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データの‟分析”はもうやめよう。Wordpress無料プラグイン「QA Heatmap Analytics」が実現するこれからのWebマーケティング

※後編はこちら→「データはクリエイティブの武器になる。“天才”ではない私たちがクリエイティビティを発揮するたったひとつの方法

Googleアナリティクスは向こう数年のうちに終了する可能性がある──そんなお話をご存じでしょうか。

無料で使える優秀なデータ計測ツールとして、プロアマ問わず長年愛用されているGoogleアナリティクス。
しかし、近年のGoogleアナリティクス(特に2020年10月リリースの“GA4”)は……ぶっちゃけ、非常に使いづらくないですか?

まるで広大なオープンワールドゲームにチュートリアルなしで放り込まれるような手探り感、データの海で遭難しかねないおそろしさ。実際、GA4はプロでも手放しでおすすめできず、セミナーや勉強会が毎日のように開催されています。

なぜGoogleは皆に愛されるこのサービスをわざわざ使いづらくしてしまったのでしょうか?

その答えの1つには、Googleが「素人にアナリティクスを無料で提供する意味って、もうないよね?」と考えている可能性があります。

いずれ来る「アフター・Googleアナリティクス」の時代。
それは、データをただ“計測する”だけの時代の終わりを意味するかもしれません。

エンジニア経験を根底に持ちながら長年Webコンサルタントとしてアクセス解析の浸透・支援に取り組み、『無料でできる!世界一やさしいGoogle Analytics-アクセス解析-入門』の著者でもある株式会社ウェブジョブズ代表取締役・丸山耕二に、これからのWebマーケティングについて聞きました。

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丸山耕二(まるやま・こうじ)
株式会社ウェブジョブズ代表取締役。立命館大学理工学部 電気電子工学科卒業。伊藤忠テクノサイエンス株式会社(現伊藤忠テクノソリューションズ)勤務後、日本のSEOの草分け的存在であるECジャパン株式会社勤務を経て、Webコンサルタントとして独立し、現在へ。
SEO / SEM およびアクセス解析、システムからマー ケティングまでを包括的にカバーするWebコンサルティングを得意とする。日本初のウェブ運用に関する通信講座「ウェブ担当者通信」主催、著書に『無料でできる!世界一やさしいGoogle Analytics-アクセス解析-入門』など。
Twitter:@koji_maruyama


本来、データとは「発見」である

──現在、Googleアナリティクスを使った“データ分析”をプロアマ問わず多くの人が取り組んでいますが、その問題点とは何なのでしょうか?

まず大前提として、Googleアナリティクスは非常に優れたデータ計測ツールです。どのくらいアクセスされているか、どんな属性の人がいつ読んでいるのかなど、全世界のサイトを横断して個人を推測するGoogleならではのデータを見ることができ、サイト分析に役立つ素晴らしい機能を持っています。

と同時に、Googleアナリティクスは何も知らないサイト管理者を膨大なデータの海に投げ込みかねない危うさも持っているのではないかと、私は思っています。

つまり、企業のマーケ担当やアナリストではない一般ユーザーが使用するのに、Googleアナリティクスはちょっと難易度が高すぎます。
たとえば、自分のブログ記事を1本リライトするのに必要な情報は「読者がどんな風に記事を読んだか? どこまで読んで、どこで離脱したか?」ですが、Googleアナリティクスではそれがほぼわかりません。さまざまなデータから“分析”し、仮説を立てられる人でなければ使いこなすのは難しい。

これは決してGoogleアナリティクスが悪いわけでも、一般のサイト管理者のレベルが低いと言っているわけでもありません。ゲームに慣れた人ならチュートリアルを飛ばしても問題ないように、データの扱いに慣れている人ならGoogleアナリティクスを使ってより精度の高い分析を行えば良いのです。

ただ、真剣にサイトを改善したい人が、Googleアナリティクスがわからないせいで改善できない、分析が苦痛だ、という状況はなんとしても打ち破りたいと思っています。

私自身、データはすべての人の武器になると信じて、書籍を出したり、ツールを出したりしています。データとは本来、すべての人に備わっているクリエイティビティを発揮するためのスイッチなんです。

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たとえばこんな話があります。

とある居酒屋チェーンが、監視カメラの映像を眺めただけで売上を伸ばすことに成功しました。
その方法は、肘が90度の角度になっているお客さんに率先して「おかわりはいかがですか?」と声をかけること。これだけです。

