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映画『ソニック・ザ・ムービー』感想

予告編
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 2020年公開の映画。

以前に投稿した『トムとジェリー』感想文の中でも少しだけ言及しましたが、ビジュアル面について若干(?)ひと悶着あった本作。

でも無事に劇場で鑑賞できて良かったです。

続編の『ソニック・ザ・ムービー/ソニックvsナックルズ』の感想文こちらから。


楽しみにしていたからこその利点と弊害w


 ソニックについて基本的な説明は要らないはず。今じゃ任天堂のマリオとも肩を並べる程の有名キャラクター。ただ本作は、“どのソニックが好きか” という趣味嗜好が、本作の評価に直接的に関わってくるかもしれません(ちなみに僕は『ソニックアドベンチャー2バトル』)。

なんたって、予告編のティザームービー公開直後に「ファンが納得しない」って理由だけでソニックのキャラデザインが変更されたぐらいだからね笑。「どんなに不安・不満でも、観るまでは文句は言わない」を信条にする人も多いでしょうが、この騒動については僕も共感してしまいました。

結果として、ゲームに登場するソニックそのまま(ゲームの設定に比べて小さい見た目。なんとなくモダンソニックとクラシックソニックを足して2で割ったような)のデザインに落ち着いて、ファンも大納得だったのだが、だからこそ本作の評価は難しい。


原作へのリスペクトは当然として、だからといってオマージュを入れれば良いってもんじゃない(あ、でもチリドッグ好きとか映画好きの設定は良いと思う! 随所に出てくる、名作映画をもじったセリフの良さも際立つしね)。映画の話をしたいのに、ゲームの話になってしまいそうだ……。お察しの通り、僕もソニックが大好きなんです笑。



 リングをワープアイテムにしたことと、過去のゲームシリーズには無い新たなストーリーに仕立て上げていたのには好感が持てます。映画のド頭、パラマウントのロゴと同時に流れる「ティロリン♪」という音。ソニックシリーズをプレイしたことがある人なら一発でわかる、リング獲得時の独特のSEだけでも「ああ、ソニックの世界にやってきた」という高揚感に繋がる。ゲーム攻略のためのツールでしかなかったアイテムでありながらもファンにとっては趣深いリングが、物語のキーとして機能しているのは地味に嬉しい。

ワープという機能のおかげで世界が一気に広がり、ソニックのスピード感を様々な背景で楽しんで貰おうという魂胆なのかな? だとしたら、万里の長城→砂漠→都心のビル街などと、次々に場所を変えていく展開に「わぁ♫ チュンナンだ、シャマールだ! エンパイアシティだっ!!」と興奮しながら『ソニックワールドアドベンチャー』のステージ名を思い出していた僕は、作り手の思うツボ。敵のマシーンのデザインに関しては、どことなく『ソニックフォース』を想起させる見た目が多かったし、クラシックソニックよりはモダンソニック寄りなのかも……?

個人的な好みだけど、ソニックが若干、女々しく見えちゃうのだけはビミョーだったなぁ……。まぁ他にも幾つか首を傾げたくなるところはあったけど、それがあくまで “ゲームと比較して” っていう話であって、先にも述べた通り、どのゲームソフトに親しみを持っているかで感じ方は変わってくる。映画としてどうこうって話じゃない。



 本作の良いところはわかり易さ。ビジュアル変更騒動からも何となくわかる通り、そもそもお客さんの多くは “ソニックを見に来ている”、つまり端から整合性なんて求めていない(笑)から、ワープだとか科学考証ガン無視のSF感などでも興覚めしない。説明チックな台詞や辻褄合わせに時間を割くようなノロい展開はソニックらしくないもんね。そんなぶっ飛んだ世界観だからこそ「これでもか!」ってほどのジム・キャリー節も抵抗なく楽しめる。そして、ちゃんとしたテーマが内在しているようにも見えるのもまた素敵。



 常人には到底できない、且つ唯一無二の特別な能力を持つ主人公の存在は、ともすれば一見、ヒーロー映画を想起させるような設定。実際、これまで世界中でヒットしてきたゲームの物語では、その能力を用いて何度も世界を救っている訳だし。

けれど本作には、“その特別な能力があるからこそ可能な形の人助け” というヒーロー映画らしいポイントがあまり無い。それどころか、人目につかないよう隠れて暮らしていた程だ。特別な能力、何か秀でた個性があっても、それがマイノリティになり得てしまうことを示しているよう(ちょっと女々しいだなんて思ってしまったのは、ゲームでのあっけらかんとした彼の姿との対比のせいかもしれません)。

ソニックの「オレTUEEEEE!」な展開や、ゲーム版のようなスピード感溢れる爽快な映像といったアクション的要素をついつい期待してしまっていた僕にとっては、良い意味で期待とは異なっていた印象。

自分を卑下するのではなく認めてあげる、或いはそれを後押ししてくれるバディとも呼べる親友の存在のおかげで生まれる自己肯定の美しさ。悪い奴をやっつける勧善懲悪の流れ、且つ、現実離れした特殊能力とSF感のおかげで痛々しさも無いし、バーでの乱闘シーンに代表されるような王道の展開の数々が、先述のわかり 易さに繋がっているんじゃないかな。



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