見出し画像

賽を振るは、神か人か -11-

耳障りなプロペラの音が窓をつんざくほどにこの部屋を満たした。
いつしか窓越しに部屋はハチめいた浮遊ドローンの群れに囲まれており、レーザーポインターが俺達の全身にポイントされている。

「俺は……諦めない!諦めないからな!」

危機を察知した6・Dは俺に先んじてライフル掃射でもって街を睥睨する窓ガラスを粉砕、細雪のように宙に散る輝きの中を走り抜けると決断的に飛び降りる。

彼に続いて窓辺に駆けながら既に画面を見ずとも起動できるソウルアバターをアクティブ。確信をもって浮遊ドローンが包囲する空間へ飛び出すと、地上に落ちきる前に空中に蛍が群れ集う様に物理顕現したコクピットハッチに飛び込む。

この地下都市施設は人型兵器が宙を飛び回っても充分なスペースが確保されていた。もっとも、洛陽やスサノオくらいデカい機体なら天井をぶち破ってしまいかねないが、そこは俺のイクサ・プロウラや、6・Dのブラック・シックス程度のほどほどのサイズであれば全く問題はない。

墓標めいたあの管制塔ビルから距離を取ると、従順なる侍従もまた宙に十字架めいて浮かび、女王蜂の如く白亜のドローン達を従える。いつしかそのドローンの大群はセレンを核に組み合わさって結合していき、ウェディングドレスを大規模にしたかの如き機動兵器へと生まれ変わった。

暗闇の中、暗黒に紛れる二体の黒い人型機動兵器と対峙する白亜の自立稼働ブライドウェポン。

閉ざされた空間でなお浮かび上がる白い戦闘花嫁は、周囲に花束を掲げるようにドローン達を従えるとブーケトスさながらに白蜂をけしかける!

サイズ面で小型の部類に入るブラック・シックスは六枚羽根の推進器を吹かしながら立ち並ぶビルの林、その間隙を縫う様に飛び回る!

恐るべき飛行精度で食い下がるドローン群を見逃すことなく俺は空中パルクール機動によるドローンにも困難な曲芸軌道の合間より掌底から湾曲蒼光ホーミングレーザーを幾重にも放ち蜂の群れを叩き落す!

数を減らしながらなおも追いすがるドローン達に向かって、ブラック・シックスは急反転からの両腕に携えた重機関銃よりライフル掃射!ドローン達はブラック・シックスへ照準を合わせることすら叶わずに火を噴き墜落!

「R・V!何か手はないのか!」
「相手は誤作動を起こしてるAIだぞ!そんな都合のいい話が」

多方面から的確にイクサ・プロウラの胸部コクピットを狙って実弾掃射を繰り返すドローンの雲霞を身をひねりながら避け抜き、6・Dに向かって言い返しながら自分の吐き出した言葉を反芻する。そうだ、今彼女は処理の負荷と長年にわたっての演算でキャッシュ……電子論理情報のゴミが蓄積している状態だ。であれば……

「あるんだな?」
「一か八かだが、やるんだろ?」
「おうさ!勝ち筋があるなら何度でも賭けてやる!そして……勝つ!」
「いい啖呵だ、ならばこの場は俺も乗るぞ!」

白き天使その物の姿で機械の蜂を操るAIへ鬼と騎士、二体の黒き機動兵器が立ちはだかった!

【賽を振るは、神か人か -11-:終わり:-12-へ続く

一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #連載小説 #パルプ小説 #ロボット小説 #スーパーロボット #不幸な事件 #パルプスリンガー #れいのきかく #パルプスリンガーパルプ化計画 #人が死ぬ#パルプ #バイオレンス #ダイス #銃 #AI #毎日投稿 #毎日小説 #毎日更新 #毎日Note #パルプスリンガーズ

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL