【ネタバレなし】ハッチング―孵化― ★★★☆☆
公開から数年たち、すでに考察記事はいくらでもあると思うので、今さら考察&ネタバレを書いても意味が無いので、
これから見ようと考えている人に向けて、考察なし、ネタバレ無しで、感想を書きたいと思います。
ストーリー
北欧フィンランド。
12歳の少女ティンヤは、完璧で幸せな自身の家族の動画を世界へ発信することに
夢中な母親を喜ばすために全てを我慢し自分を抑え、
新体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。
ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。
家族に秘密にしながら、その卵を自分のベッドで温めるティンヤ。
やがて卵は大きくなりはじめ、遂には孵化する。
卵から生まれた‘それ’は、幸福な家族の仮面を剥ぎ取っていく・・・。
スタッフ
監督:ハンナ・ベルイホルム
https://www.instagram.com/_hannabergholm_/
美術監督:パイヴィ・ケットゥネン
https://www.instagram.com/paivi.kettunen/?hl=ja
撮影監督:ヤルッコ・T. ライネ
https://www.instagram.com/jtlaine/
私の評価
私は映画を4000本ほど観ているので、評価は辛いものになります。
★★★★★ 神作 (例)花様年華、リップヴァンウィンクルの花嫁
★★★★☆ 名作 (例)タクシ―ドライバー、レオン
★★★☆☆ 傑作 (例)インファナル・アフェア、ミッション: 8ミニッツ
★★☆☆☆ 良作 (例)アウトレイジ、ミッドサマー
★☆☆☆☆ 失策 (例)R100、みんな〜やってるか!
本作は、
★★★☆☆
とします。
感想
この映画の最大の見どころは、グロテスクな世界観を美しく包み込むセンスです。
同じ脚本をアメリカのインディーズ系で撮影したら駄作になっていたと思います。
とにかく画面が美しい。
開始6分で美しい配色の大技を次々と決めていきます。
ピンクとスカイブルー、自然光、ワインレッドが美しい。
ここでは登場しなかったオレンジを使い、配色を分けています。
白とピンクと緑が調和してます。正方形も良いです。
ピンクのノートPCってフィンランドでは普通に売られているのか分かりませんが、画面の差し色として成功しています。
白と青(3種類?)の風船が青空と緑葉とマッチして美しいです。
雲(白)と空(青)に対し、風船の色を合わせていると思います。
赤、ピンク、オレンジ、緑、白、そして窓に反射している青が美しい。
私論ですが、つまらないホラー映画は美術と撮影のセンスがありません。
こういうところに拘れることが優れたホラー映画になる要素だと思います。
こちらは開始16分のカット
青と黄色のギター、ピンクのシャツ、そしてそれらの調和を潰さないベージュのパンツとグレーのソファが美しいです。
こちらは開始52分のカット
デーブルの上がオレンジで締められていますが、よく見るとブルーのガラスカップが手前に1つあります。
また、オレンジジュースが3つありますが、水面を揃え統一感を出しています。
父親の眼鏡のフチがオレンジで、背景と調和させています。
で、内容ですが、支配的な母親と、抑圧された娘と、潜在意識の投影のような存在がメインで動きます。
少しずつ、潜在意識の投影のような存在が狂暴化し、事件が多発していきます。
ある意味、『ファイト・クラブ』を北欧ホラーにしたような感じです。
パケの仮面が気になる作品ではありますが、仮面はほぼ活躍しません。
仮面をつけて生活してる狂った家族だと思ったのですが、弟以外は着用しません。
見えない仮面は被っているという設定ではありますが。
この作品が好きな人は『ブルー・マインドも見て欲しいですね。
まとめ
どんでん返しは無いですし、科学的な説明も付かないので、そういった部分を求める人には合わないと思います。
下記が好きな人には良いですかね。
『複製された男』
https://www.youtube.com/watch?v=gZhPn7P74lI
『ブロークン』
https://www.youtube.com/watch?v=HFgDYnCJEP0