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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -13- #ppslgr

「準備はいい?」
「あー、一つ質問が」

海底の異種族がつくったとは思えないほどすっきりした清潔感のある白磁のトンネル。その区画を隔てる重厚な金属の扉(ここに来るまで金属類の建具は余り見なかったことを考慮すると、とっておきの防壁なのだろう)の前で俺とM・H、それからあのデコボコ三人組はドアエントリーに備えて武装の分配を行っていた。

結局のところ彼三人は白兵戦用の武装など持ち込んではいなかったので俺が携帯していた武器のうち、銃器をそれぞれ分配している。アサルトライフルが一丁にショットガン、それから拳銃が二丁とそれぞれの弾薬だ。

だが、Gの質問は彼らに武器を分配して今は刀しか持っていない俺ではなく、M・Hへと向けられた。

「アンタは何も持たなくていいのか?」
「あら、心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ」

M・Hは見てわかる通り、銃の一丁も携えておらず完全に非武装……の様に見える。もちろん、俺は彼女が無力ではない事をしっかりとわかっているが。

「ぱっと見でわからないだけで、彼女はちゃんと『武装』している。心配はいらない」
「うへぇ、どんなリアクション取ったらいいのかわからなくなるぜ」

まあ、正体不明の怪物の巣に行くのに自身満々で素手のまま突っ込む人間がいたらGの様なリアクションが出てくるのは的外れではないだろう。

『さ、そろそろ開けるよ。無理だと思ったら後退して後方のシャッターまで逃げてね。後続を分断するから』
「そうならない様善処しよう」

オトヒメの合図と共に目の前の板金の様にしか見えない扉が中央から縦に分断され、左右に開いていく。と、同時に抜刀一閃、扉の裂け目をなぞるように斬撃を放つ。扉が開くと共にヌバタマが一体真っ二つになって暑さに負けたコーヒーゼリーの様に解け落ちた。その奥は本来の壁色が解らないほどにはびこるヌバタマの群れだ!

「ルリャーッ!」

奥より迫るヌバタマに対し、M・Hが彼女固有の気合シャウトと共に俺の肩を足場に回転前方跳躍!彼女は白衣の袖口から銀色に輝く棒の様な物を引き抜くと目の前の黒い影へ連続刺突!

銃撃掃射を受けたように無数の穴が空いて崩れ落ちるヌバタマを踏みにじりながら続いてその手にした謎めく銀の物体を振るえば後続の二体の亡霊が横薙ぎ両断されてまたも崩壊!

トンネルの右手方向を彼女に任せると俺は左より押し寄せる影の軍団の眼前へと踏み込み絡みつかんと伸ばされる触腕を一閃両断!さらには失った触手とは別の部位を伸ばしてくるヌバタマを闘牛いなしめいて避けざまに切り裂き、避けた先に待ち構えるもう一体を刀身を跳ね上げて下段から斬り捌く!

俺が小枝払いのような気軽さで亡霊達をアノヨに送り返せば、M・Hも負けじと奮戦する。彼女の左手袖口より現したのは……恐るべきロブスターの甲殻鋏だ!

ロブスター鋏はまるで生きているかのように開いてはヌバタマの胴体中央に食らいついて圧砕切断!ゴマジュースめいて飛び散りながら溶解する!さらには一度武器を袖口に戻してその手に握ったのは……新鮮なサンマが両手に4尾!計8尾!

「ルリャーッ!」

再度のシャウトと共に投げ放たれたサンマは忍者の棒手裏剣にも劣らぬ破壊力でヌバタマの群れをそれぞれ貫通破壊!飛び散る墨汁のような残滓!

後方の三人はと言うと、扉に密集するはずのヌバタマを迎撃する役割だったのだが、今の所出番はない。Dは泰然とショットガンを構えたままだが、GとLは銃を下げてM・Hの戦いに見入っている。

「ワオ……」
「だから言ったろ?心配いらないってな」

さらに這い寄るヌバタマに刀を突き立てかっさばきながらあっけにとられたままのGに一言かけてやった。

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -13-:終わり:-14-へと続く

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