働き方の選択肢が増えれば人生の豊かさに繋がる
こんにちは、理系専門職の複業支援サービス『RD LINK』の三浦です。
今回はRD LINKで実際にご活躍頂いているエキスパートの方にインタビューをさせていただきました。
RD LINKのエキスパートには、企業に所属しながら複業されている方、経営者として自身の会社を経営しながら複業されている方、ライフワークとして自分のペースで複業されている方など、バックグラウンドは様々です。
今回インタビューにご協力いただいたする濱舘さんは34歳で起業され、自身の会社の業務と並行しながらRD LINKの医薬品メーカーとのプロジェクト案件に参画頂いております。起業に至るまでのお話、現在どのようなスケジュールやスタンスで仕事をされているのか、濱舘さんが考える複業のメリットデメリットなどを、RD LINKのコンサルタントで濱舘さんのプロジェクトを担当している須藤がインタビュー形式でお伺いしました!
RDエキスパート:濱舘直史さん/インタビュアー:RD LINK 須藤
“一緒にいたい人“と繋がっていける環境作りとして起業を選択
-まずはご自身で立ち上げられた会社についてお聞かせください。
濱舘さん(以下、濱舘):株式会社ヴィッテは、途上国の栄養不良などの社会問題を持続可能な形で解決するため、ビジネスを通してチャレンジできる組織を創りたいと考えて設立しました。業務の主体は栄養補助食品の企画・販売です。CSRのコンサルティングも行っており、これまでに途上国の学校建設支援プロジェクト5 件を実施しました。健康食品関連企業向けに研究開発・学術部門を中心としたコンサルティング事業も行っています。最近では、機能性表示食品申請に必要な研究レビューの作成を始めました。
-なぜ起業しようと思ったのですか。
濱舘:自分が一緒にいたいと思う人達と繋がって生きていける環境をどうしたら創れるかと考えたとき、行きついた答えが自分の会社を創ることでした。
大学時代、長期休みを利用しては色々な国に留学したのですが、留学先には、何かしらの意志があり自ら留学というアクションを起こせる人々が集まっていて、とても良い出会いが多かった。狭い価値観がどんどん壊れていく感覚が楽しくて、こういう自分の意志のもと行動できる人たちと一緒に生きていきたい、関わっていきたいと思いました。
ただ、当時はまだフリーメールが一般的に使われ始めた頃でSNSも無かったので、海外で出会ったと友人とはなかなか継続的に連絡が取れませんでした。なので、関係を続けるのは難しいし、だんだん疎遠になって会わなくなってしまうことも多かった。どうしたら自分が一緒にいたいと思った人たちと関係を保てるのだろうと考えた時に、会社を創るという発想に至りました。
国内でも大学を卒業したら各自就職して散り散りになる。だから自分自身が会社という場を持っていれば、「こういう仕事を一緒にやらないか?」というオファーができる。それは自分の人生の豊かさに大きな差を生むと思いました。自分が望む環境を作りたいというのが最初のきっかけです。まぁ自分のことしか考えてないですね。わがままな人間なのかもしれません(笑)
―いえいえ!そんな風には感じません(笑) 起業する時の事業内容はどう決めたのですか。
濱舘:当時、社会起業家という言葉を耳にして、私自身も会社とは何なのか、仕事とは何なのかと悶々と考えていました。その中で、仕事を通して、より良い社会を作ること、より良い社会を子や孫の代に残すことに貢献したい。では、自分の人生をかけて何に取り組もうか?と突き詰めた時に、食糧問題や栄養問題に取り組みたいと思いました。おなかが減ると人って怒りやすくなるじゃないですか(笑)だからみんながおなか一杯になれば争いごとのない世の中になっていくんじゃないかなと単純に思ったんです。
それに、明日のごはんを心配している環境で10年後、20年後の自分を考えることは難しい。人が幸せに生きていくためには、教育を受けたり、自分と向き合って考えたり、ある程度の余裕が必要。みんながそんな環境にいることができれば、より良い社会になるのではないか。自分の頭の中でもそのストーリーは明確に想像ができたので、これでいこうと。
そこで、世界の食糧問題や栄養改善に対して、改善策が提案できる事業をしようと考えました。でもどこからどうやって始めるか。低所得層を対象とするBOPビジネスから始めることは、ビジネスとしてのハードルが高い。そこで、栄養補助食品の販売から始めて、それを発展させていこうと決めました。
コンサルティング事業を始めたのは、前職の会社を退職する時に顧問契約を結ばせていただくことになり、それがきっかけです。前職の会社を退職した当時、機能性表示制度が始まるというときだったこともあり、健康食品業界の研究開発や学術人材のニーズが高まっていました。とても運がよかったんだと思います。とてもありがたいことに、起業後すぐにその他複数社からも顧問契約のオファーをいただきました。健康寿命の延伸も取り組むべき重要な社会問題だと考えています。その中で健康食品やサプリメントに期待される役割はとても大きくなっている。このような流れの中で、みんながより良い商品を手に取ることができ、活き活き元気で幸せに暮らせる社会になるためのお手伝いができればと考えています。
起業に向けた経験を積むため、民間企業に就職
―大学時代から起業を視野に入れていたとのことですが、一度民間企業に就職されたのはなぜだったのですか?
