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慶應義塾法科大学院って、どうなの?

こんにちは、ちょま林です。
さて、肛門記事の後になんの記事を書こうか迷っていたのですが、ここいらで司法試験受験生らしい記事を一本書いておこうと思います。
私は、慶應義塾大学法科大学院の出身です(2020年入学、2022年卒業)。つまり、慶應OB、あの有名な結社である三田会のメンバーなのです()。
世の中に、ロースクールの実情を語った記事やブログは少なく、しかも情報のあるロースクールが偏っています。そんな中、私のTwitterのフォロワー等にはロー入試を控えている人もいますし、ローに興味があるという予備試験受験生もいます。その方々を対象に、ざっくりとですが慶應ローについての主観的な情報を記しておこうと思います(なお、慶應ローの授業に関しての詳細な感想等は、別途記事にして投稿しますのでそちらをご覧ください)。
本記事は、ちょま林の主観によって書かれたものであり、その内容の正確性は担保されていません。また、個人的な見解ですので、そのことを前提にお読みください。

追記:続編も書きました。こちらでは、各授業について詳細に書いていますので、併せてお読みいただければと思います。
慶應義塾法科大学院って、どうなの?2|ちょま林|note

入試編

慶應ローの入試は、6科目入試です(私は、既修の出身なので、既修組のことを書いていきます)。行政法を除く、主要6科目で、配点は憲民刑と商訴が3:2の割合です。
試験のレベル感としては、民法を除きそこまで高くはありません。いわゆる下3法はAランク論点と呼ばれるものを中心に問題が構成されており、刑法、憲法についてもどこかでみたことのある有名な問題や判例をもじったものが多いです。まともに、ロー入試の既修を目指して1年ぐらい勉強している人なら、合格点は取れるレベルです。
唯一、民法だけが、年によってはレベルが高く、他の科目よりも難しく感じます。しかし、所詮は1科目ですし、問題文を読んで、大体の方向性や論じるべき条文等がわからないということはあまりないと思いますので最低限重要な所だけ書いてあれば合格点に達し得ると思われます(実際に、作問、採点を担当した慶應ローの民法教授に確認したところ、重要論点に触れていれば合格推定には乗るとのことでした)。
あまり、気負わずに取り組むのが肝要だと思います。現場で分からない問題が出たら、とにかく関連条文を探すか、問題文の事情から方向性を決めて、その事情を使える規範をその場ででっち上げれば乗り切れます。

既修1年目(ロー2年生)

入学後は、前期後期で必修科目が異なります。私の頃は、前期に憲民刑民訴要件事実論、後期に民商刑訴行政が必修科目で残りを選択科目で埋めることになっていました(今は、司法試験の在学中受験が認められた関係でカリキュラムに変更が出ているかもしれません)。
また、コロナの関係でオンライン授業となり、ロースクール側も初めてのことだったということで初期はかなり授業形態も混乱していました。
授業は、基本的に事例問題が事前に配られ、その検討をソクラテスメゾットを用いて授業中に行うというものです。唯一、毛並みが違ったのが行政です。こちらは、一応入試科目にないということで基本概念を判例集とレジュメを使いながら講義するというスタイルでした。

よく聞かれる、予習復習の要否なのですが、こちらは別の記事で書こうと思ってます。

正直、聞いていたほどの忙しを感じることもなく、普通に生活し、普通に勉強し、試験を受けるということをしていました(オンライン授業ゆえに)。
おそらく、他のローとそんなに大差ない生活ですね。

既修2年目(ロー3年生)

3年生の必修科目は、前期が商、民事法総合(民法&民訴)、刑事法総合(刑訴&刑法)行政法、刑事実務基礎、法曹倫理で、後期が、民事法総合(商法&民訴)、刑事法総合、公法総合ⅠⅡ、民事実務基礎となっています。残りは、これまた選択科目で埋めます。
なぜか、民事系では古の司法試験の出題形式に則った融合問題的な事例問題を扱うことが増えます。この形式については、内部の教授陣からも不満の声が上がっているようですが、なぜか改善されません。
実際に、民事法総合では3時間(2コマ)分を使ってやるのですが、あきらかに前半の説明に時間を取られ後半の科目の問題の解説がおざなりになっていました。よろしくない。
後、単純に問題文が多くなりすぎで予習する元気を削がれます。ほんとによろしくない。
さらに、3年生の民事法総合、刑事法総合は原則的に実務家教員が担当するので学者のソクラテスではありません。慶應ローでは、学者が全面的に関わるのは2年生までで、3年生は必修科目では一部の科目や全体講義でしか学者の話を聞く機会はありません。実務重視、試験重視なのかもしれませんが、学者の話も聞きたいので、半分半分になるぐらいに調整してほしいものです。

