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働けなくなった自分が八百屋でなら働けたワケ。

名前も連絡先も聞かれず
“来れる時おいで”の
一言で始まった看板娘誕生秘話

神社で参拝する時、地味に誰しもが経験したことであるのではなかろうか。

『参拝仲間との参拝時間の違いによる時間の持て余し

早速図解していきましょう。まずは二礼二拍手一礼しますね。

前髪が伸びますように
by:お父ちゃん

自らの願いをこれでもかと託しますか?
それとも日々の感謝を御伝えしますか?
かなり性格が出そうです。

あらやだ。れいちゃんも
前髪短いわ。

しっかり30秒で世界平和と日々の感謝を願い、今後のれいちゃんの益々の御健勝と御多幸を心よりれいちゃん自身が御祈願するのです。

しかし、れいちゃんの父ちゃんをちらりと見てみるとまだ願い足りない様子。こんな時あなたならどうしますか?

⑴横をチラ見しながら参拝を続ける。
⑵参拝している相手をぼーっと見つめ静かに待つ。

果たしてれいちゃんはどちらの未来を選んだのでしょうか

扇子とかんざし買ってきた。

70秒以上待てど、父ちゃんが参拝を終える気配はありません。チラ見して再参拝とばかりに手を合わせど、静かに待てど。暇を持て余してしまったれいちゃん。

ダッシュでお色直しをして日本舞踊を始めてしまいました。いやあ、皆様はどういうスタイルでこの”空白の数十秒”を過ごすのか気になるところです。

というか来年の初詣の時はむしろ一緒に参拝する全ての方をお待たせしてしまう気がします。

世界平和だけではなく野菜や果物。そして彼らを育てる畑にも、土にも。なんなら畑の虫や微生物にだって感謝を込めてお祈りしたい。

農家さんやいつも野菜を1mmでも摂取している全ての方への愛を祈願していたら100秒どころか元旦は一日潰れてしまうかもしれません。

そう、野菜の中心で野菜愛をさけぶ。そんな吾輩:れいちゃんは、八百屋の小娘である。という事で本日は看板娘誕生秘話と、今こうして世界一楽しい環境として働き続けられているのか参拝時間たっぷりでお送りしていきたいと思います。

目次
〇”働く”ことが怖くて仕方なかったあの頃
〇この八百屋さんでなら働けるかもと思った日
〇なかなか出勤できないジレンマだった最初の頃
〇毎日でも行きたい場所になっていったワケ。
”働かなきゃ”とずっと呪縛のように
思っていた苦しさ

〇”働く”ことが怖くて仕方なかったあの頃

暗黒のなす

以前のnoteで少しだけお話したことがある”れいちゃんが苦しかった時代“のお話。かつて、インターンやビジネス経験にのめり込んでがむしゃらに走り続けた結果、心と身体のバランスが迷子になってしまいました。

それ以降、食事面でのお話は何度かしたことがありますね。私は人と食事をしたり、外食等で自分以外の方が作ったご飯を食べることの2つがなかなか難しいです。

“自分って食べるペース遅いのかな?”と不安になったり。”どのくらいの量の油や砂糖などの調味料が使用されているのか”が気になるようになってしまってから【れいちゃんの御食事解】爆誕です。

けれど、割り切って。無理をして人と食事をしなくていいや。『れいちゃんのぼっち飯』を世界一満喫しようという考え方に至ってからは、農家さんの所へ行ったり野菜Tシャツを作ってしまったりなどの奇跡の秘話を余すことなくお伝えしてきましたね。

ただ、インターンを辞めて以降のれいちゃん自身の”働くこと”や”仕事についての考え”について話したことってそういえばなかったなあと思い…。今回改めて描いてみようと思いました。

インターンをもう辞めるか、辞めないかの頃。そして辞めた直後。れいちゃんの中にあった”働く”という事へのイメージは『とにかく怖い』でした。

〇上司の期待に応えられない可能性への怖さ
〇期待に応えた暁にのしかかる責任への怖さ
〇自分で決めた自分の理想像を達成できない怖さ

働くことは、”エライ人”からマルを貰う行為であって。そのマルの多さが自分の評価に繋がって、自分の存在価値に繋がる。頭の中にはこなすべきことリストが常にあって、こなした順にマルをつけていく毎日にクタクタでした。