お客さんがジョッキを持つとき、肘が90度の角度になっていたら、ジョッキの中身は1割も残っていない。つまりお客さんは次のドリンクを頼みたいのに、お連れの相手の会話を遮りたくないから残り少ないジョッキを手にうなずき続けている。これが監視カメラの映像からわかったのです。そして声かけを徹底した結果、お客さんの平均ドリンク杯数は1人あたり0.18杯上昇しました。


この改善に、数字を使った「データ分析」は必要ありませんでした。目の前の事象をじっと見つめ、「発見」した仮説をもとに実行しただけ。その結果を検証するときにはじめて数字を見るのです。

サイト改善も同じだと思っています。

記事のリライトに必要なのは「ユーザーが記事をどんなふうに閲覧したか?」であり、単なるアクセス数や離脱率の数字のみではありません。

もっと感覚的に「パッと見てわかる」情報をもとに仮説を立て、結果を観測し、改善を繰り返すほうがサイト改善には向いているのです。

本来、データとは観察するものであり、数値分析だけをするものではありません。データという事象を見ることでさまざまな「発見」をするのが、私たち人間の得意技です。

かのニュートンも、木からりんごが落ちる事象を見たことで万有引力のヒントを得たと言われています。彼の発見に数字は必要なく、数字は彼の仮説をあとから裏付けたに過ぎません。

データが人のインスピレーションに繋がることで、すべての人がクリエイティビティを発揮する。それが世の中をより豊かに、面白くすると、私は考えています。

Googleアナリティクスが今後なくなるかもしれない?

──なぜGoogleは、Googleアナリティクスをもっと素人向けにやさしくしたり、UI・UXの改善をしたりしないのでしょう?

極端に言うと、Googleアナリティクスはより「プロ向け」になりつつあります。

私見も入りますが、Googleは「(無駄なデータが増えるだけだし)素人にアナリティクスを無料で提供する意味って、もうないよね?」と考えている可能性があるからです。

すごく大雑把に説明すると、いまのGoogleは世界中から集まる膨大なデータを管理しており、サーバー費用などに莫大な管理コストをかけています。うまくやっているとはいえ、効率化や削減をしなければGoogleといえども経営に影響がでます。

その中で、Googleアナリティクスのデータは検索エンジンとYouTubeに準ずる超巨大データであり、ものすごくお金がかかっているはずです。しかしYouTubeなどと違い、一切の直接的な利益を生まないのです。なのにどんどん無料で使われてしまう。ですからGoogleはこのコスト削減のためにも、Googleアナリティクスを新バージョンへ移行させたいはずです。

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そもそもGoogleがアナリティクスを無料で提供する理由は「世界中のサイト傾向を把握し、ユーザーを追跡する」だったはずですが、この目的はもう達成されています。かつ最近のプライバシー問題でユーザー追跡は排除されていくので、ますますGoogleアナリティクスの役割はGoogleにとって曖昧になります。なのに未だにめちゃくちゃお金がかかっている。

上記のデータ容量の問題は、日本最大級のウェブ解析の団体アナリティクスアソシエーション(a2i)の代表で、元Googleにいらっしゃった大内範行さんも過去のコラムで指摘しています。私自身もこちらの記事で紹介しています。

そんなわけで、多くの人が使っている現行のGoogleアナリティクスはそのうちサポート終了のお知らせがきたり、過去データが強制削除される可能性が高いと私は予想しています。
実際、最近発表されたGoogleフォトの無制限バックアップの2021年6月終了など、ここ最近のGoogleは無料サービスのポリシー変更を早めています。対岸の火事じゃないんですよね。

早ければ現行Google アナリティクスはここ数年くらいでサービス終了のアナウンスが出て、新Google アナリティクス(GA4)に強制移行を促されるかも知れません。そうすると多くのデータ分析難民が生まれてしまう。

これを予想し、私たちはデータ分析の新たな受け皿となるユーザー行動分析ツール「QA Heatmap Analytics」をつくりました。

QA Heatmap Analyticsは従来の苦痛な“データ分析”からサイト管理者を解放する

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──QA Heatmap Analyticsについて簡単に教えてください。

QA Heatmap Analyticsは、私たちが開発した無料で始められるWordPressの公式プラグインです。数多くあるWordPress公式プラグインの中でも特に「ヒートマップ」※を使用してサイトの改善、ブログ記事のリライトが直感的にできるツールです。

