マガジンのカバー画像

読書録

54
柳流水の読書録です。
運営しているクリエイター

#ロシア

【読書録】廣瀬純『新空位時代の政治哲学』雑感

 神保町のブックフェスの、出版社のセール品などの列の、「共和国」という出版社から買ったこの本を先ごろ読み終えたので、おおよそ二ヶ月くらいかかったことになる。最後の二十ページ、この本は正確に年代記の形式を取っていて、一ヶ月が三ページくらいなので、最後の一年間を残して、しばらく読み進めていなかったから、本当はもう少し早く読み終えていたかもしれない。
 政治の、革命の、蜂起の、市民運動のいい勉強になった

もっとみる

【読書録】アレクサンドル・ジノヴィエフ『カタストロイカ』3 半年続けた読書の散漫な雑感

 やっと読み終えることが出来たが、余りはっきりした感慨もない。前回に、騙されたと書いた通り、何というか、真剣な読書ではなかった。が、それなりに得るところもあった。

 そもそもこの本を手に取ったのは、これもここで取り扱った気がするが、西谷修という人が、本の中でこの本について触れていたことからだった。どういう文脈かというと、ロシアやソヴィエトとして括られているこの地域のこの政治体は、一般に言われてい

もっとみる

【読書録】アレクサンドル・ジノヴィエフ『カタストロイカ』 2

 あの許すべからざる侵略戦争が起きるはるか前に読み始めたのだが、読むことをサボっているうちに、社会情勢がこんなに変わってしまうとは、夢にも思わなかった。

 いずれ同じ調子で、ペレストロイカが起こった当時のことを、面白おかしく、だが「いくら誇張したように見えても、それこそが当時の現実だったのだ」調で、本当らしく語るのである。
 面白おかしいのであるが、時世が時世であるだけに、それほど無邪気にも読め

もっとみる

【読書録】アレクサンドル・ジノヴィエフ『カタストロイカ』

 西谷修『不死のワンダーランド』のなかで、共産主義国家の資本主義化運動について解説しているところで、この著者の名が出たので、あまり政治批評家の読み物みたいなものは読まないんだけれども、いい機会だと思って図書館で借りて表題の本を読んでいる。
 最初の方は、大戦後のソ連の政治情勢など知らないから、全然ついていけなかったのだが、なんとなくわかってくるとともに、そんなこと以上に、ソ連、現在ではロシアとされ

もっとみる