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【小説】電車で寝ていた男
想像でしかないが、夜の電車の中で、床に寝ていた男は、そのうち目を覚まして、歩き出したのだろう。もちろん、直接見たわけではないから、確かなことはわからない、まさか電車内にある広告とともに、暗い車庫に納車された、などということはあるまい、仮にあったとしても、十何時間もそこに生きた人間がいられるはずもないから、仮に、考えにくいことではあるが、完全な暗闇で男が目を覚ましたとしたら、大きい音を立てて、戸を
もっとみる【小説】邪馬台国の巫女はフラダンスを踊る。
邪馬台国の巫女はフラダンスを踊る。足元に割れた鏡が散らばっている。眩しい光景を映している。日が傾いて、全てが死体のように横たわる時間が訪れた。恣意的に時間はバラバラに切り裂かれた、非常口を駆け降りる神的な姿があった、集中線と深い緑色の光によって何も見えなかった。未明の光、潰れたなっちゃんの缶が大きい風に運ばれる。ブエノスアイレス時間で午前零時、日付の変わる瞬間。首の骨がかすかに折れる音がし、黄金
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