講師の話はもう答えではない
私が社会人になったのは90年代前半でバブル崩壊直後でした。
長い目で見ると、人々の価値観や意識の変化に、ITの普及なども相まってビジネスモデルに大きな変化が起こりつつありましたが、それでも、今にして思うと、しばらくの間はビジネスモデルがシンプルな時代が続いていたように思います。
ビジネスモデルがシンプルな時代は、かなりざくっとした言い方にはなりますが、
・会社は過去に積み上げてきた知識や技術、成功体験が通じやすく、今まで通りにやっていれば良い部分が多かった。
・お客様や顧客のニーズもシンプルで、商品やサービスを買ってくれ安かった。
・ということは、上司や先輩の持っている知識や経験が通じやすく、部下や後輩は上の人や社歴の長い人たちから言われた通りにやっていれば良かった。
ということも言える気がします。
そんな時代の研修講師や講演講師、会社に出入りしていたコンサルタントですが、どんなタイプの方々やスタイルだったかと言うと、
・受講者やクライアントに ”教えてあげる” スタイル
・自分の言うことをきかせる
・一方的な講義をしていても、ありがたがって聞いてもらえた
・誰がやっても同じようなワークが多かった
という状況が多かったようです。
講師があたかも「上」の立場であるかのように見られていて、受講者との関係は、学校の先生と生徒との関係と同じだったかもしれません。
講師が「正解」「答え」を持っていた時代です。
講師の過去の知識や経験が通じた時代です。
でも、今の時代、ビジネスや会社・組織が求めている「答え」はどこにあるのでしょうか。
「答え」は受講者の中にある
のです。
講師が自分が「正解」「答え」だと
思っているものは、
もはや「正解」「答え」とは限らない、通じない
世の中になっているんです。
とすると、受講者や参加者の皆様との関係性も変わって来ます。
以前の時代は、講師は一方的に話す、与えるスタイル。
今の時代は、
講師はいかに皆さんの中に在る答えを引き出せるか。
いかに引き出して、それらを可視化し、整理し、皆さんにまた問いかけられるか。
そして、その時にこそ、その時になって初めて、講師やコンサルタントが蓄積して来た知識や経験、知見が活きる時です。
そこに、その場その場に応じて、いかに生きた知識や知見の提供、「問い」の投げかけができるか。
それが今の講師の役割だと思います。
知識や経験はいらないんじゃない、必要なんです。でも、
一方的で押しつけ的な知識や正論、勝手なべき論の講義は求められてない。
杓子定規的な理論・理屈、単なる知識の講義も求められていない。
ということが言えます。
よく、様々な場で受講者の方々にニーズのようなもの、講師や研修・講演に対して満足度が高い時のポイントをお聞きしてみると、
☆講師には、自分たち(=受講者の方々)が知りたいことに答えてほしい。
☆ 一方的にしゃべくってる話ではなく、自分たちが悩んでいることや、問題解決の糸口が欲しいことに対して、具体的なアドバイスやフィードバック、考え方のヒントがほしい。
☆ 自分たちでは知り得ない、他社事例や経験談を聞かせてほしい。
☆ 笑いを取ろうとする講師より、そういう講師の話の方がずっと面白いし聞きたい。それだったら参加しても良いと思う。
ということを聞きます。
こういうお話を常々お聞きしていて、「以前の講師イメージとずいぶん変わったな」と思うのですが、おそらくそれだけ、ビジネスモデルが大きく変わったんだと思います。
それは、今のビジネス環境は、過去の知識・経験が通じない、「正解・答えの無い時代」になってしまい、上司や先輩、社歴の長い人、そして講師の過去の知識・経験はもう通じづらくなった。
正解・答えは自分たち(=受講者の方々)の中にある。
それを皆で見出して行くお手伝いをするのが講師、そしてコンサルタントの志事になった。
そんな時代になった気がしています。
そして、そんな時代だからこそ、講師やコンサルタントにとって、特に重要になっていることがあります。
常に自分の知識・情報をアップデートし続ける必要がある。
常に学び続ける必要がある。
常に「自分の言葉で伝えるには?」を考え続けている必要がある。
ということでしょうか。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございます。
【 どうでもいい話 】
街中で歩いていて時々、親御さんに連れられた幼児とすれ違った時、
おもむろに笑顔で、
「パパ~っ!」
って言われます。その子の親も驚きますが、僕も焦ります。
僕は子供はいないはずなのに、「いったいこの世の中に僕の子供が何人いるんだろう・・・」と、無意味な疑問を持ったりします。
ある時は、スーパーで一人でぶらぶらしてる時に、どこから来たのか、小さな女の子が一人でひょこひょこ歩いて来て、僕を下から満面の笑顔で見上げて、「抱っこして」と言うかのように僕に両手を広げて一言、
「パパ~っ!」
焦る僕。「えっ?えっ?(自分を指差して)この人かな?この人、パパ・・・?」と、しどろもどろになっている所に、本物のパパがやって来て、
「ああっ!スミマセンッ! ほら、〇〇ちゃん、行くよ!」と腕を引っ張って行ってしまいました。
ほっと安堵した僕の耳に入って来た次の声で、僕はなにか、自分がわるいことをしたかのような気になりました。
「〇〇ちゃん、違うだろ~。パパはこっちだろ~」と、泣きべそをかきながら連れて行ったんです。
僕、どうすれば良かったの・・・。
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