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映画『グレイマン』感想

予告編
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 昨年の中頃の感想文なので、時勢・時節と合わない部分もあるかもしれませんが、よければ読んでくださいー。

キザ


 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。ネトフリでも観られるのですが、これは劇場で観てナンボのアクション映画なのではないかと。今の技術だからこそより映えるような王道のアクションっていうんですかね? 迫力ある映像が何よりの見所だと思います。近年、ディズニープラスやら他の動画配信サービスが延びてきたせいもあり、ネットフリックスは契約者数が減ったとかなんだとか。一部ネット記事では「ネトフリ不調」なんて見出しも載っていた始末。まったく何を言ってんだか笑! ネトフリはまだまだ面白いものを生み出し続けてくれると信じています。



 アドベンチャー要素も感じられるほど様々な場所で物語が描かれる本作ですが、物語の舞台が変わる際、必ず先にその街や建物を俯瞰で捉えたようなドローン映像が流れてきます。「次のバトルステージはここだ!」と言わんばかりに舞台の全貌を大きく見せ、そのまま滑空するように速い動きで屋内までカメラが進んでいく。この場面転換があることで、目が回るようなアクションシーンが訪れても、敵味方それぞれの位置関係が容易にイメージし易くなるので、より深くアクションシーンを楽しむことができます。

もっと言えば、ドローン(多少CGも混ざってはいるけれど)による速い動きを用いることで、テンポを落さずに物語が展開していくのも良いと思います。このドローン撮影が逐一かっこいいというか、やたら躍動感ある動きなのも良いですよね。映像酔いしやすい方には申し訳ないけどさ笑。そもそも退屈するような内容ではないんですけど、その上で、さらに退屈になるような瞬間が一つ一つ排除されていたような印象です。


 ステージの見せ方一つ取っても魅力的なんですけど、そんな見せ方に負けないスケール感や超人っぷりが凄くかっこいいのも個人的に大好き。序盤、主人公のシックス(ライアン・ゴズリング)がパーティー会場みたいなところで、ターゲットが居る真下のフロアからターゲットを狙い撃とうとするシーン。1フロア下から狙っているのかと思っていたら、まさかの2フロア下から。なんかあまりにもサラッと描かれていたから見逃しそうになっちゃいましたけど、たったこれだけで主人公のレベルの高さが窺い知れる。そういった能力値を説明臭くなく観客に提示していた印象です。


 その後に描かれるカーマイケル(レゲ=ジャン・ペイジ)の激高シーンも良い。本部長として指示を出すのになかなか思い通りに事が運ばず、っていうかシックスが言う事を聞かなくて、苛立ったカーマイケルは飲み物が入ったグラスを目の前のガラスに叩きつけるんですけど、グラスを投げた瞬間に部屋の外のカットから彼を眺める画角になり、パリーンッ!みたいな音が一切聴こえない。「彼の怒りはシックスには届きもしないのだ」という皮肉めいた描写でありつつ、CIA本部長ですら簡単には扱えない男だということも同時に示していた良いシーンだったと思います。

そこに至るまでのアクションも含め、序盤からいきなり鷲掴みにされたような感覚でした。他にも挙げたらいっぱいあるんですが、純粋にアクションを楽しみたいなら劇場で観た方が楽しい映画だと思います。特に中盤の空中戦なんか堪らない。



 服役中だったシックスをフィッツロイ(ビリー・ボブ・ソーントン)がグレイマン(CIA工作員)として勧誘する冒頭のシーン。本作とは関係ないんですが、「弁護士ビリー・マクブライドが助けに来ている!笑」とか思っちゃってさ。作品を集中して観ていないが故の感想なんでしょうけど、そういった他作品のイメージのおかげで笑ってしまったということで言うと、クリス・エヴァンス演じるロイドが「超人的」という言葉使いを馬鹿にするシーンがあって、ここでも「あんた長いこと “超人” やってきたじゃないの笑」とか思っちゃって……。ちょっと脱線しちゃったけど、弁護士ビリーについてはともかく、“超人的” の批判は、意図的な気がしてなりません。

というのも、そう思えてしまうくらい、本作には素敵な皮肉やジョークがいっぱい詰まっているんです。王道サスペンスアクションと相性バッチリなキザな言い回しの応酬も観ていて楽しい。シックスとロイドの「いけ好かない奴だ」「お互い様だ」のやり取りなんて、いつの時代の愛の告白だよ! と思ってしまう笑。お互いがお互いを嫌い合う相思相愛っぷりがとても僕好み。

また、ロイドが初登場時からクソ野郎であることを明確にしてくれているから、間違っても主人公と良いライバルみたいなことにはならず、終始徹底して “倒すべき相手” として存在し続けているのも面白さの一つなんじゃないかな。



 「シエラだ。情報は無い」と言って煙の中へ消えていくとか、皮肉だったり安心させるための言葉だったりシーンごとに使い分ける「フツーの木曜日」などなど。その他セリフ以外にもキザな見せ方が冴える、面白いアクション映画でした。


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