濱舘:どのタイミングで起業しようかなというのは20歳の頃からずっと考えていて、学生のうちに起業することも検討したんですが、やはり一般企業での経験も積みたいという考えに至りました。新入社員研修とかも一生に一度しか経験できないことだと思ったので、できればそういうことも経験したかった。数ヶ月スパンで色々な部署を回れて、自分の将来に役立つ経験ができる会社がないかなと探しました。日本の会社は博士人材を採りたがらないですよね。特に研究職以外の職に就こうと思うとなおさら。年齢は高いし給与は高いし、社会的にもちょっと問題あるかなと思われるのか、結構苦戦しました(笑)
-前職の健康食品の通販会社ではどのような仕事をされていたのですか?
濱舘:コールセンター、品質保証、商品開発などを経験しながら、博士号での入社ということもあり、研究所の新規立ち上げを任されました。ただ、当時は研究インフラが整ってきていて、大学や外部の研究機関との共同研究が進めやすい環境になってきていましたし、大手製薬会社でも国内の研究所を閉鎖している時期でした。そのため、研究は外部機関と共同で行い、自社では研究開発部門を立ち上げてコントロールタワーとなる人材を何名か置くことによって、大企業と張り合えるような研究開発ができるのではないかと社内で提言し、研究開発部門を立ち上げました。その他には、研究成果を発信するために広報部門の立ち上げに携わったり、科学的な知識を必要とすることは全般、知財関連や広告の作成に関わったり、広告の自主規制を作成したり、様々な経験をさせていただきました。
-大学生のころはどのように過ごされていたんですか?
濱舘:そうですね。私の通っていた大学は総合大学で、専攻は理系だったんですが、会社を興すには理系も文系もなく幅広い知識が必要だと思っていたので、昼間は理系の講義に出席したり、研究したりして、夜間クラスで文系の経営学や経済学の講義を受けてました。
大学は取らなきゃいけない授業は決まっているけれど、取ってはいけない授業はそんなに無い。どれだけとっても同じ授業料なので、取れるだけ取らないと損だなと思って(笑)教員免許も取りました。教育という要素は人を雇うにあたって役に立つと思ったし、子供が生まれても子育てに役立つと思って。理系、文系、教育関係のことを色々学びながら大学はフル活用させていただきました。最後は単位はいらないけど講義に参加したいと教授に頼み込んでいた思い出があります。
-耳が痛いです(笑)ちなみに大学院の途中で進路変更されたのはどのような経緯だったのですか?
濱舘:理工学研究科では自然由来の新しい化合物(有効成分)を探す研究をしていましたが、見つかった新しい化合物をどうしたら有効活用できるのか検討するための研究にも興味が出てきて、共同研究先を探していました。そんなときにご縁があって、医学部で採用していただけることになったので、入学半年で理工学研究科は休学しました。働いているうちに医学研究科に修士課程ができて、教授に勧めていただき、昼間は大学の職員として、夜は社会人枠で医学研究科修士課程の学生としてやっていくことにしました。
働く場を広げられると感じRD LINKに登録
-濱舘さんがRD LINKにご登録いただいた理由は何だったのでしょうか?
濱舘:コンサルティングの門戸を広げる検討をしていたときに、とてもお世話になっている大学教授の方からRDサポートの大澤社長をご紹介いただきました。そこでRDサポートがちょうどRD LINKという新規事業を立ち上げるので、いっしょにやってみませんかというお話をいただきました。これは新しいネットワークからの仕事を獲得するチャンスだと思い登録しました。
-RD LINK以外では、新しい仕事はどのように獲得されているんですか?
濱舘:私は営業が苦手なので、RD LINKの須藤さんを頼りにしています(笑)あとは何かの会合に行くという程度ですかね。ご紹介いただくことが多いです。飲みに行ってその中でじゃぁ一緒にやろうか!という感じ。ありがたいことに色々な方面で知り合った方々からお声がけいただけて感謝しています。
-RD LINKも頑張らないとですね(汗)学生時代から起業という一つの目的に向けて、物事を判断、選択して進んでこられているので、顧問契約が無くなったからといって営業活動をガツガツしなくても仕事が集まってくるような人脈や縁を、自然と築き上げられてきたと感じます。
濱舘:ありがたいことに色々良いご縁をいただいて、運よく繋がってきたというイメージかもしれないですね。
-今、自社の業務とRD LINKからの案件を掛け持ちされていますが、具体的にどのようなスケジュールで動いているのですか?
