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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -18- #ppslgr

何かが来る。昏い水底の空間に桜色に発光する何かが。

その援軍は全体を薄紅色のフリルで飾り、長大なイルカの下半身を持った人魚姫がごとき形状を持っていた。だが先ほどの通信からこの存在が未知の生物ではない事はわかってる。これはソウルアバターだ。

「遅くなっちまった!皆無事かよ?」
「おかげさまでな、むしろちょうどいいタイミングだったんじゃないか」
「はぁい、悪いねわたしの我儘に突き合わせてしまって」
「いいえ、助かったわ。感謝する」

桜色の人魚から届いた通信は男女の声をこの場にいた全員に届ける。
そう、この機体はGのギリースーツ潜水機の代わりとして、オトヒメがデザインした結果構築されたのだ。電子論理データさえあれば即座に顕現させることが出来るソウルアバターならではの芸当であった。

「あなた達だけで鉄火場に向かわせるのはわたしの沽券が許さなくて、さ。時間がかかってしまったけどGを怒らないであげてほしいな」
「怒るも何も、バレバレでしたよ。センパイウソが下手なんですから」
「全くだ」

しばし和やかにも思える瞬間が訪れるが、すぐに一同に緊張が戻る。オトヒメのレーザー砲撃を受けたヌバタマ・クイーンが再度浮上してきたのだ。暗闇の女帝は怒りと共に狂笑を挙げて全身に発光点を生じさせたかと思えば全身から細身の針を放った!

「させないわ!」

カルティマリナが一団の戦闘に立つとその手にしたイッカク・ランスを高速回転させ、水流の渦を作り投射される針の雨を友軍から逸らす。だがその時にはヌバタマは次なる一手として身にまとう仄暗い衣を鞭の様に両腕に集約し、カルティマリナへ打ち振るう!

だが鞭の殴打が届くよりも早く、機動力を取り戻したイクサでもって襲い来る触手鞭の連撃を斬りはらう!防ぐたびに先端を斬り飛ばされ短くなっていく触手鞭!

戦況が一変し不利と見たか、ヌバタマ・クイーンは一転して脱兎の如く海面へ向かって急浮上。俺達を置いて姿をくらまそうとするがそうは問屋が卸さない!

「逃がさん!」

追撃と共にイクサの右腕から放った蒼光チェーンは、ヌバタマの離脱速度を凌駕してヤツに巻き付くとその逃走を阻む。だが完全に停止させるには至らず、暗闇の女帝はこちらの機体ごと牽引しながら海面目指して上昇していく。

「G!M・H!二人なら追撃出来るはずだ!」
「ええ!」
「任せときな!」

俺の呼びかけに答え、桜色の人魚と月光の戦乙女は光を伴い水中に軌跡を描きながら敵の後を追って浮上。一方ギリースーツ潜水機の二人はオトヒメの機体と手を組んで牽引による補助を受けて共に海面を目指す。

しつこい追撃を振り払うかの如くヌバタマはその身の衣を盛り上がらせて子クラゲとでもいうべき分体を展開、下方で追う四機へと差し向けるが俺の存在を忘れてもらっては困る!

「全く大した生き汚さだよお前は!」

ヌバタマとチェーンでつながったままに推進器を吹かすと、脚部がまとうベクトル偏向場を刃の様に変えて勢いのままに降りくる仄暗いクラゲの群れを蹴りはらう!なすすべなく断頭蹴撃によって両断されていくクラゲ!

徐々に後続との距離が詰まる中、水中の光量が上がっていく。海面が近い!

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -18-:終わり:-19-へと続く

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