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reina
2021年9月27日 15:48
障害者、ハンセン病や公害患者、女性、生活保護受給者などのマイノリティへの差別について社会学的文学的な立場から書かれた本。事実から統計を取り出したりはほぼしておらず、エッセイに近い印象。著者も『まとまらない』言葉たちをなんとか章に分けたと書いていたが、全体を通してメインテーマは『壊されていく言葉』だ。若者言葉で言葉が崩れる〜という壊れるじゃない。意図的に"壊されていく"言葉のことだ。生きる
2021年9月26日 23:41
もし、この世のどこかに、送る直前にやめたメールの溜まる場所があったら?繋がらなかった電話読まれなかった手紙大人は、キレイごとだけでは生きていけないことを知っている。だから大人の都合は子どもに押し付けられる。それでも誰もが、捨てたり手放したり居なくなってしまったものへの1ミリの後悔もない、はずがない。初めて読んだ一木さんの本。好きになる瞬間を、細かく鮮明に刻み込むように描写していた
2021年9月21日 23:14
この世にいるのが辛い時、私たちはきっと、誰かから愛されたり理解されたりした記憶で生きている。でもその受け皿がもしなかったとしたら?そんなことを考えさせられるような、オウム信者たちの自己喪失のプロセスがわかる一冊だった。被害者側の体験を記したアンダーグラウンドとは違い、信者側(実行犯よりオウム内で地位が低い人々だが)のインタビュー。『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』も良かったが、本書の後半に
2021年9月18日 00:21
アート、映画などの分野から日本の未成熟さが持つ可能性についての討議とプレゼンをまとめた内容。【目次】 はじめに——東浩紀 Ⅰ 「日本的未成熟」の系譜——キース・ヴィンセント Ⅱ アート界における“クール・ジャパン”の戦略的プロデュース法——村上隆 Ⅲ 日本映画と未成熟——黒沢清 Ⅳ 「かわいい」の本質——宮台真司 Ⅴ [討議]日本的未成熟をめぐって ——キース・ヴィンセン
2021年9月16日 23:12
悪女と聞いて、あなたはどんな女をイメージするだろうか。純粋無垢ですという顔をして実は大胆な女?それとも見た目からしてフェロモンのようなものがむんむんと出ている女を想像するだろうか。本書はいわゆるフランスにおける、ファム・ファタルーーその出会いが運命の意志によって定められていると同時に、男にとって「破滅をまねく」ような魅力を放つ女を指すーーを取り扱う。フランス文学を女子大で教えて
2021年9月1日 23:45
例えば私の人生が波のようなものだとしたら、寄せては返すその波に抗って生きていきたいと思う。ウィリアム・ストーナー。彼は、波と歩調を合わせるように、波と共に生きてきた男と言えるだろう。決して折れることはないが、それゆえに自分自身の置き場所を宿命的に変えられない、そんな印象を受けた。多くの人がそうであるように、彼は自らの人生に期待をした。ただ、期待をし、望んだ分だけの責任については、負わな