(※)ヒートマップとは
Webサイトの各ページでユーザーがどのような行動をするのかを、わかりやすく色で表現する手法。たとえば、ページ内でのユーザーのマウスの動き、クリックした箇所、スクロールした箇所、離脱した箇所などがわかる。

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QA Heatmap Analytics ver0.9公式YouTube より

現時点のQA Heatmap Analyticsは、インストールするだけで「ユーザー行動のヒートマップ表示」「クリック数の計測」「過去24時間のセッションデータの表示」「ユーザー行動の再現動画を見る」などが基本無料でできるようになります。


──料金プランを教えてください。

計測できるURLが1つの場合は完全無料、「お友達紹介プログラム」ではお友達を紹介するごとに計測ページが3つから無制限まで増えます。最初から計測URLを無制限にしたい場合は月3,850円から始められます。

※2022年3月18日追記。Googleによる2023年7月1日ユニバーサルアナリティクス停止の公式アナウンスを受け、本記事の通り受け皿になれるよう2022年4月に大幅なプラン改定(無料の範囲拡大)を行う予定です。

※2022年5月25日追記。価格改定しています。10万PVまでは無料でつかえます。 WordPress管理画面→プラグインの新規追加からお試しください。有料オプションについて詳しくは公式サイトをご覧ください。

ヒートマップツールは世の中にたくさんありますが、それらに比べてQA Heatmap Analyticsの料金はかなりリーズナブルにしています。

しかし最も特徴的なのは、ヒートマップだけでなく録画再生などユーザー行動の可視化に重点がおかれていることです。
実際、QA Heatmap Analyticsの有料プランをご契約頂いたウェブ解析士の方から「いろいろ比較したけど、WordPressならばQA Heatmap Analytics一択だと思います」とおっしゃっていただき、一部上場企業のオウンドメディア解析でもご利用いただいています。
こういった総合的なソフトウェアは現状少ないため、ニーズにマッチしご評価いただけたのかなと思っています。


──記事のリライトなどが目的の場合、無理にGoogleアナリティクスを使わずともQA Heatmap Analyticsを見て感覚で判断しても良いのでしょうか。

そうですね。長く語ってしまいましたが、要は人がデータ分析の「作業」に時間をかけるのはクリエイティブではないという話です。

たとえば副業や趣味でブログを運営している方々や、企業のウェブ担当者にとって、忙しい日々の中でデータ分析やアクセス解析ツールの使い方について勉強する時間をつくるのは、ちょっともったいなくはないですか? 
その時間を新サービスの創出、新たなコンテンツ制作やサイトの改善実行に充てるほうが世の中は豊かになり、楽しいはずです。

優秀なデータ計測ツールは星の数ほどありますが、「計測」や「数値分析」は本来、サイト管理者の仕事ではありません。数値分析ではなく、真にユーザーを理解することで次々と新たなアイディアを発見し、実行し、失敗と成功を楽しむ。まるでRPGのレベル上げのように、皆さんなりのやり方でよりよいコンテンツを世界へ届けてほしいのです。

最後に、私たちの提供するQA Heatmap Analyticsのこだわりを1つだけ。
QA Heatmap Analyticsのコンセプトの1つに「発見を楽しむ」があります。

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少しでも日々の分析・改善を楽しんでもらえるよう、QA Heatmap AnalyticsではゲームのUXを参考にした演出を採用しています。

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QA Heatmap Analyticsはまだまだ生まれたばかりのサービスです。今後も皆さんが使うシーンを徹底的に考えて、機能拡充を行っていきます。自動で美しいレポート提供ができることや、使いやすいオートセグメンテーション、将来的にはヒートマップだけではなく行動分析ツールとしての進化を見据えて、開発を進めています。

私たちはすべての人のクリエイティビティを信じています。ですが、クリエイティビティを発揮するために全員が複雑なツールを使いこなすプロである必要はないはずです。データの可視化を得意とするQAのようなツールを活用したり、さらなるレベルアップのために多角的に分析できるプロと共創した方がより生産的だし、もっと楽しいと思います。

QA Heatmap Analyticsが皆さんの苦痛を取り除き、本来の創造力を発揮するお手伝いができればうれしいです。

※後編はこちら→「データはクリエイティブの武器になる。“天才”ではない私たちがクリエイティビティを発揮するたったひとつの方法

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QA Analyticsについてはこちらから


(インタビュー・執筆・編集 / 広瀬 唯)

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