オジロワシ

眠ろう眠れたらゆけるまっつぐに

初詣

きゃによん

元春風に

リスニングルームに入る。ひとりきりで。
レコードをかけるためにだ。
階段を降りながらなにをかけようかと決めている。
大抵違うアルバムを手にしてしまう。
ありがとうを聴こうと立ち上がったのに
生きていてもいいですかが目に入ってしまった。
手にしたのは寒水魚だった。
けれども愛しているといってくれを載せた。
本当の真実が掴めるまでcanyon

キャッチボール

昭和10年生まれの父の口癖は俺は昭和一桁じゃねぇんだ。酔っ払いでした。とても。家にいる時は大抵飲んでるわけですから、子供にとっての父は酔ってた姿ばかりか、記憶の声も、叫び怒鳴り声、高笑い。自慢は国民学校の通信簿。優良可の三段階評価で一つだけ良、あとは全て優なのだ。山奥の小学校だ。四年の夏に終戦を迎えたので国民学校では無くなったはずだが、酔いの話しでは国民学校いっちねんせい〜、の歌から始まる。
勉強

果物をたべる。野菜をたべる。海老ラーメンチャーシューたべて、正露丸のんだ。

深夜の大冒険

　ひっくり返ると起き上がれないなんて、まるで亀のようにもがいている。仲間が助けに来た。と思ったらつついて知らんぷり。息を吹きかけてみたら反転して歩き出した。左前脚が欠損してるらしい。びっこひいてる。左がつっかえる。そのくせ傾斜に挑む。文庫の壁も登る。そのくせ降りられない。無様に落っこちるだけだ。違う子は飛び降りる。歩きも早い。触覚が上向きだ。左右の振りもリズミカルで正確だ。何を探して彷徨っているの

大田川のほとり