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映画『Mr.3000』感想

予告編
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日本語版の予告編が見当たりませんでした。許して。


過去の感想文を投稿する記事【63】

 本日6月19日は『ベースボール記念日』という日なんだそう。1846年のこの日、アメリカで公式記録に残る史上初の野球の試合が行われたんだとか。

 そんなわけで、本日は野球に関する映画『Mr.3000』の感想文ですー。WBCのドキュメンタリー映画も公開中というのもありますが、WBCでのシーンを思い出す瞬間もありましたので、併せて観ても良いかもしれません。


 多分、、、学生の頃に観て書いたやつ。今どっかで配信とかしてるのかな?


心の友


 生涯3000本安打を達成し、野球界殿堂入りを確実なものとした主人公・スタン(バーニー・マック)は、偉業を達成した途端、シーズン中にも関わらず引退してしまう。しかし9年後、公式記録に誤りがあり、実は記録まで3本足りないことが発覚。改めて野球界殿堂入りを果たすため、主人公が現役復帰するという物語。


 まぁ、あらすじを軽く眺めただけでもとんでもない人物であることが窺い知れますが、とはいえ、ビッグマウスというのはおそらく世間が思っているほど悪い事ではない気もします。問題なのは、その態度自体に違いないはずだから。それはスタンを見ていればよくわかる。「なんて傲慢なんだこの男は!」と言いたくなる、絵に描いたような大仰な不遜ぶりはコメディ作品らしくて凄く良い。過去の栄光を振りかざしては、全く関係ない分野でもネームバリューに託けて雑な商売に走り……。とどのつまりが自己顕示欲や承認欲求を満たすことに終始するばかりで、お手本のように嫌われる要素の盛り合わせ。どれほど立派な記録や功績、過去があろうと、その活躍ぶりすら描かれることなく冒頭から嫌な奴であったために、観ている者は一切の尊敬もなく彼のことを嫌いになれる笑。だから偉大な記録まで3本足りないという事実も「ざまあみろ」と喜べるだろうし、そこから彼の衰えっぷりが露呈することで、彼があからさまに恥をかき、栄光から転げ落ちていく展開も楽しめる。本作は “傲慢な人間が痛い目に遭う” ことをしっかり描いてくれているから面白いんです。


 しかし、それだけでは終わらないからまた更に良い。確かに「傲慢」「高慢」といった言葉の権化のような男でしたが、ちゃんと反省する……ときどき悪い部分が顔を出しちゃうけど笑。最期には自分自身よりもチームを重んじ、言葉だけではなく行動で、プレーで示して見せてくれた。そこには、あんなに嫌な奴だった彼のことを大好きになり応援している自分が居る。そう、(呼び名こそ様々ですが)これはまさしく “ジャイアン、映画版だといいヤツに見える” あの感覚に他ならない。きっとこの物語の後の彼らは “心の友” になっていたに違いありません。



 あと、本編では少ししか流れていませんでしたけど、ホルストの『惑星』の第四曲『木星』が、DVDのメイン・メニュー画面でがっつり使われていたのは個人的にとても嬉しい。(←字面だけだとわかりにくいと思いますが、平原綾香さんの『Jupiter(ジュピター)』の原曲です)

感情を震わせるような美しいメロディも当然のことながら、“木星は惑星(組曲)の中で一番大きい” けど、“木星も『惑星(組曲)』というチームの一つ(一員)である” という事実、主人公の特徴と楽曲の特徴がリンクする解釈を連想させてくれます。「自分はチームで一番大きい(=木星と同じ)んだぞ」とでも言わんばかりにチーム内のジャイアン的存在だった主人公が、チーム(惑星)のためにプレーするまでの物語ととても相性が好く、グッときました。


いつもは『映画.com』の作品ページのリンクを載せているのですが、本作のページが存在しなかったので、今回だけは『Filmarks(フィルマークス)』から引用。
……そんなにマイナーな映画だったんですね、コレ。

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