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映画『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』感想

予告編
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 昨日、映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』感想文を投稿しましたが、それと同じくインドの実話をアクシャイ・クマールを主演に迎え実写化した本作。

 そんな共通点から、ふと思い出したので投稿することにしたのですが、読み返してみたら本文中でも全く同じこと述べてました笑。

 しかも調べてみたところ、制作チームも一緒なんですって。

 よければどうぞー。



既成概念をぶっ壊す


 ド頭からよもやま話です、すみません笑。

 漫画『宇宙兄弟』で大好きな話が一つあって。アニメ版では宇宙飛行士の野口聡一さんがご本人役で声の出演をされていた “蟻の話” のシーン。

一直線の上を前後にしか進めない “一次元アリ”。そんな彼らの前に小石を置くと、一次元アリたちはそれ以上前に進めなくなってしまう……。でもそこに、前後だけではなく左右にも行ける “二次元アリ” が現れ「小石の横を回って行けば良い」と言って、線から外れて進みだす。こうして二次元アリたちは、その小石を越えて先へと進めるようになった……。

しかしその先には、横に延々と続く壁があり、また進めなくなってしまう。すると今度は、前後左右、そして上下にも動ける “三次元アリ” が現れ、「乗り越えて行けば良い」と言って、壁を登り出す。そうして三次元アリたちは、さらに先へと進み、新しい世界を知ることができるようになる……。



 ……とまぁ、かなりざっくりとした要約ですが、この話は “地球上に山ほど問題がある中で何故、人類が宇宙に行くのか” という宇宙計画の意義や意味についてのお話の中で出てきたもの。

——今抱えている問題を別の視点から見ることで、新しい解決策に繋がるんじゃないか——そういうメッセージが込められた、たとえ話。



 本作は、副題からもわかる通り宇宙計画についての映画。予算も少なく、経験の浅いメンバーばかりで構成された崖っぷちのチーム、要するに閑職というやつ。しかし女性科学者たちによる節約術や、家庭での知恵から閃いたアイデアで様々な困難を乗り越え、火星探査ミッションに挑む物語。

まぁ色んな意見はあると思いますけど、先述した三次元アリの話があるじゃない? なんと言いますか、“宇宙計画の意義・意味でもって宇宙計画に臨む” という構造そのものが素敵だと思わされたんです。家庭でのガス代節約術、狭いリビングの収納術などなど。「火星を目指す」という大きなスケールからは思いも寄らない、めちゃくちゃ身近な視点から突破口が開いていくという面白さ。しかもこれが実話ってのがまた良い。

この構造のおかげか、そもそも “宇宙を目指す” という単純なロマンによるものなのか、本作は夢だ何だといった胸アツワードとの相性が物凄く好い。こういったところも含めて『宇宙兄弟』を思い出しちゃったのかな笑?


 上を向く、高みを目指したくなる、背中を押してくれる言葉の数々が、まるで少年漫画のように胸をアツくさせてくれる。そして大人達の物語でありながら、彼・彼女らがミッションに取り組む姿勢のその根底には、まるで『遠い空の向こうに』のような、子供の頃のドキドキやワクワクといった胸の高鳴りを思い出させてくれる美しさもある。


 そんな多くのセリフに負けず劣らず、演出面でも王道な要素が見受けられたのも良かったです。これまた相性が好い。BGMが次第に小さくなっていき無音になり、背を向けた途端に聞こえる信号音。何かを閃いた瞬間の喜び、或いは「もしかして……!!」という期待感、相手の言葉や想いが胸に染みていく様子を表すかのようにズームするアングル……等々。

ベタで結構! ストレートの伸びの良さというかさ、こういったド直球な描かれ方は、老若男女を問わず、いつ何時でも心を豊かにしてくれる。


 特に、閑職に就くハメになってなかなかやる気が出せないメンバーの心に火を灯すためにタラ(ビディヤ・バラン)が “誕生日会” をするシーンは個人的に凄く好き。

 逆に、ユーモアに富んだシーンがあるのも素敵な魅力の一つ。会議に乗り込んで電話のフリをするシーンもそうでしたけど、緊張や興奮の中にクスッと頬が緩むような瞬間が挟んである。内容もそうですが、アクシャイ・クマールが出演していたり実話がベースだったり、どこか『パッドマン』にも似た魅力があるんじゃないかな。「“DAD” なら失敗だった」など、冗談まじりに女性へのリスペクトが窺えるセリフが散見されるのも同様に良い。



 本作は、やたらと、それも濃い目のステレオタイプが散見される印象があります。亭主関白な夫とか、出産が上手くいかないことを義理の娘一人のせいにする姑だとか、女性が働くことに否定的な男だとか……。まるで、予算が少ない、経験の浅いメンバーばかり、そもそも今のインドの科学力じゃ火星なんて云々などとほざいて、火星探査ミッションを「無理だ」「無謀だ」と端から否定してくる奴らそのもの。このチームが置かれている現状をわかり易くしてくれる工夫の一つだと思います。こういう所も面白かったです。


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