やりたいことを仕事に出来ています
天職だと思っています

どこにそんな理想郷があるのか。というかこの”怖さ”こそ。怯えながらも期待に応えていくことこそが自分を仕事面で肯定していく手段なんだと考えていたんだと思います。

〇この八百屋さんでなら働けるかもと思った日

少しの希望のトマト

そんな怖さがありつつも、どこかで『働かなければお金が尽きて生活できなくなってしまう』という呪縛がれいちゃんを渦のように取り巻いていました。

だけど今考えたら。
1日納豆半分と卵2個レベルの食事量で。
誰に対しても攻撃的な口調になっている精神状態で。髪の毛が毎日のようにごっそり抜ける身体状態で。

働けるはずがないと客観的に思うことが出来ますが当時は生きなきゃ、と必死でした。そして働くことはれいちゃんがれいちゃん自身を肯定する手段でもあったんだと思います。

だからこそ、毎日アルバイト情報を集めていました。ただ、なかなか自分がしっくりくるような募集には出会えなかったです。理由は大きく2つ。

⑴そもそも大学4年生の冬だったので長期募集の条件に合わなかった

⑵”〇時間””週3日以上”という固定条件に心がついていける自信がなかった
気持ち良く
マッチしたいですよね。

バイトなんだから⑵に関してはそりゃそうだ、という感じですがその日の心の状態が0から100レベルで”ぐわんぐわん”していたので考慮してくれる場所でないとキツイなと思っていました。

どうしようかなあ、働けないのかもなあ。なんて思いながら自分を嫌いになりそうになる日々を過ごしていました。その頃は食事量がすこーしずつ増えて、自炊が楽しいな。と思っていた時期です。

もうすぐ”運命の八百屋との出会い”が起きる直前の事を話しておりますのでどうか瞬きせずに読み進めてくださいね。

たまたま入った商店街の八百屋さんで買ったじゃがいも”インカの目覚め”を少し焼いて食べた夜の感動が忘れられませんでした。”明日も買おう”と思って次の日も。気づいたら1週間買い続けていました。

3日目くらいには店員さんと会話を交わしたりするくらいになっていて、4日目以降はインカの目覚め目当てというよりも働きたいなという下心満載で通い続けていました。

通い続け、多分顔も覚えてもらえたな。そう思って1週間ほどたった日、満を持してれいちゃんは八百屋の大将と大将の妹さんに告げたのです。某映画『〇と〇尋の神隠〇』のように…。

ここで働かせてください』と。

同時に、自分の体調の事。来れない日もたくさんあるかもしれないこと。ただ、それ以上に野菜が好きなこと。客観的に見たら不思議な光景だったかもしれないなと微笑ましいです(笑)