濱舘:基本的に自社の業務は平日9:00-18:00としていますが、必要に応じてフレキシブルに組んでいます。
-土日祝日も働いているのですか?
濱舘:土日祝日も働いていることはあります。でも、必要に応じて自分でスケジューリングするというのはみんな同じじゃないですか?
-そうですね。ただ、複業と聞くと、業務がプラスαになって時間が圧迫されないかな?できるのかな?と思われる方もいらっしゃいます。
濱舘:企業に所属して固定勤務時間がある方は、それ以外の所で複業をプラスαでしようとするとそのような心配があるかもしれませんね。私の場合は、請け負ったことが全て滞りなく進められていれば良いというのが最低限で、あとは自分のやりたいことと取引先の業務の進捗状況とを見て、そのバランスを取る感じです。基本的には取引先に迷惑をかけてはいけないので、そちらが優先ですが、調整して自分のやりたいことに使う時間を作れるように努力しています。
働き方として私が持っているイメージは、全て自分が関わると決めた仕事は自分のタスクというだけ。ヴィッテとして契約した〇〇社、RD LINKを介しての××社という感覚はあまりないですね。もちろん理解はしていますが。なので全部本業です。自分でやるって決めた仕事は自分がやる仕事なので(笑)
企業に属している=安心という時代ではない。自分でリスク管理ができる人が強い
-濱舘さんが思う複業のメリットやデメリット、リスクはありますか?
濱舘:メリットはすごくたくさんあって、やりたいことをやりたいだけできるのは良いことだと思います。企業に属していると自分の判断とは関係ない部分の影響を受けるけど、個人で副業となると、自分の判断で参加する仕事を選択できる。もちろん手を挙げても参加できないこともあるけど、どうすれば参加できるのかということを自分の責任で考えて行動することはできます。
逆に企業の看板を使って大きな案件にアプローチをしていくことができないのがデメリットになるのかな。でもまぁアプローチできないわけじゃない。単に他の手を考えればいいだけの話で、自分がやりたいかやりたくないか、本気でやる気があるのか無いのかが本来の問題かもしれない。なので、企業の看板がないということもデメリットにはならないのかな。そうなるとデメリットは特にないかもしれませんね。
-捉え方次第ということですね。
濱舘:リスクについては、、、難しいですね。今は企業に所属していても抱えるリスクがとても大きくなっているのではないかと思います。個人で起業していても企業に雇用されていてもリスクはあって、種類が違うので比較はできないですが、少なくとも起業している人は自分の置かれている状況に対してのリスク管理をしていると思います。考えざるを得ない環境に置かれているので。
リスク管理にはリスクヘッジとリスクテイクというのがあると思いますが、事前にリスクを削っていくというリスクヘッジと、どこまで自分がリスクを抱えてやっていくかというリスクテイク。私はリスクテイクがより重要だと考えています。リスクが見えたときに、リスクヘッジは事前に考えることが多いように思いますが、リスクテイクを明確に決めることは少ないように思います。そのリスクを取ると決めて、自分がそのリスクを持っていると自覚しておくことで、それが発生したときにどうやってリカバーするか対応策を事前に準備しておくことができます。
-なるほど。今の時代、自分でリスク管理をしているかが大きなポイントになりそうですね。
濱舘:だから会社員として働いている方がリスクに備えていない状態で、急にリストラ対象になったり、倒産したり買収されたりという局面に立たされると大変だろうなと思います。対応策が準備できていない想定外のリスクが突然発生することになるので。
交通事故にあうリスクがあるから外に出ない方が良い。でも、外に出ますよね。このリスクを見ていない人や考えていない人も多くいるのかもしれないけど、様々な交通ルールがあってリスクヘッジされていて、リスクはなくならないので保険に入ったりもします。働き方に関してもそういうリスクコントロールは必要だと思います。今まで50年くらいは業績も右肩上がりで、失業するリスクが小さく、そこは考えずに生きてこられた、見なくてもよかった人が多かったのかもしれません。
これからの複業は一つの大きなリスクヘッジになると思います。収入源を一つに絞っておくというのはリスクが大きくなるので、複数持っておこうというのは私のような働き方では当たり前。いつ契約が無くなっちゃうかわからない、それによって生活ができなくなると困りますので。会社員の方も、現状で収入源が一つであれば、大きなリスクテイクをしていると自覚する必要があるのかもしれないし、リスクヘッジや失業というリスクが発生したときの備えとして複業を考えても良いのかもしれません。
-複業で収入面のリスクを分散させるということですね。それができれば、新しいことややりたいことにもチャレンジできそうな気がします。
濱舘:起業においても会社を始めようと思うと、初期投資が必要になってきます。来月の支払いに追われて眠れないということが私も何回かありました。そういう状況を緩和する手段としても複業は有効かもしれません。私の場合は他の会社経由で、会社員の方であれば自分が属している組織外から、依頼された仕事を自分の得意なスキルを使ってお手伝いする、それで報酬をいただくという働き方もアリかなと思います。私自身は自分がやってみたいと思う、社会の役に立つと思うことに対して、どこの会社の仕事かという話よりは、それをやるかやらないかで考えて、自分がやってみたいと思うことはやってみようという感覚でやっています。
「わかったつもり」で仕事はしない。“できるイメージ“ができるまで準備する
-個人で自立していくとなると、自分のスキルや情報を常にアップデートしなければいけないと思うのですが、濱舘さんは何か取り組んでいるのでしょうか?
