小3長男がはじめて物語を書き始めて、元編集者の母として感じること

少し前から、小3長男が「お話」を書きはじめた。

真っ白な紙に絵を描いていたと思ったら、急にその絵にお話をつけることを思いついたらしく、毎日夜寝る前にすこしづつ書き進めている。

その様子を毎日横でみているわたしは、彼の1番最初の読者だ。

編集の仕事から離れてもうすぐ2年になるけれど、長男の創作をみていて改めて編集者は最初の読者なんだなぁと思う。

元編集者として、その創作プロセスと創作の中での長男とのやり取りがとてもおもしろいので忘れないうちに記録しておきたい。

フィードバックは鏡

長男は毎日その日の分が書き終わると、「ママ読んで！」とお話を書いた紙を渡してくれる。
それを声に出して読んで感想を伝えるのがわたしの役割。

わたしが読むと、それを聞いていた長男は「いいでしょ！」と言ったり、「うーん、ちょっと直すわ」と書き直したりする。

このやりとりを通して感じるのは、フィードバックってやっぱり鏡なんだなということ。

例えば誤字、文末表現の重複やリズムのわるさ。
編集者は原稿を読んでそういったものを指摘するけれど、声に出して読むことで指摘しなくても、長男は自分で気付いて自然に推敲をする。

アイデアがつまったときに必要なのは、アイデアを思いつくきっかけ

書いている途中、ストーリーに迷うと「ママ、ここからどうなると思う？」と聞かれるときがある。
想像力を駆使して、たとえばこういう感じ？となんパターンか話してみてもだいたい採用されず、そうじゃないんだよな〜とか言われる。

アイデアがつまったときに必要なのは、アイデアではなく、アイデアを思いつくきっかけ。

わたしのいけてないアイデアによって、長男は書きたいのはこれじゃないんだよな〜と思ったりしながら新しいアイデアを思いつく。

さまざまな表現に触れることが、表現を幅を広げてくれる

文章表現にもこだわりがあり、「〜〜ってことを書きたいんだけどなんて書けばいいかな？」と聞かれて答えたら「うーん、それは文章の間が抜けてるからちょっとちがうんだよな〜」と、うんうん言いながら自分が納得いく表現を探す。

そんな書き方するんだ！という表現があって、どうやって思いついたの？と聞いたら、「マイクラの本（小説）に似てる文章があったんだよね」と言っていた。

いろんな表現に触れることが、表現を幅を広げてくれる。インプット大事。

創作は楽しい、読んでもらうのはうれしい

お話を書きはじめてから長男は毎日夜の執筆タイムを楽しみにしていて、「ママタイム（夜寝る前に長男とふたりきりで本を読んでる時間）の楽しみがふえたね！」と言っていた。

書いているうちはうんうんうなっていたりもするけど、書き終わると「書けた！」という喜びにあふれている。

書く行為はエネルギーをつかうのに、書き終わるとエネルギーがふえているという現象は創作ならではだなぁと思う。

長男は書き始めたお話をパパにナイショで書きすすめていたのだけど、1ページ目が書き終わって（全部で5ページで完結する予定らしい）満を持してパバに見せることになった。

「パパ読んでみて！」と持っていく顔は自信にあふれ、読んだパパから感想をもらってにっこにこだった。

作品を読んでもらうこと、そして感想をもらうことは次の創作につながるよい循環をつくってくれる。

完結が楽しみ

はじめてのお話の、最初の1ページ目を書き終えた長男は「どうやってお話を終わろう…」と、はじめて物語の終わり方を意識したらしい。

お話をつくる人の中には、最初に終わり方を決めてから書く人と、最初に終わり方を決めないで書きながら考える人がいるよという話をしたら、長男は「うーん、どういう終わり方のパターンがあるかなぁ」と考え出して、「忘れないうちにをメモする！あれ、ママがつかってるなんか書いて貼ったりはがしたりできる紙ちょうだい」と言われて、大きめのふせんを渡したら終わり方のパターンのメモを書いていた。

長男はじめてのお話。
はたして完結するするのか、どんな終わり方をするのか、これからどんな展開があるのか、それらを楽しみにしながら、1人目の読者としてお話を書くことを応援したい。

長男はこれまでにもいろんな立体作品をつくったり、ipadで描いた絵でwebショップをはじめたりしてきて、今回はじめてお話をかきはじめたのだけど、その様子を近くでみていて思うのは創作っていいなぁということ。

なにかをつくることは、その人自身も作品にふれる人のことも元気にしてくれる。

これから大きくなっていっても、長男がつくることを楽しんでいってくれたらいいなぁ。

（作文の宿題がすきじゃなかった長男が物語を書きはじめるなんて2年前には想像もしてなかった。めちゃくちゃ感慨深い）