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夢泥棒は朝に眠る

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#夢

夢泥棒は朝に眠る 第七話

夢泥棒は朝に眠る 第七話

 意識を失った私が病院に担ぎ込まれて今日で一週間になる。
 病院の人が気を利かせてくれたのか、意図せず妹と相部屋のベッドで横になっている私は、自分の身体が日に日におかしくなっていることを自覚していた。ただの一時的な失神だと医者も思っていたようだけど、どういうわけか私の身体は思うように回復してくれなかった。朝目が覚めても少しも頭が働かない。何の前触れもなく急激な眠気に襲われる。朝も昼も夜も関係ない。

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夢泥棒は朝に眠る 第六話

夢泥棒は朝に眠る 第六話

「……何やってるんですか」
「アスファルトに頭ぶつけた」
「なんでぶつけたんですか」
「夜道を歩いてたらフラ~って倒れた」
「なんで倒れたんですか」
「分かんないよ。なんか急に頭がフラ~ってなったの」

 夢叶は約束の時間をとっくに過ぎてもデートとやらの待ち合わせ場所に来なかった。なんとなく胸騒ぎがした僕が夢叶のアパートに向かった時、出かけるところだったあの大家さんとすれ違ったのは本当に幸運だった

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夢泥棒は朝に眠る 第五話

夢泥棒は朝に眠る 第五話

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 妹の夢美が学校に行かなくなったのはいつからだったろう。
 少なくとも私が中学校に入る頃には、あの子はもう病院のベッドで毎日を過ごしていたはずだ。
 小さい頃はよく二人で外で遊んだり一緒に買い物に行ったりもしたけど、風邪一つひいたことのない私と違って、あの子は昔から身体が弱かった。
 学校終わりに病院に会いに行くと、あの子は決まってベッドで本を読んでいて。時々あの子が気に入りそうな

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夢泥棒は朝に眠る 第四話

夢泥棒は朝に眠る 第四話

 午前5時45分過ぎ。
 今日もいつものバーで自分は黙々とグラスを磨く。
 この時間になると客はほとんど来ない。ほとんど来ないのになぜこの店がバイトを雇っているのか不思議でならないが、深夜のバイトで時給も良い上に客が少ないということもあり、自分としてはただ単にラッキーとしか言いようがなかった。
 鈍い光で照らされた店内で黙々とグラスを磨いていると、ついつい執筆中の作品のことを考えてしまう。あの登場

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夢泥棒は朝に眠る 第三話

夢泥棒は朝に眠る 第三話

 ———今夜はこんなもんか。

 その夜も私は知らない誰かの”夢”を覗き、ある夢は唾棄し、ある夢はちょっとだけ共感する。そして最後にはそれらを頂戴する。
 夢泥棒を始めてからというもの、私は自分が無駄に感受性豊かになっている自覚があった。おかげでホラーテイストの”夢”を見ると少しだけ夜道が怖い。この世界には本当に様々な”夢”がある。私のこの目に映る人の数だけ。世界の人口の数だけテレビのチャンネルが

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夢泥棒は朝に眠る 第二話

 小説家になることが夢だった。
 僕は小さい頃からその気になれば大抵のことは何でもできた。
 勉強は普通にやっていれば普通以上の成績を残せたし、スポーツも大概そつなくこなせた。ランチタイムはこちらが何も言わなくても誰かしら誘ってくれた。
 でもやっぱり僕は空想の世界が何よりも好きだった。
 学校から帰って宿題をする時間も、学校帰りに友達に付き合わされたサッカーも、家で家族と過ごす食事も、すべて僕に

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夢泥棒は朝に眠る 第一話

 ———今夜の衣装はどうしよう。

 姿見の前で私は今夜の”犯行”に着ていく服を吟味する。

 ———こっちの黒いのは黒すぎて逆に怪しいし、こっちは普段大学でも着ている服だから知り合いに見つかると面倒。

 何度かタンスとクローゼットを往復した末に、私は今夜の一着をコーディネートする。派手過ぎず目立ちすぎない、それでいて自分の美しさを損なうことのない絶妙なバランス。肩にかかるまで伸ばした金色の髪に

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