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映画『ワンダー 君は太陽』感想

予告編
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過去の感想文を投稿する記事【100】

 昨日、奇形に生まれた実在の人物をモデルにした映画『エレファントマン』感想文を投稿しました。

 だからって訳じゃないんですけど、本日投稿するのは、生まれつき他人とは違う顔を持っている少年が主人公の物語『ワンダー 君は太陽』の感想文です。字幕など文言や映画情報サイトの紹介文などを目にするとわかりますが、『エレファント・マン』の頃は「奇形」などの言葉が記されていますが、近年ではそういう言葉は用いられなくなっているようですね。作品の字幕に載っていたとはいえ、『エレファント・マン』の感想文ではそういった言葉を平然と使っていました。敢えて用いるならともかく、何も考えずに。
反省。


 さて、ネット記事情報ですが、なんでも、続編(シリーズ化?)の制作が決まったんだとか。めちゃくちゃ嬉しい!

 感想文を書くタイミングでは原作の小説は未読だったのですが、その後、読んでみたところ……もうね、映画本編より涙腺がやばばばば……。

 僕が読んだのは本作の原作となった『ワンダー』、そしてそのスピンオフである『もうひとつのワンダー』。本作を観て感動した方、或いはこの感動をもっと味わいたいと思った方には是非オススメしたい本です。

 ……ちなみに、なんか調べたところによると、続編の原作となるグラフィックノベルは日本では読めないんだとか(note投稿時)。マジかよ!!泣

 色々と脱線しちゃいましたが、以下から本文です。公開当時の感想文ですが、よければ読んでくださいー。


痛み


 『ウォールフラワー』(感想文リンク)でも思いましたけど、スティーブン・チョボスキー監督が描く青春の苦さや痛々しさは心臓のド真ん中にブッ刺さる。これは、友達が多かろうが少なかろうが関係ないんじゃないかな。その友人の輪の中に全く同じ人間なんて居やしないのだから。


 タイトルに偽りなく、主人公・ワンダー(ジェイコブ・トレンブレイ)が太陽のように中心に在る物語でありながら、本作には彼以外のドラマにも胸を打たれます。

 この物語の何に、どこに心を動かされるかは観る人それぞれ。なので全てに焦点を当てることはできません。このレビューで述べられているドラマ性への感想はごく一部。


 殊、“青春” に必ず付随する “若さ” という、人生の中でも特異な時代の者のみが強く抱える悩み苦しみは多くの共感を呼ぶ気がします。この共感の数が多ければ多い程に先述の「ブッ刺さる」が深くなる。

 あまりにもきらめいていて、なのに不安定。輝きだけでなく脆さが同時に存在するから、“青春” とは時に残酷な側面が顔を覗かせる。考えればわかるはずなのに、迂闊にも大切な人を傷付けてしまう……それも、あまりにも軽率に。
 いじめや差別とはまた違う。親密な間柄が故に、気の緩みなのか、甘えなのか、「そんなつもりじゃない」はずなのに、咄嗟に口から出た言葉が刃となり牙を剥く。

 加害者にも痛みは伴う。「言われた(傷付けられた)方は覚えている」なんてよく言いますけど、本当に痛みを感じているなら、お互いに楔のように苦い想いだけが残るはず。その傷を癒すのは、愛する家族にだって困難でしょう。

 唯一癒せるのは、同じ痛みを知る者。似た境遇の者だって構わないかもしれないけれど、何よりその痛みを一番よく知る者……。だから “仲直り” というのはこんなにも美しい。


 ワンダーが傷ついたのは、一見すると先天的な外見のことかもしれませんが、事の本質は、そういった壁を乗り越えて生まれた “友情” の破綻だったに違いありません。ずっと「自分」だけだった幼い世界に、ある日現れる対等な「他人」を享受することを大人になることの一つだとし、それ、もしくはその過程を仮に青春と呼ぶならば、大人になるための青春という十数年はなんと濃密なことでしょうか。……我ながらクサ過ぎる見解に反吐が出そうですが、この映画を観て正直にそう思わされてしまったんです。やっぱり映画を観た後って、こういうことを言いたくなっちゃいますよね笑。



 ついつい「難病モノ」「お涙頂戴モノ」という先入観がありました(実を言うと僕も)けど、本作は、誰もが悩み苦しみ戦っているんだということを丁寧に、繊細に描いている作品だと思います。主人公のワンダーだけでなく、その周囲の人々を多面的に描き、しかもそれぞれが観客の感情を力ずくに引きずり出そうとするわけではなく、ある時は一歩引いて、セリフ等説明に頼らず、抑制の効いた演出がとても素敵な映画。あまりにも綺麗にまとまってしまっているものの、その性善説というか、人間の良心を疑うことなく信じ切ったような作り上げ方が、原作である児童文学小説と同様の役割を果たしているんじゃないかな(年内には原作も読んでおかなければ)。


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