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蝋燭のエッセイ

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エッセイをまとめました(注意:退屈で偏った思想を多分に含みます)
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記事一覧

道行く健常者を「NPC視」してしまうとき

道行く健常者を「NPC視」してしまうとき

ローゼンハン実験というものがある。(以下、Wikipediaリンク)

健常な協力者を用意する。彼らは精神科医に対して幻聴を訴える。

つまり「精神科医は正しく精神疾患を見抜けるか」ということを調べた実験である。

結果から言って見抜けなかった(それどころかほとんどの医師は統合失調症と誤診し、入院を勧めてしまった。ただし五十年前の実験ということもあって、現在では信憑性を疑問視する声もある)わけだが

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趣味快楽と鬱症状に関するメモ

趣味快楽と鬱症状に関するメモ

【前口上】
精神状態の荒波を乗りこなすうえで趣味快楽が重要な役割を担うことが最近ようやく自覚されてきた。

日々のなかで得た知見を自分なりに咀嚼し、再解釈したメモを、どこかの誰かの役に立てばそれもいいと思い、公開することとした。

元々自分用に書いていたものなので、箇条書きの、かなり偏った見方の記事となってしまったことをお許しいただきたい。

(あと、そんなに大した内容ではない)

【本論】
趣味

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優しい人よ、剣を持て。

優しい人よ、剣を持て。

「優しい人ほど不幸になっていくシステム」
ああ、資本主義のことです。

細路地にて。
赤ちゃんを抱いた男が前方からやってくる。
僕は歩速を落とし半身に構える。
彼は堂々たる振る舞いでツカツカと。
そうしてすれ違い様に僕だけが会釈する。
「あ!しまった!」と、自らの過ちに気づく僕。

僕には「子は国の宝」という右翼的発想がない。
単に、遺伝的連続体の断片としか見ていない。
(哀しいかな、「子持ちは周

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性悪説とユーモラス

性悪説とユーモラス

(※今回コメディ・テイスト多めです。資本主義社会の鉄錆びた歯車にはユーモアという潤滑油が足りていないので)

ネットの泥濘からこんばんは。蝋です。
これ読んでる人、誰かいますかっていねーか、ハハ。
「一人くらいいるかも」というコンドームより薄い期待をメンタルに装着しながら、頑張って書きます。

少し気分がいい。黄色くてモチモチとしたラブラドール・レトリーバーを腕いっぱいに抱きしめる夢を見たから。

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都会というモルヒネ

都会というモルヒネ

 本懐ばかり探して生きていると、果たして、本懐など存在しないという予感が、恐ろしいことにある種の人間性を帯びてくるのです。
 有機質の輪郭に、これまた有機質の髪や髭が生え、ザラザラ、モチモチとした触感を覚えます。
 一旦立ち止まって考えます。

 ……自分とは何だっただろう。

 齢25にして、まるで床に臥す耄碌のような頭でこのような問いを編み出しながら(厳密には比喩ではなく、明らかに自分は最期ま

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「不幸」換金型ビジネス

「不幸」換金型ビジネス

世の中には人の不幸を願う仕事がたくさんある。

3.11の時、報道ステーションを見ながら思った。
行方不明者数が増えるほど、番組の視聴率は上がっていくだろう。
逆に、復興が進んでいけば世間の関心は薄れていくだろう。

コロナが流行って同じことを思った。
東京の新規感染者数が一日三桁以上ならマスコミにとって喜ばしいことこの上ない。

僕がマスコミ嫌いだから特別に冷遇しているのではない。
誰かが不幸に

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映画を観て、飽きた話。

映画を観て、飽きた話。

アデノイド肥大みたく口を開き、独り、ベッドに寝転び、脳機能を退化させるほかに面白みを感じえない今日このごろ、皆さまいかがお過ごしですか。

初夏の候。
豪雨だったり快晴だったりと文字通り「天の気分」に左右され、実に自律神経を狂わされ、母より「KFCのナゲットが半額だから」と遣いに出された僕に、久しく重力に逆らえていなかった事実がじわじわと思い出されてきたところです。

ところで、躁状態でツイッター

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驕傲の無

驕傲の無

悪魔の囁きを聞いたことがありますか。

「また前みたいに曲を作ってよ」

大学生時代、同窓のボーカリストが僕にそう言いました。

僕はその人にとって確かに「作曲家」だったかもしれません。

また、僕自身そう在りたがったのを強く記憶しております。

この言葉は、時に僕の救いでした。

同時に劇薬でも在りました。

以後何年も、ほとんど毎日のように心身を蝕み続けました。

やがて僕は作曲家ではないと自

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