閉症の長男、中学校に行く➄

自閉症の長男、中学校に行く➄

中学校3日目の朝、初めての自転車登校。
息子と仲良しの友達と2人での登校だ。

この友達がいなかったら、息子は朝から登校することができなかっただろう。

「智也が一緒に行かないと泣いちゃうから。」
そんなことを先生に言って、朝から登校することを決めたと聞いて、嬉しくなった。

友達を思いやる気持ちが、息子の行動に繋がっている。
他の子を思いやれる子で良かった。

7時40分、元気に家から出発。

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自閉症の長男、中学校に行くの話➃

自閉症の長男、中学校に行くの話➃

入学式の翌朝、学校に行きたくないとぐずる息子。仕方なく、学校に電話をして、ありのままを伝える。
電話口に出てくれた先生は、よくあることだという感じで心地良く応対してくれた。

数十分後に担任の先生から電話がきて、
「どうですか?雄大君、少しでも来れるといいんですけど。でも、無理はしないように。」
と言ってもらった。

初日から休んでしまうのは、この子の為にも良くない気がした。
「少しだけでも行って

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自閉症の長男、中学校に行くの話③

自閉症の長男、中学校に行くの話③

12時30分からの入学式当日。

朝起きてから、少し暗い顔の長男。

「本当に行くの?」と何回も聞いてきた。

「うん。行くんだよ。」と同じ返答を繰り返す。

親と一緒に行くということに、ちょっと安心はしているはずだ。いや、逆に親と一緒だから、行かないといけないと思っているのかな。

ちょっと考えてみる。

この子が不安にならないようにできることはあるだろうか。

自閉症じゃなくても、緊張と不安が

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自閉症の長男、中学校に行くの話②

自閉症の長男、中学校に行くの話②

無事に小学校を卒業した自閉症を持つ長男。

今度は、中学校という大きな環境の変化に立ち向かうことになる。

大幅な環境の変化に加え、2クラスずつしかなかった小さな小学校から、市内で2番目に生徒数が多いマンモス校へと行くことに私自身が不安だった。

この中学校には、同じ小学校からは息子ともう1人の男の子の2人だけだった。

知っている人がいないのは、ただでさえ不安なはずだ。

支援学級を選んだ息子は

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自閉症の長男、中学校に行くの話①

自閉症の長男、中学校に行くの話①

長男が自閉スペクトラム症と診断されたのは、小学5年生の時だった。

それまでは、普通に学校に通えていたのだが、ある日、クラスの子に意地悪をされてから学校に行けなくなった。

私自身が不登校の経験があり、学校が嫌いだった為、長男を無理に学校に行かせる事には反対だった。

「僕はクラスの中にいるのをずっと我慢してたんだ」長男のこの言葉にショックを受けた。親として気づいてあげられなかった。

確かに小さ

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