濱舘:新聞や雑誌を読んだり学会誌を読んだり、色々な会社からセミナーなどの案内が来たらできる限り参加するようにしたりとか、当たり前のことが多いです。
あとは仕事をしながら学んでいくことが多いです。必要に応じて、なるべく先回りして学んでいる感じですね。やってみて不明点が出たら人に聞いたりセミナーに参加したり。「なんとなくわかったつもり」というのはやらないようにしています。人は自分のことを過大評価しがちで、自分のレベルが仕事に必要とされるレベルに至っていないことがあります。できると判断する尺度は人それぞれかと思いますし、私の場合は至っていないと指摘してくれる人もいませんので、常に自分で自分を疑いながら、できる限りの準備はするようにしています。本も壁一面ありますよ。
-図書館みたいですね!
濱舘:本は数百冊あると思います。気になった本は一つの出会いですし、何かある時に調べたいなと思ったら、なるべく買うようにしています。じゃないと怖いんですよね。教えてくれる人がいないので。その仕事を自分がやりますと言ったからにはしっかりとやらなければいけないので、そのための情報が必要でその準備はしています。
-現在プロジェクト進行中のクライアント企業からも「下準備からしっかり調べられていてすごいです」というフィードバックを頂いています。
濱舘:ありがとうございます。仕事は準備が7~8割で、できるイメージを持っていないとできないと考えているので、そのイメージができるまで準備をしないといけないと考えています。
-その通りですけど、そこが難しいですよね(苦笑)
濱舘:大学院生のときに恩師から、学会発表前には100回練習しなさいと言われたことがあります。実際にやったら発表当日にのどがかれて大変でした。でも、準備ができていることで、不安や緊張が緩和されて、その場を楽しむことができました。私の良い教訓です。もう100回は練習しませんが(笑)
スポーツ選手とかすごいですよね。大会で優勝して称えられているのに、今日のここがダメだったから帰ってすぐ練習しないと、とか言うじゃないですか。その感覚は自分も持っていないといけないと思っています。
働く環境を整えておけば、世界のどこにいても生きていける
-今後の展望などはありますか?
濱舘:私は国際支援に関心があり、自社でも途上国に学校を作るという事業に携わらせていただいて、今年は5校目がカンボジアにできました。そういう仕事をしていると海外にいて他の仕事ができないということがあるのですが、それが許される環境を作りたいというのが念頭にあります。今の働き方であればそれが可能です。
また、必要であれば海外に移住して仕事をすることも想定しています。実際にそうなっても仕事に支障がないように準備をしてきました。私の仕事はインターネットが繋がれば基本的にできます。ただ、コンサルティング事業においては新規契約の獲得が一番の課題だと思っていました。そんなときにRD LINKの須藤さんが現れたんですよ!私が海外に行っても須藤さんが仕事を紹介してくれるかなと頼りにしています。それでもう完璧だなーと思って、須藤さん頼みです(笑)
-プレッシャー(笑)!ボーダーレスの生き方、想像するとなんだかすごく楽しそうで羨ましいです。
濱舘:たまに途上国に行って子供に囲まれてワイワイやっていると、ちゃんと仕事したなーとかもっと頑張らなきゃと考えさせられるいい機会になります。
-自分の人生を自分でコントロールできると、やりたいことができて幸せポイントが増えますね。
濱舘:人生が豊かになりますね。自分の意志や選択で、色々な会社、色々な人と関わって、成功体験を積んだり問題を共有したりするのは。面倒くさいといえば面倒くさいし、やらなきゃいけないことでもないんですが、やったらやったで自分の人生が豊かになっていくのかなとは思います。だから、これからも色々な人とつながっていけたらいいなと思っています。
RD LINKでは引き続きエキスパートの方にインタビューを行い、それぞれの働き方・生き方をご紹介していきたいと思います。
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