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映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』感想

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過去の感想文を投稿する記事【108】

 昨日、映画『ライオン・キング(2019)』感想文を投稿しましたが、「ライオン」繋がりってことで、急に本作のことを思い出したので投稿しようかと。

 よければ読んでくださいー。


「実話」ってやつに弱い


 “実話である” という事実は、作品の特性に大きく影響を与え、魅力ある映画へと昇華させてくれます。しかし、そんなメリットと同時に、そのエピソードが現実に広く知られている事実だった場合は、あまりにもド直球な “ネタバレ” になってしまうデメリットもある……。けれど、その上で「泣かされた」となれば、それは本作の演出力に他ならないはず。クライマックスからエンドクレジットに向かう暗転時に映し出される “とある字幕” が私の涙腺ダム決壊に拍車をかけやがるんです。

 この映画は、ラストシーンにドラマとして最高潮の部分をぶつけ、そのままテーマソングを流してエンドクレジット……、という、一番気持ちの良い状態のまま劇場を後にできるという素敵な構成なのですが、逆にそれは、物語の締め括りに物足りなさを感じる危険性を孕んだ、実はとても攻めた構成でもある気がするんです。(上手くたとえられるかな?)

 童話『桃太郎』で言えば「鬼を退治して宝物を持ち帰った」で終わる感じ。「桃太郎とお爺さんとお婆さんと犬、猿、雉たちは幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし♪」の部分が無い!みたいな感じ。これでは気持ち悪い。(うーん、上手く言えない汗)

 にも関わらず気持ちよく終われたのは先述の “とある字幕” のおかげ。これが「めでたし×2」的な役割を果たしてくれる上、ここでようやくタイトルの意味や事実が明かされ、モヤモヤを全て払拭して劇場を後にできるんです。

 そういった、感情の余韻を邪魔しない粋な計らいも然ることながら、その後のエンドクレジットの途中で、本作のモデルとなった本人とその家族たちの映像が映し出されるという『最強のふたり』的な演出もヤバイ……(大決壊)。そういえば『最強のふたり』では、そのヒットをきっかけにフランス映画の魅力が再認識され、後々のフランス作品の日本での劇場公開などに影響を与えた、みたいな話があったらしいですけど、同じく実話を基に作られた本作もまた、オーストラリア映画にスポットが当たるきっかけにならないものかと密かに期待中なんです。僕の個人的No.1映画もオーストラリア映画だし笑。


 あと、個人的に見どころの一つだと思うシーンがあって、それは幼少期のサルーが飛行機に乗るシーン。座席が並ぶ通路の奥に彼が映るカットは、兄と離れ離れになってしまった列車でのシーンを思い起こさせるよう。そして飛行機が離陸する瞬間、うっすらと列車の「ガタンゴトン」みたいな音が聞こえてくることで、セリフなど言葉にこそされてはいませんでしたが、列車に乗ってしまった時と似たような心情になっていたんじゃないかと思えてくるんです。どこか遠くの知らない場所へ向かうという、不安というか、幼少期のサルーの気持ちを窺い知れる、素敵なシーンだと思いました。


 ちなみにテーマソングはSia。まぁ出身地を考えたら有り得なくもない話なんですけど、全然予想していなかっただけに、こんな素敵な映画のテーマソングを自分が大好きなアーティストが歌っているという事実が、単純にとても嬉しい笑。もともと彼女の楽曲が好きであるという贔屓目を考慮しても、めちゃめちゃ素敵な曲だと思います。


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