映画『キングダム2 遥かなる大地へ』感想
予告編
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以前、映画『キングダム』の感想文を投稿しましたが、
今日はその続編『キングダム2 遥かなる大地へ』の感想文を投稿しますー。
強さのものさし
大人気漫画原作の実写版第二段(とはいえ、原作の話はしません。あくまで映画の話だけです。悪しからず)。魏国軍と秦国軍が平原にて攻防を繰り広げる本作は、王宮奪還を描いた前作と比較すると、戦場のスケール感が段違いに広くなっていて、さらに迫力が増していた気がします。IMAX上映ながらも全編を通してシネマスコープになっていましたが、縦の広がりや高さを際立たせるもの以上に、戦場の広さや兵の多さが印象的だったため、スクリーンのスクリプト比に関しては何も問題無かったんじゃないかと。
じゃあ何故わざわざIMAXなのかって話なのですが、それはやはり音響を立体的に楽しめるから。多くの兵が突撃する際の怒号や足音、そして戦場を駆け回る騎馬隊などの音があちらこちらから聞こえてくるという、正に戦場のど真ん中に居るかのような感覚を味わえる。あと、前作の感想文でも少し述べましたが、本シリーズのテーマ曲の一節——コントラバスだか何だかよくわからないけど、弦楽器や打楽器の重低音でテンポを刻んでいる部分から始まるとこ——が大好きで、その部分を耳だけじゃなく腹の底からも堪能できるという点でもIMAXの音響で味わえて良かった。
しかしながら本作では、その部分が全然流れてこなくてさ……と思っていたら終盤のあるタイミングで流れ始める。どことなく映画の締め括りに向かう雰囲気もあった中で流れてきたもんだから不意を突かれた感じだった。 ”「物語が動きだすぞ!」「前進し始めるぞ!」みたいな雰囲気がカッコいいのだ” と前作評で述べましたが、それをこの場で持ってくるとは……。前作同様、本シリーズには、まるで主人公・信(山崎賢人)を象徴しているかのような「前に進み続ける」という精神的な魅力を感じています。
映画『キングダム』には「まだ終わらないぞ」という締め括りがホントによく似合う。だからこそ、このタイミング。本シリーズの、いや、信たちの物語はまだまだこれからだと言わんばかりの着地は、とても『キングダム』らしいと言えるんじゃないかな。
前作にて嬴政(吉沢亮)が、共に戦うことについての覚悟を問うために信や楊端和(長澤まさみ)に対して用いた言葉——〈修羅の道〉——。本作ではその言葉自体が出てくることは無かったものの、描かれる死線の数々は正に修羅の道と呼べるものだった。羌瘣(清野菜名)が歩む道も、縛虎申(渋川清彦)らが突き進む道も、圧倒的戦力差の中でも戦わざるを得ない一兵卒たちも。主に秦国軍の兵らが歩む所の全てがそうだったと言っても過言ではない。
そこまで思えてしまうのは、一作目以上に〈死〉が印象的だったから。前作でも主人公の親友・漂の死は大きなものとして描かれていたけれど、本作では様々な死が描かれていく。……ネタバレ防止のために細かくは言えんけど。
これら修羅の道とも呼べる逆境のハネ除け方が本作一番の魅力。地形の不利、圧倒的戦力差など、一見すると抗いようのない状況でも、どうにかこうにか乗り越えて行く。そしてそれらは、強さの物差しが一つだけではないのだと示してくれているようでもあり、それこそが面白さたる所以。
序盤、屈強な敵兵に「一人では何もできない」と言われながらも、仲間と協力して敵を退けた伍長(濱津隆之)が「これが伍の戦い方」「立派な戦法」と口にするのも。
騎馬隊の突進をまさかの手法で妨害するのも。
敵の裏をかいて攻め入ることも。
終盤に河了貂(橋本環奈)が口にする「オレは頭で戦う」というセリフも。
そして何より、突き進むだけしか能がなかった信に対し、天下の大将軍・王騎(大沢たかお)が諭した大切なことも——。
本作で描かれる多くの事柄が、先述の面白さたる所以――強さの物差しが一つだけではない——に繋がっている気がしてなりません。異質さや無謀さが故の無双ぶりを発揮してきた前作とはまた違った魅力だと思います。
一方で、そんな前作と変わらない信の暴れっぷりが残っているのも良かったです。突撃の号令がかかり、一斉に駆け出す兵士たち。その中で、集団を置き去りにするスピードで敵陣に突っ込んでいき突破口を切り開く信の姿は、まるで『アベンジャーズ/インフィニティ・ ウォー』でのキャプテン・アメリカやブラックパンサーのよう。周りの兵士たちが追いつけないほどの速度、即ちそれだけで超人的な運動能力が窺い知れるという、構図的な相似も然ることながら、一人だけ奴隷出身で明らかに周囲とは異なることが際立っていた前作とは違い、有象無象の兵たちの中に入れられて、若干薄まっていたかのようにも見えた信の異質さ、延いては物語の主人公感を再び呼び戻してくれたという意味でも、非常に良いシーンでした。
最期の最後には素敵なオマケもあり、非常に満足のいく時間を過ごせました。
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