精神科ナースの相談の乗り方

「メンタルが弱いんですけどどうしたらいいですか？」
「すぐに気持ちが折れるんですけどなぜでしょうか？」
「気分が優れないんですけど、どう対処したらいいですか？」

こういう仕事をしていれば
毎日とは言わないまでも
しょっちゅう質問されたり
相談されたりします。

身近に精神医学を学んでる人って
そんなにいませんからね。

しかし、冒頭の質問のような
そういう昔からある質問事に関しては
調べればいくらでも答えはあるわけです。



ネット記事やnote記事
YouTubeの発信など
スマホからどんな情報も手に入れられる。

そんな中、相談している人って
意外と大して悩んでないと思うんですね。

もしくは
そんなに正解を詳しく知りたいと思っていない。

要は
「メンタルが弱いけど、まぁそこまで困ってない」
と思っていたり
雑談レベルでの相談なのかなーと思っています。



本当に困っていれば
検索履歴は
その困りごとでいっぱいになっているはず。

そうでなければ
あまり悩んでないのかなーと思います。

相談してくる人の傾向

ですから私に相談してくる人のパターンって
大きく分けると

・解決ではなく共感や傾聴を求めている
・精神科を生業としている人の意見が気になる
・色々調べた結果、答え合わせをしたい人

に分けられると私は思います。

共感を求めているパターン

結論や解決策はともかく
ねぎらいの言葉を求めていたり
辛い気持ちに寄り添って欲しいパターンって
非常に多い。

一般的に男性は共感が非常に苦手だからこそ
私達のように精神科で働く男性看護師や
心理学、カウンセリングを学んでいる男性は
まぁモテる人が多いです。
自分で言うのもアレですが。

単純に共感能力のある男性ってだけで
希少価値が高いですからね。

話は戻りますが
問題を解決するより
自分自身を尊重してもらう方が
得られる喜びが大きいと考える人が多いですから
正解に導くより
相談に至った過程と感情に目を向ける。

相談って中途半端に慣れてしまうと
相手が相談して数十秒後には
「この相談にはこう解決できそうだな」
と答えが見えてしまうことがあるのですが
自分の意見なんて基本的にいらないので
ひたすら相手に目を向けておくことが必須。

精神科ナースの意見が気になる人

たまに同窓会などで出会ったり
異業種の人と出会うと
「他人の目が気になるんですけどどうしたらいいですか？」
とか質問されたりします。
これは普段は大して悩んでないけど
せっかくの機会だから
プロの意見を聞いておこうとする場合や
目の前に精神科を生業とする人がいることで
悩みや質問が誘発される場合があります。

たとえば目の前に
プロのシンガーがたまたま居たとして
「歌が上手いと思うミュージシャンって誰ですか？」
と聞くようなものですね。

普段そんなに悩んだり考えたことがないけど
目の前の人に質問が誘発されることって
ありますからね。

そんな時は
相談力ではなく雑談力が必要だと思うので
エピソードトークに切り替える。

たとえば
「お酒が好きでやめられないんだけど、アルコール依存症かな？」
と相談されたとしても
「家族に隠れてモンダミンを飲み始めたらまた相談して」
など強めのエピソードを話すこともあります。

アルコール製剤を飲む人って
依存症の中でも0.1%いるかいないかでしょうから
ガチな相談であればそんな返答はマズいんですけど
どの程度本気の相談なのかは
大体わかるので、正しい答えより
強めのエピソードを
求められている場合もあることを
常に考えるようにしています。

特に精神科はアングラなイメージもあるので
話のネタとしてエピソードを聞きたいという人も
たくさんいますからね。

本当に悩んでいる人

最後に
本当で悩んで相談してくる方は
悩みに対する自分なりの答えを
一応持っていたりします。

世の中に溢れている情報では
納得がいかなかったり
解決できない時に
具体的な対処方法として
相談している場合は
会話のラリーの中で
相手が自分なりの意見を
持っていることがわかります。

その時にようやく今までの学びや経験を
フルに活用して
私のアドバイスを伝えます。

つまり本気で悩んでいる人にしか
本気のアドバイスは伝わらないって話なんです。

プロとして、学びや経験談を
話したり伝えたくなるのですが
相手が本気で困ったり悩んでない限り
全然響かないってことを
みんな忘れがち。

異業種の飲み会とかだと
みんな熱くなって語り出す人がいますが
そういうニッチな話って
案外相手には響かないですからね。



同じような相談や質問も
相手が何を求めているのかを
考えながら相談に乗る。

これが精神科ナースとしての
相談の乗り方になります😌