東大、一橋、早稲田、中央との違い

実際のところ、これらのロースクールとの違いってどこらにあるのか私も分かりません。客観的指標を用いると
・慶應は、学費が高く、入試時点の学費免除がほぼ出ない。
・早稲田、中央よりは司法試験の合格率が高く、東大を超える年もあるが、一橋には負ける。
・立地は港区であること。
・学年の人数的には、ちょうど真ん中ぐらいの位置にいること
このあたりでしょうか。

完全な主観ですが、おそらく東大と同じぐらい企業法務に前向きです。大手事務所からの派遣教員も多く、企業法務に関係する選択科目は数多く開講されています(しかも、これがね、色々と役立つ)。
また、サマークラーク等に参加する人も多く、私が行ったいくつかの大手事務所では、大概、東大≧慶應≻≻≻≻一橋≧早稲田でした(中央の方をお見かけしたことはありませんが、おそらく違うタームの回に行けばいらっしゃるはずです)。
もちろん、検事や裁判官志望もいますし、一般民事志望や刑事弁護志望の方もいらっしゃいますが、かなりの割合で企業法務志望がいるのだと思います(実際、「どこそこのサマクラ行った?」、「あそここんな雰囲気だよ」、「俺、四大じゃないならAかVでいいや」等の会話がある程度はなされます)。

とはいえ、自分のなりたい法曹像をある程度考えて法科大学院に進学される方が過半だと思うので、自分が思っている形を追求しようと思えばいくらでもできます(そのための、授業も数多くあります)。
慶應の良さは、自分の進路像を具体的に考えるためのサポートが充実していることと周りの同級生にもそのような人間が多く気兼ねなく相談できること、また、様々な情報が集まってくるところにあると思います。

授業編

詳しくは、別記事で述べるので簡単に紹介程度にしたいと思いますが、基本的に試験にも役立つし、その法律を深く理解する上でも役に立つ授業がなされます。先生方も、かなり試験に気を配りながら授業をなさっているようでそこら辺は好感が持てました(まぁ、一部、アレなアレもありましたが)。
また、選択科目では、企業法務、アート、ジェンダー、刑事弁護、新興国の法務支援など多岐にわたる授業が用意されており、ただ単に試験勉強だけにならずに当該分野の専門家からかなり専門的な講義をしていただけます。ここは、大学院としての良さがあるといえると思います。

友人、学校生活

非常に優秀で、人間としてもできている友人を何人か作ることができました。また、既修未修関係なく友達ができるところもいいところです。コロナ禍の関係で、これまでの代よりは友人を作りにくかったですが、これからはまた違うはずです。

私は、出不精で基本的に試験や対面出席した方がやりやすい授業以外はオンラインで参加したので、そこまで学校の設備は利用しませんでした。
ただ、自習室は最低限必要なものはそろっていましたし、蔵書も特に問題ありませんでした。ネット経由で蔵書にない書籍もすぐに買ってもらえますしね。
ただ、図書館の構造だけがいただけない。オシャレさを追い求めたロー棟は全館吹き抜けになっていますが、吹き抜け部分に特にガラスなどなく図書館が面しています。そのせいで、夏は暑く、冬は寒いという結果に。
図書館内でも空調の効いたそんなにオシャレではないブースを使って作業をすることになりました。もう少し、考えて作ってほしかった。

後、慶應はあれだけ学生が多いのに、学内にコンビニがなく、少し歩かないといけないのは不便すぎました。一応生協が隣の建物にあり、ロー内にも自販機等ありますが、大規模大学ならコンビニの一つぐらい学内にほしいものです。
また、喫煙者には残念なお知らせですが、慶應では学内に一つしか喫煙所はありません。幸いなことに喫煙所はロー棟のすぐ横、生協の前にあり、ローの地下2階の端の扉からすぐに行けます。しかし、室外喫煙所のため夏は暑く、冬は寒い問題がここでもでてきます。

それ以外ですと、ロー棟は学内で二郎三田本店に最も近く、行きやすいってことぐらいですかね。あのカロリー&ニンニク爆弾を食べてローの授業は受けにくいので、基本は一日の最後ないし試験終わりに行っていました。

終わりに

さて、大体このぐらいですかね。最低限、慶應ローの輪郭が掴める程度の情報は記載したつもりです。何か、補足してほしいことがありましたら、Twitterでちょま林までご連絡ください。
次の、記事では、私が受けた授業ごとに詳細な感想や愚痴、また予習復習の要否について書いていこうと思います。ただ、個人情報の塊ですし、教授の個人名も出てきますので、おそらく有料公開にさせて頂きます。興味のある方はそちらもご覧ください。
それでは、またお会いしましょう。




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