そしてこの一言と共にれいちゃんはついに看板娘への第一歩を歩み始めたのです。『君の野菜への愛は凄く伝わった。とりあえず来れそうな日の朝1回来てみて』と。

同時に『名前や連絡先は一旦今日の所は聞かない。来れた時に聞くしもし来れなくても大丈夫』とも言われました。

家に帰ってれいちゃん自身が”やっぱり違うな、無理しているな”と思う可能性を配慮して言ってくれたのかなと考えると感謝しかない一言でした。

ついに八百屋の小娘誕生です。おぎゃあです

〇なかなか出勤できないジレンマだった最初の頃

救われた万願寺

八百屋の小娘になることが決まった次の日、緊張しながらも朝から向かいました。朝一番にれいちゃんに任されたのは忘れもしない”みかんの袋詰め”でした。

緊張ですごく肩が上がっていました。仕事への怖さが蘇って”みかん落としたらクビかな”と冗談なしに考えた瞬間もありました。

だけど、大将の妹さんが”みかん1個ぽっけに入れておやつで持って帰りなね”と言ってくれたので少し肩の力が抜けました。

約束通り名前や連絡先を聞かれたのはその時です。

社会の一員になれたことがすごく。凄く嬉しかったです。たった3時間の勤務かもしれません。けれどスキップして帰るくらいには気分は高揚していました。

ただ、相変わらず完璧主義で頑張り屋さんなれいちゃん。働き始めたら始めたで”今日も行かなきゃ”と少し自分を苦しめちゃう節がやっぱりあって。

最初の頃は”働きたいのに気持ちと身体がついていかない”と苦しくて冷蔵庫の前で体育座りで泣き続けていたこともあります。

週に1回行けたら頑張った。そう思うように努めていました。頑張っていたよ、れいちゃん。

ちなみにこの月に出勤していただいたお給料1万円は今まで頂いたどんなお金よりも間違いなく価値があるものでした。

〇毎日でも行きたい場所になっていったワケ。

希望のサクランボ

『今週は2回行けたら、ご褒美に好きな野菜買ってあげよう』

『明日行ったら休憩で大好きなカフェでカフェオレ飲もう』

少しずつ自分の背中を押すように。時にはさすってあげるようにして出勤したいなと思える日を増やしていきました。

それでも”無理”と心が叫んだ日は、罪悪感で潰れないように出勤時間に二度寝するというなかなかのスタンスで自分を許してあげていました。

”あ、寝ちゃってた”と気軽に思えるように。行けなくても連絡をしなくても大丈夫、という大将のスタンスには凄く助けられていたんだと思います。

誰に話しても『そんな環境、なかなかないから本当に有難いことだね』と言われるくらいですから。

そんなこんなで今では週5日、自分の心や予定と仲良くしながらですが行っています。行きたいと思えています。多分理由は3つあって。

毎日でも行きたい場所になっていったワケ
〇野菜についてのあらゆることを知りたいから。
〇顔見知りのお客さんが増えてきたから。
〇陳列できないけれど、食べられる野菜での自炊が楽しいから。
もはや住もうかしら。

〇野菜についてのあらゆることを知りたいから。

『じゃがいもってないんだよ

以前、突撃してお世話になった農家さんに言われた言葉です。

男爵・メークイン・とうや・インカのめざめ・キタアカリ・タワラヨーデル。色も個性も全く違う品種の数々。”じゃがいも”と一括りにしてしまうことはあまりにも安易です。

1人1人の個性や名前を無視して人を”人間”とまとめあげてしまうことと同様に確からしいぞ。そう思ってから品種に注目して野菜と向き合うようになっていきました。

ただ、品種が同じでも。生産者さんによる違い、生育方法による違い。あぁ、奥が深すぎる…。もはや野菜や果物の虜になっていました。

“野菜ソムリエ”や野菜検定”という資格はもちろんあるけれど、”この野菜はこう!”という型に当てはめすぎるのがあまり好きではありません。

その日その日の野菜と向き合って、知らないことは大将に聞きながら知りたいなと飽くなき探求心が叫ぶのです。

〇顔見知りのお客さんが増えてきたから。

これは週1日、週0日の時にはなかなか得られなかった感動です。

”あら~おはよう”と声を掛けてくれたり、”助っ人ちゃ~ん!”と手を振ってくれたり。

時には常連さんの美容室のヘッドスパのモデルになったり。私の住んでいる地域には優しくて温かい方が多いです。

この御客さんはよくトマトを箱で買うなあ、とか枝豆が大好きなんだなとお客さんの様子も見えるようになってからは、ますます愛着が湧く出勤場所になっています。

相手に合わせた服装・身だしなみ♡

〇陳列できないけれど、食べられる野菜での自炊が楽しいから。

野菜好きなれいちゃんとしては悲しい事実として。『売れないけれど食べられる野菜』って実はすごく沢山あります。少し葉が傷んでいるだけ、少し根元が黒くなっているだけ。

それでもお客さんは選んでくれなかったり、そもそもお店に出すクオリティを保つために陳列棚から下げざるを得ない現状があります。

大好きなさつまいもNIHON
あ。京小松菜は
れいちゃんの字っす。

毎回とはいきませんが、一回の出勤で大体この量です。

ただ、そんな下げられてしまった野菜ちゃん達にお化粧をして新たな命を吹き込んむのがれいちゃんの腕の見せ所。

箸置きの卵焼き食べたい
今度はおむすび食べたい

毎回変化球のように変わる”れいちゃんのやさい箱”に入っている野菜に”キミはどんな味付けになりたい?”と丁寧に対話をしながら調理していくのが楽しくて仕方なくて

明日も行きたい、に繋がっています。
あぁ、生きているなあ~れいちゃん。ってすごく思います。うん、心から言えるな。

もちろん、お給料でいったらお偉いさんが貰っている4億分の1くらいかもしれません。だけど、八百屋で働いている自分が。そこで楽しんでいたら気づいたら頂けるお給料はれいちゃんにとって本当に本当にかけがえのないお金です。お給料で野菜を買う時間も好きです。

少しだけ悩みがあるとしたら、野菜Tシャツの季節がもうすぐ終わってしまうことです。困ったな、冬野菜トレーナー作ろうかしら。

日の角度など細かく調整しました。
野菜の為ならば苦じゃないです。

働けないかもしれない、そんな自分を『野菜好きが伝わったからとりあえず来れる日に、来たい日においで』という言葉が救ってくれました。

この先、れいちゃんは野菜とどこまでいっちゃうのか、宇宙までいっちゃうんじゃないかなとわくわくします。皆さんもたまにでいいです。れいちゃんと野菜の物語を覗いて見守ってくれたら嬉しいです。

〇れいちゃんのInstagram

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