【日記】銭湯

 久しぶりに、近所の駅前にある銭湯に行った。普段はその中にある食堂で、軽く飯と酒を食って帰るという流れにしているが、その日はしなかった。その日、といっても、書いている時点から言えば、今日である。最近、この日記を予約投稿で書き溜めている。公開時点では、過去になっているはずだ。むろん、自分以外でそれが関わってくる人はいないだろう。なので読んでいる時点からすると、その日ということになる。起こったことは同じだ。
 その日、本当にシンプルに入館料しか払わなかったので、安く済んだ。風呂上がりの牛乳やら食事やらすると、平気で五千円は超える。銭湯に五千円は、少しバカバカしい。
 風呂から上がって、地下に休憩処のような所があって、そこで本をいくつか読んだ。ここに書いただろうか。書いていた気がする。ジノヴィエフという、それまでは知らなかった、ロシアのほとんどドキュメンタリーな小説を書いている人。その人の、『カタストロイカ』という本を、ずいぶん前から読み進めている。半分くらい来たところで、全く進まなくなってしまったが、この本を、いつか読み終えるつもりで、図書館で借り続けている。自治体によるが、自分の地域では、図書館では期限が来たあとで、予約がなければその場でまた借りることが出来る。一度、完全に図書館に返却しなければいけない地域もあったと思う。自分の地域のようなやり方だと、良し悪しだが、自分が読み切れない期間、ずっと借りることが出来てしまう。この本は、短く見積もってもそんな風に半年間は借り続けていた。いいかげん、流し読みでもいいから、読み終えて返すべきだとやっと思い始めたので、続きを読んでいるという感じ。
 しかし、ロシアの具体的な地域の、経済の話になるので、面白おかしい語り口ではあるが、どうしても退屈してしまう。しかも、今まで、これが小説、というか一点だけ架空にしているのが「パルトグラート」という地名なのだが、実在しているものと思い込んで読んでいた。騙されたような気分だった。だが、そんな風に騙されたという経験も、最近ではないのでそれ自体で楽しくはあった。もう小説を読んで、本当のことだと思うようなことは起きない。
 小一時間本を読んで、嫁が上がって来たので、本を閉じて帰った。

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