話したらスッキリする、なんて嘘だと思う。
大切にしてきた、というよりも傷つかないために、という言い方のほうが正しいのかもしれない。自分の過去の経験を、誰かに話してしまう事。これが思っていた以上にダメージだった。
高校生の時、安易にそれを話して周りを困惑させてしまったことがある。事実を伝えた時に見えたのは、タブーを犯した人へ向けられるような引きつった表情だった。情報というのは怖い。誤解されて不特定多数の人に届くこともある。その恐怖が、後から襲ってくる。だから不用意に話すべきではないのだとそれ以来口にしてこなかった。