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映画『THE UPSIDE/最強のふたり』感想

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 明日3/1(水)より、フランスの名作映画『最強のふたり』が、Amazonプライムビデオにて配信開始予定なのだそう。

そして本日投稿するのは、そんな『最強のふたり』のハリウッドリメイク版!

劇場公開はもう3年くらい前だったかな?
なぜか劇場公開用と配信用でタイトルが異なっていた本作ですが、これもまたアマプラ作品なので、気軽に観られるかと。

人生を動かす出逢い


 「障害」ではなく「障碍(障礙)」と表記するべきということは重々承知ですが、例えば人生における困難や壁を指す言葉としての「障害」との書き分けをしていると、ある種どちらにも当てはめられる抽象的な表現、解釈をする際に書きようが無くなってしまいそうなので、今回は「障がい」で統一して述べていきます。私の無知・言葉足らず故の事です。ご容赦ください。



老人が座る車椅子に青年が立ち乗りし、共に笑顔で走るカット……。映画サイトやらポスターやら、この映画(2012年制作のエリック・トレダノ版(以下:「前作」と表記)も含め)の良さを伝えるには「もうこれが一番」というか、「もはやこれしかない」ってぐらい象徴的なカット

(デルによって手直しされた)車椅子に2人乗りで街を走る——前作も同様、本作における象徴的なこのシーンを上手く利用したラストも良かったんですよね。フィリップの誕生日パーティーの最中、ハイになったフィリップとデルは部屋中を2人乗りで駆け回る。その彼らの顔を CCDカメラで撮ったような、顔の表情を映し出す構図が、二人がパラグライダーで空中を飛んでいくラストシーンで反復されることで、より強く印象付けられる。それは、その行為による所も然ることながら、構図のおかげで人物の表情がスクリーンいっぱいに映し出されることになり、より一層、彼らの笑顔が素敵に見えてくるんです。ここは間違いなく本作の見どころの一つに数えられると思います。それぐらい、この瞬間の二人の笑顔は素敵なんです。

この辺の話は役者の演技力に他ならないけど、デル(ケビン・ハート)と出逢う前と後ではフィリップ(ブライアン・クランストン)の表情が明らかに違う。同じ真顔にしても目が異なる。デルと出逢う前の彼の目には悲しみというか暗い心情が現れていたように感じられたんです。それがデルと出逢って次第に変化していく様、そして二人の友情の物語は、作品の形が異なろうとも変わらず美しい。

まぁリメイクって知った時は微妙な心境ではあったんですが……嬉しいような不安なような笑。あ、ちなみにタイトルは劇場公開用のもの。プライムビデオだと『人生の動かし方』ってタイトルになっているんでお気を付けを。



 本作は全体的に観易くなった印象です。ズームだとかのカメラワーク等で、笑えるコメディシーンと、ちょっと深刻だったりシリアスなシーンといったテイストの違いが分かりやすくなっています。コメディ色だけで言えば濃くなっているかもしれません。前作を劇場で観ているわけではないので単純な比較はできませんが、本作は劇場でかなりウケていました。健常者と四肢麻痺の障がい者、失業中の前科持ちと大金持ち、白人と黒人……。二人の違いを知らしめる環境や外見の差によって、物語が重くなってしまいかねない本作にとって、コメディ要素は必要不可欠ですもんね。


 (これは僕だけに限った話なので申し訳ないんだけど、前作で用いられた「トムとジェリーだ」という、個人的に超お気に入りの笑えるシーンが未だに忘れられなかったためか、オペラのシーンでは何度も笑ってしまった。いやホント、「何言ってんの」って感じだと思うけど、トムジェリ好きならきっと笑えるはずなんです。)



 魅せ方や設定、物語の着地等、リメイクされ変更された部分は色々あったけど、その中でもフィリップとデルがぶつかるシーンが凄く良い。互いに感情が毛羽立ってしまい、ちょっとした諍いをきっかけにヒートアップしていく。それぞれ別の不自由を抱える者同士が感情的に衝突する。そんな喧嘩の真っ只中にも関わらず、身動きの取れないフィリップに代わってデルが部屋中の物をブッ壊すシーンには不思議な魅力があるんです。唯一無二の友情を築いていた二人を知っている観客にとっては、一見、とても心苦しく思えるその衝突の中で、“デル相手には本音をブチ撒けているフィリップ” と、“感情的になっているのにフィリップの心情に寄り沿いながら喧嘩を続けるデル” を見つけ出すことが出来る。
”あのフィリップが”、本音をブチ撒けている……。または、”デルが暴れれば暴れるほど”、フィリップの怒りが明白なものになっていく……。特殊な設定というか関係によって、逆説的に互いの絆の強さを浮き彫りになるこのシーンは本当に素敵だと思いました。



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