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星瞬く装丁

本の読書記録。
カバーを外した本体には、まるで星が瞬くようなデザインがされている。

今回、記録するのはコチラ

「汝、星のごとく」凪良ゆう さん

2023年《本屋大賞》受賞作。

本屋大賞とは……全国の書店員が投票によって「いちばん売りたい本」を選ぶ、文学賞

著者である凪良ゆうさんは2020年にも「流浪の月」(2022年映画化・主演:広瀬すずさん、松坂桃李さん)で本屋大賞を受賞しており、最速での2回目の大賞受賞は話題にもなった。

前回の読書記録にも書いたが、私はジャンル問わず読んでいる。
よほど苦手な内容になると読めないが、BL小説は私の読むジャンルに入っていて、凪良ゆうさんはBL作家さんとして認識が先であった。

BL(ボーイズラブ)というジャンルは、
男性同士の恋愛を描く、同性愛を扱う物語である。
読書好きの中でも、線引きされ、敬遠されることが多い。

だからこそ

BL作家さんが一般文芸を書き、本屋大賞にノミネートされ、しかも大賞受賞したというニュースには大変驚いたし、嬉しくも思った。

いまや、BLというジャンルは、
時代の流れや様々なメディア展開もあり、大多数の人が触れるようになってきたと感じている。

かくゆう凪良ゆうさんのBL作品「美しい彼」
萩原利久さん、八木勇征さんのW主演でドラマ化され、続編として映画製作もされた。
メディア化の中でもヒットしていると言えると思う。

こと、BLというジャンルは近年様々な変化をしているとも感じているが……長くなりそうなので、また機会があった時に。本題に戻ります。

私が「汝、星のごとく」を手に取ったのは
凪良ゆうさんの新作が読みたかった。
というシンプルな理由

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

引用:講談社BOOK倶楽部より

作品紹介の一文も後押しになった。

新作が読みたい=熱心な読者
と誤解されそうなので明記しますが、私は作家さんすべての作品を読んでいる、熱心な読者ではありません。

ただ作風として

生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者

引用:講談社BOOK倶楽部より

と紹介されているぐらい、
人間のしんどい部分が可視化されることが多く
私が惹かれている部分であり理由の1つでもある。

そのため今回、自分のメンタル部分も含め、心の準備をした上で読んだ。

結果は【やっぱり、しんどい!!】


本屋大賞にも選ばれるぐらいなので
大多数に推され、心に響く作品だ。

つまらなくはない。
個人的には、期待を裏切らない作品だった。

ただ、人によって感じ方が変わるだろうな、という印象が残った。


人によって『感じ方が変わる』印象の理由


▶愛の物語だが、どの位置に立つ?

出版社公式に『ひとつではない愛の物語』と書いてある通り、様々な愛が出てくる。

その愛は「純愛」「慈愛」「家族愛」「友愛」「情愛」と言うような様々な愛があったと私は感じた

どの登場人物たちに共感や理解をするかで、それぞれの愛について、名前も捉え方も変わってくる。

共感や理解する愛もあれば、不快に感じる愛もあるだろう。


▶よくいるようで、局所的な人物たち

メインとなる人物2人は田舎育ち、と言えばよくいる人物像だが、田舎は田舎でも。島。
閉鎖的と言われる田舎でも、島という閉鎖感はすこし違う空気があったように感じた。

また成長し、大人になりぶつかる舞台には
『仕事』『人間関係』『大人の事情』と読み手が感情移入しやすいキーワードがある。

だが、そこには『出版社』『クリエイター』という特殊な部分が出てくる。

本好き(&書店員さん)には身近な部分ではあるが、
大多数に馴染みがあるとは言い難く、ふだん本をあまり読まない人がスムーズに読めるのか?という疑問が湧いた。

たとえば、
アニメ好きにとって、アニメ業界あるある物語は面白く身近に感じるけれど、
アニメを見ない人には同じ面白いと感じれるようになることは簡単ではないだろう。

以上の2点から、
良い作品だと感じていても気軽にオススメすることを躊躇してしまう。

くわえて
生きる自由・不自由さを問い問われ、考えさせられる。

結論:オススメしたいが、前置きしたい!



まず、何度も「しんどい」と書いていているので
伝わってしまっていると思うが、いわゆるメリーバッドエンドだと私は捉えている。
読み手の解釈により、ハッピーエンドか、バッドエンドかの解釈が分かれるだろう。

そうなると、わかりやすいハッピーエンドを求めている人には合わないと感じてしまう。

比較的オススメしやすいとすれば
マンガなどのサブカルチャーに親しみがある人。
引っ掛かりが少なく読めると思われるからだ。

また、愛とは?という点に惹かれる人には、
読んでほしい物語かもしれない。

だが、

この物語は「しんどい」のである。


だからこそ、心にゆとりがあるメンタル状態か、心の防御強めに準備をしてから読むことを前置きしたい。

ちなみに私には心深く突き刺さってしまっていて
再び手に取り、読むにはもうすこし時間がかかりそうです。

それほどに

私にとっては『しんどくも良い作品』であった。




あと、奇遇なことに…昨日(8/6)
紀伊國屋書店オリジナルカバー&帯が付いた『汝、星のごとく 紀伊國屋書店特装版』が発売したらしいです。
新しいカバー(+付属品)は、本を持っていなければ即決で買いたいぐらい、魅力的でより物語を楽しめるようになっていると思った。

これから読もうと、本を買う方は
少々お値段(約500円)は上がりますが、検討してみてはいかがでしょう?


#読書記録 #小説 #本 #感想 #読書感想文


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