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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -12- #ppslgr

「しっかしあんなに増えちまってるのに俺達に出来ることなんかあるのかい」

決め顔は3分も持たないのかもう軽薄な調子に戻ったG。
結局、彼ら海底調査派遣員三人はもっと情報をもらってから判断するという方向で合意した。

「もちろん、一切勝算がないのに助けだけ呼ぶなんて無責任な事はしないさ。勝ち筋をつかむためにわたし達はあの黒い怪物……ヌバタマって呼んでるあいつの調査と続けたんだ、でも肝心要な直接対決する戦力だけは用意出来ずにいたんだけど」

言葉を切ったオトヒメは一度目を伏せた後、改めて俺達に視線を移す。

「先ほど君たちの戦闘記録を見せてもらって確信を得た、君たちならあのヌバタマの本体を破壊できるってね」
「本体?もしかしてあの影の群れは使い捨ての働き蜂なのかしら」
「そう、種として子孫を残せるのは現状あの大穴の底にいる親玉だけ。君たちが遭遇したのは親に栄養を運ぶだけの存在さ。逆に言うとほんのわずかにしか繁殖機能を持っている個体はいないんだ」

オトヒメの説明に納得がいく。だが逆説的に、次の世代が発生したら爆発的に拡散し、世界中の魚類は食い尽くされかねない。止められるのはまだ繁殖の前段階と考えられる今このタイミングだけか。

「しかし、あの縦穴を正面から押し通るのは俺達でも少々骨が折れる。分体でもあの戦闘力なら本体と相対するまで余力は残しておきたいが、何かいい手はないか?」
「ヌバタマを観測調査するために掘削したトンネルがあるんだ、ヌバタマの巣穴の途中につながるように開けてある。ただ、あいつの分体が増えるにつれて、偽装した壁面を侵食されて一部の通路にもヌバタマ分体が入り込んでるのが実情ってとこ」
「フムン」

ソウルアバターでもって最初から縦穴内部を殲滅するか、白兵戦でもってあの怪奇生物を切り抜けて本体にアンブッシュを仕掛けるかの二択か。

「オトヒメ、そのトンネルの構造図を見せてくれるかしら」
「はいよっと」

水晶体で構築された謁見室中央、俺達一団が囲っている中心に巣穴とここを結ぶトンネルが水色3Dホログラフィック映像表示される。全体的に細長く、ご丁寧にも俺達にわかる様な表現で記述されたスケールと合わせて考慮すると、縦横5Mくらいの広さだ。

さらにトンネルのうち、一部先端が赤く点滅している。これがどうやらヌバタマに侵食されたエリアと言う訳か。

「この制圧されたエリアは水没してるの?」
「いいや、空気はあるし水没はしていない。逆に言うとヌバタマが陸上でも活動できる証左って事だけどね」
「なんだよそれ、なおさら知らんぷりできねーじゃねーか!」
「センパイはかっこいいとこ見せたいだけでしょ」

Lは冷めた口調で突っ込み入れる物の、事の深刻さを感じて額に手を当てている。海の問題だからと見てみぬふりをすれば、今度は陸地も甚大な被害をうけるという訳だ。早い段階で俺達がここに来る要因となったあのシンディというマグロに感謝しなくてはならない。

「トンネル内ならスペースが限られているから無制限に増援が来る事はないと考えられるわ。働き蜂の大部分は捕食活動に回しているのと合わせるとトンネルを制圧し返してから巣穴を強襲する方が勝ち目はありそうね」
「俺も同意見だ。多少無理矢理にでも突破してソウルアバターを顕現できる距離まで行ってしまえばそのまま本体を叩ける」

お互いの意見を出し合って相互認識を合わせていた俺達二人に、Gがなんともいえない怪物を見る様な目でこっちを見てくる。

「アンタら生身でもそんな自信もって言えるほど強いのかよ」
「失敬な、ちょっと腕に覚えがあるって程度で、俺の親父に比べたらひよっこもいい所さ」

俺の切り返しにげっそりとした表情をするG。ともあれ、方針は決まった。ならば後は実行するだけだ。

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -12-:終わり:-13-へと続く

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