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中小企業や個人は、スーパーニッチが生き残る道。

Voicy No.0184 2022年7月8日放送
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大企業の真似をしても、中小企業や個人はうまくいきません。お客様のライフスタイルや好みを研究して「あなたじゃなきゃダメ」といわれるブランドを目指していきましょう。



「なぜうまくいかないか」より「うまくいく方策」を考える。

30年近く経営をやってきて、クライアントのビジネスやコテツゼミ、コテツのグループコンサルでいろいろな企業のビジネスに触れてきて、世の中の人たちが今どういうものを、どういう感覚で買うのかを研究してきました。

仕事とプライベートも一体化して趣味なのか仕事なのかわからないけれど、世の中の移ろいを見るのが、オレには日常になっているのです。

そう考えながらいろいろな方とビジネスに取り組んでいると、「うまくいくにはどうしたらいいか」「うまくいかない根本的な原因は何か」という2つの問いが浮かび上がってきます。

問題探しをしてモグラたたきをしてもしょうがないから、どうやったら上手くいくかという問いに相当量の力を使って考えているのです。

そんなとき「なぜこの企業は力があるのにうまくいかないんだろう」とか、「なぜこの人のビジネスは全然壁を突破できないのかな」という思いに苛まれることがあります。

ノウハウや法則やヒントを引っ張り出せるのが物事の真価につながることがわかるし、それを見つけ出すのがオレの仕事の価値でもあって、複数のケースを見ていると「これだ」と思うことがあります。


規模が違えば、やり方も違ってくる。

ビジネスがうまくいかない理由でかなり大きいこととして、世界的大企業のやり方をひな形にして真似ようとするから、と断言します。

この世に生まれて物心ついて、親に連れられてスーパーやコンビニ、ショッピングモールで買い物をするようになります。

テレビCMやネットで広告をバンバン出しているような企業のものを目にする機会が増えていくので、初めて体験したものが正解で標準だと思ってしまうのです。

スマホを手にしたらAppleという会社があるということが10代になるとわかってくるし、世界中でiPhoneは売っているし、ソニーのプレイステーション、任天堂のスイッチがすごく売れていることもわかってくる。

「商売とはそういうものだ」という捉え方になり、世界中を相手に何億台も売るビジネスのやり方に、消費者として触れてしまうわけ。

すると自分がビジネスをやるときに、何億人に買ってもらうやり方が標準で、それに近づけることがビジネスのレベルを上げていくことで、それを真似してやることがビジネスの近道だと思ってしまいます。

でも、小学生に一流の革靴を履かせたところで意味がありません。

年齢とか規模とか発展の状況に合わせて投入する有効なツールがあるので、発展途上国のようにインフラが整ってないところに、贅沢品だけを持ち込んでも国は豊かになりません。

上下水道の設備をつくり、電気を隅々まで通し、衛生環境を整えた上に、さまざまな嗜好品が受け入れられる土壌ができてくるわけです。

ラグジュアリーブランドは、G7プラス中国みたいな国でめちゃくちゃ売れています。先進的な生活でインフラが整って、ある程度の発展が行われている上に付加価値商品が売れるという流れができています。

自分がビジネスをやる側になったときに、ビジネス発展のスケールやブランドスケールとして「現時点ではどれぐらいのことをやっていて」という感覚がズレているのです。

インスタも渡辺直美さんやローラさんみたいに、800万人900万人のインスタグラマーを見て「頑張らなきゃ」となっています。でも、フォロワー1万~5万人ぐらいまではビジネス的にどうしようもないわけで、それより他に頑張ることがあるだろうと思います。

けれども、それしか知らないというか。
ものを見たときに階層化されていかないところが問題です。

カルビー、トヨタ、キリン、コカコーラ、アップル、グーグルのように、毎日何億人がそれに触れていると認知と露出が重要になりますが、認知と露出に限らず、大企業と同じやり方をするのは、中小企業や個人事業主には向いていません。

知名度3%で900億円

オレのクライアントで地域一番のブランドになっているスーパーがあります。そこは地方都市なので中規模都市で商圏人口が数百万人だけど、年間で900億~1000億円ぐらい売るんですが、誰も知らないと思います。

もちろん、その地域の人は知っています。地域一番店のスーパーだから30~40店舗はあって、1000億弱売っている会社の名前が数百万人にしか知られていません。すると知名度は日本の人口が1億だったとして、1%が100万人じゃないですか。

ですから、仮に300万商圏で誰もが知っているビジネスをやっていたとしても、300万人だから全国認知度が3%で1000億ぐらいを売っていて、エリア的にニッチな強さを発揮しています。


ファンの方に愛される企業になるには。

どういう方にお客様とファンになってもらいたいかを真剣に考え、それをある程度セグメントして絞り込んで、その方たちのライフスタイルとか好みとか行動様式をしっかり研究して、そういう人たちが本当に欲しくなるビジネスを展開するのがブランドです。

中小企業や個人事業では、どういう人に好かれたいのかという絞り込みと研究が、全く足りていない場合がすごく多い。他の人に興味がないのか、他の人のライフスタイルを知らないのかと思います。

1年に新規のお客様が500万人ずつ増えなければいけないビジネスをする方は、ほぼいないでしょう。

自分のビジネスやブランドのスケールに合わせて、その人たちが熱くなって愛してくれるようにファンの方の心に火をつけて、「絶対ここじゃなきゃダメだ」「あなたじゃなきゃ駄目だ」「このブランドじゃなきゃダメだ」と言われるようにしたいものです。

以上、久々野智小哲津でした。

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