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鍵盤に血がしたたってファソラシド

シリーズ・現代川柳と短文 062
(写真でラジオポトフ川柳150)

 音楽と心霊表現は相性がいい。とくにピアノやパイプオルガンといったアコースティックな鍵盤楽器である。夜中、学校の音楽室から聴こえるピアノの音。怖い。これがバイオリンやフルートだとファニーな雰囲気になってしまうのはなぜだろうか。思うに、その楽器が鳴るのに「演奏者」が必要かどうかが大きい。たとえば、ピアノは鍵盤に血のしずくが落ちるだけで音が出る。その一方で、バイオリンは基本的に人間が「鳴らそう」としないときれいな音は出ない。要は、そこに人間が介在しているかどうかが恐怖の質を左右する。


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