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映画『ザ・フラッシュ』感想

予告編
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フラッシュだからこそ


 過去に干渉することで、未来が変わってしまう……。母親を救おうとした結果、世界が大きく形を変えてしまう……。そんなバタフライエフェクトに振り回されるという面白さを飛び越えて、映画の世界とはまた別の、現実世界での諸事情を知ってしまっているばかりに、全てがDCユニバースの離脱&加入フラグにしか見えなくなってしまいます笑

 「これであの俳優はこの世界観からはフェードアウトするのかな?」とか、先日ネットニュースにもなっていましたが、「新たなスーパーマンを迎え入れる準備が進んでいるのかな?」とか、鑑賞中、幾度となく雑念が過っては「いかんいかん、集中せねば!」となっていました。キャストが異なろうとも、やはりそれぞれで愛着みたいなものは湧くものなので、“結局、新しくなったやつも大好きになる!” のは何となくわかってはいるものの、それでもお別れの時を迎えるのは若干寂しいものです

 とはいえ、別れは新たな出逢いの始まり。昨年公開の『ブラックアダム』(感想文リンク)のポストクレジットシーンを観た時の喜びが、たとえぬか喜びだったとしても、前に進まなければなりませんよね。

 ……しかしながら本作では、そんな風に「もう会えない」と思っていたはずのヒーローの姿を拝むことが出来ます。予告編の動画を見た時はマジでびっくりしました。過去の改変による、こういった別の世界線のヒーローたちとの共演・共闘というだけでもテンションが上がる上、他にも過去のDC絡みの小ネタが幾つも見受けられました。



 
 そんな本作を、IMAXにて鑑賞。全編IMAX映像の本作には、それに見合った見応えがあったと思います。落雷を呼び込む凧や、フラッシュを抱えて上空へと飛び立つスーパーガール等々、やはり縦の動きが際立つシーンがより印象的になります。ゾッド将軍(マイケル・シャノン)らによる地上への攻撃シーンもそうだし、序盤でフラッシュ(エズラ・ミラー)が倒壊寸前の病院で奮闘するシーンも同様。

 ……なんかIMAXで鑑賞した時はいつも、バカの一つ覚えみたいに「縦の動きが~」と同じことを述べてしまっている気もしますが笑、本当に見応えが上がっていると思います。以上の他にも縦の動きが活きているシーンがあるので、そういった目線で観ても面白いかもしれません。
 


 そういった縦の動き、或いは縦の広がりということで言えば、一番の見どころは本作の肝にもなっている、時間を遡っている際の描写(スピードフォースだ何だと、とにかく凄い理屈で成り立っているみたいですが、その辺の説明は割愛)だったと思います。フラッシュを中心にし、過去の様々な出来事・光景が彼を囲うように円形に広がり、その円形状に映る過去の光景は、円の外へ外へと行くほど、より昔の、過去の光景になっている。また、円の外側へ行くほどに過去の光景たちはどんどんと高い位置に描かれていくので、そのスピードフォースによる時間逆行シーンは、まるですり鉢状のコロシアムのようにも見えてきます。

 どことなく『インターステラー』(感想文リンク)のクライマックスシーンをも彷彿とさせるような五次元的な見せ方は、時として、“無限に広がる” という計り知れないはずの世界観を、若干せせこましく感じさせてしまう恐れもあるかもしれません。言葉だけでイメージしていた時に比べ、実際に二次元の映像に落とし込もうとすると、スケール感が小さくなってしまうという……。

 しかしながら、より過去の出来事になればなるほど高い位置に描かれるという描写が、IMAXという従来のシネマスコープよりも縦に大きいIMAXスクリーンの特徴と相俟って、前述のせせこましくなるかもしれない懸念を軽減させていたように思えたんです。本当に、ちょっとした印象の違い程度の差ではあるかもしれませんが、他のどんな要素よりも、この部分が最もIMAXで鑑賞した甲斐があったと感じられた理由になりました。

 その他、回想シーンやフラッシュバック時に聞こえてくるセリフや、雷鳴がそこかしこで轟くシーン、戦場を縦横無尽に駆け回るバトルシークエンスなど、各所で立体的に音を感じられることもあったので、映像的な面だけではなく、本作は音響面でもIMAXとの相性がとても好かったんじゃないかな。
 


 基本、これまでのフラッシュ(あくまで『ジャスティス・リーグ』までのフラッシュ)に多用されていたスロー映像の描写は、フラッシュ自身の超スピードを表現するという側面が大半だったように思います。(フラッシュ以外を全てスローにすることで、相対的にフラッシュが超高速で動いているように見せている。)

 しかし本作でのスロー描写の中には、速さを表すだけではなく、フラッシュ/バリー・アレンの心情にフォーカスするものも多かったように見受けられました。ドラマチックな場面やエモーショナル瞬間をスローにするというのは、決して本作だけの専売特許でも何でもないのですが、本作では物語上、スロー描写が必然的に描かれるので、とても自然な形でスロー映像を多用できていた気がします。だからこそ、スローが多用されていても決してクドくならないんじゃないかな。フラッシュだからこそ際立つ、フラッシュらしい心理描写。アクションとしてもドラマとしても、『フラッシュ』の名を冠した堂々の単独主演ヒーロー映画に相応しい作品だったと思います。


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