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短編・ショートショート

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#短編小説

量子都市

量子都市

   よし、これで――。

   安藤先生、なにをされるおつもりですか。

安藤 飯島君、私はもう疲れたんだ……。そして人間も疲れている。私と同じように――だから、あとは「この都市」にすべてを任せようと思うんだ。

飯島 「この都市」? この量子コンピュータたちですか?

安藤 そうだ。私もこの都市と一緒になる。そして、世界中の人間も。すべては一となり、一がすべてになる。そうすれば……争いも、競争

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死ぬほどいい女

死ぬほどいい女

 川上レイは非常なナルシストだ。いや、そう断じるのは彼女にとって失礼だろう。なぜなら、レイは事実、めちゃくちゃな美人なのだから。そして彼女はそれを自覚しているにすぎないのだから。

 様子も良ければ性格も明るく快活で、それでいて彼女と話せば人はすべからく怜悧な印象を受けるであろう。その性格ゆえ、五分も一緒すれば相手はぽっとほだされてしまうというわけだ。しかしレイは動かない。そこでさらに相手はレイに

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不思議な犯罪

不思議な犯罪

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 都内のあるビルの谷間で、歳は三十代半ばと見られる男の死体が発見された。争った形跡はなく、かといって自殺かと思えば、遺書も見つからなかった。死因は死体の状態からしてビルからの落下だと考えられた。しかし手がかりはなにもなく、原因もわからぬままで、ただただ不思議な死であった。

 不思議といえば、男の身元がわからないということもある。男はスーツを着て革の鞄を持ったまま落下したと考えられているが

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女は二人だけでも姦しい

女は二人だけでも姦しい

 吐き気とともに目が覚めた。起き上がり時計を見ると、いつもより十分早かった。それでももう、昼前だ。まあ、どうせ毎日日曜日だし、時間通り起きる必要はどこにもないのだが。

 口の中はウイスキーとゲロの臭いで充満している。頭痛もする。カーテンを開けると、わたしを馬鹿にするかのように青空が広がっていた。それから便所に行き、ゲロを吐いてから脱糞した。多少は気分がマシになった。

 冷蔵庫からミネラルウォー

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君が教えてくれるすべてのこと

君が教えてくれるすべてのこと

 静寂が叫んでいるようだ。一見矛盾しているようで、末端は繋がっているのかもしれない。

 朝起きたときにいつも思う。ああ、またやかましい光が世界を照らしている、と。そして夜になると、約束通りに死なないでなんとか眠れそうだ、とそう思っている。

 昼間が嫌いだ。様々な情報がノイズとなって脳を侵食する。だから外に出るときはサングラスをして耳にはイヤホンをつける。そして、なるべく静かに夜を待つ。ここでい

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ジョイントを巻く女

ジョイントを巻く女

 窓から外を眺めていると、道を歩く人たちが足早になるのに気がついた。鞄から折りたたみ傘を出して、忙しなく広げている人もいる。

「降ってきたみたいだな」

 俺は視線を戻して正面に座っているタツヤに言った。タツヤはストローで、ほとんど残っていないオレンジジュースをすすりながら窓の外を見た。それから「ああ……」と気のない相槌を俺によこした。

 そうしている間にも雨はどんどんと勢いを増し、やがてスコ

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