マガジンのカバー画像

TANKA

73
現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
運営しているクリエイター

#記憶

現代短歌 《いつかどこかで》

現代短歌 《いつかどこかで》

いつまでも覗ける秘密はつまらない消えてこその夢 幻の華

年表を眺めあなたもそんな時あったのねいつか辿り着く日まで

中身さえわからぬ箱を追い求めどうせ空だと勘付く頃に

10年の時を経てまた巻き戻るその記憶そっと引き出しにしまえ

時既に遅しと思い諦めた心ふわふわ彷徨いながら

寂しさを埋める行為は虚しくも想い溢れてまた浸る過去

遡るあの頃握った幸せは今や溶け出し跡形も無く

戻りたいそんな思

もっとみる
現代短歌 《記憶から得た記憶》

現代短歌 《記憶から得た記憶》

※ほぼ「誰か(複数人)の記憶」をもとに書いたもの。
整合性よりも、誰かの過去だったことが、対話をすることで形を変えながら自分の記憶にも入り込んでくることの不思議に焦点を当てています。

同窓会いろどる話題甘辛い中身は空です一抜けるが勝ち

港には祭りと闘いあったのさ押し合いへし合いさあ道を開けろ

お囃子とタイヤが鳴かすアスファルト油のにおいは現代(いま)も残ってる

その熱を知らぬ私が着せられた

もっとみる
現代短歌《空のむこうで》

現代短歌《空のむこうで》

あの女(ひと)もあなたもきっと真ん中でいつか出逢うわ星と瞬き

私にはなんの資格も無いのならせめて静かに願いだけを込め

甘い嘘それでも嬉しかったのさ外に出れない今年の夏が

間違ったことがこれほど嫌なのに根本から歪む己の想い

三角の点が消えたの一つだけ残った二点は繋がらないのに

幻が消えずに寧ろ愛おしくあなたの中に残る虚しさ

私には一体何が出来るでしょう繋がった先空のむこうで

自由まで奪

もっとみる