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「いまさら翼といわれても」



背負っていたものを下ろした時、感じるのは開放感や軽さか、或いは、虚無か。


2012年、あるアニメを観た。「氷菓」というタイトル。当時フリーターになった頃で、開放感と自由を感じていた気がする。そんなある夜に、偶々テレビで、観た。

最初は、どこ聞いた事のある声だな、と少し気になり、色々調べた。アニメは多少見る程度で、有名な作品もまだ全然観ていなかった。このアニメを見た事がきっかけで、その後アニメを朝まで観る生活が続いた。そしてもう一つ、声に興味を持った。

上手く歌うことだけにフォーカスしていたが、声の方が重要なのではないかと悟った。声が良ければ、後は音程を外さなければそれなりに良いのではないかと。

そんなきっかけになった氷菓。京都アニメーションで作られたアニメで、映像もキャラクターも素晴らしかった。原作は米澤穂信さんの古典部シリーズ。高校の古典部を舞台としたミステリーで、アニメを何度か観直した後に原作も全て読んだ。

一昨年新著が出て、文庫本になるのを待った。電車で読んだりするには文庫本が好ましい。去年文庫になっていたようで、自粛中に買っておいたらまさかの家の本棚に並んでいた。去年買っておいたみたいだ。

ここ数日、通勤時に読んでいて、今日の帰りに読み終えた。短編集だったのだが、どの話も最後は胸に来るものがあり、主人公達の成長も感じられた。


自分には、背負うべきものは、これっと言って、ない。仕事はあくまで仕事であるし、答えによっては替えもきく。与えられた状況の中では、檻の中に居るという自覚は、きっと持てないだろう。


雨が止み、電車の走る音が聞こえる。誰にも予想出来なかった静かな連休が、始まった。






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