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安倍内閣の終わりと日朝関係

 安倍内閣が唐突な終わりを迎えた。菅官房長官をはじめとする、ネクスト安倍の動きが急速に始まっている。

 とかく、在日コリアン社会での安倍総理の評判は悪かった。在日コリアンの方との集まりでは「反アベ」の声はひときわ高く、親朝人士の集まりでは安倍総理の悪口を言っていれば盛り上がった。

「あなたもそうでしょ」という体で話しかけられるので「あ、ぼくは前の選挙自民党に入れたので」と返すと「うそっ!」ということばと共に、驚きと冷たさ混じりの目つきで見られた。

 確かに高校無償化制度除外をはじめ、在日社会にとって安倍内閣というのは不倶戴天の仇と言っていいだろう。

 自民党に投票した理由は、少し他の人と違い独特だということを断っておきたい。ぼくが個人的に訪朝団で関わった地方議員の方々の中で、ただひたすら阿りをくり返す。また、訪朝中態度の悪い旧民主党系および公明党系の方々には辟易した。一方で自民党の議員の方の態度は筋が通っていた。時に緊迫した空気となったが、現地での北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の対外文化連絡協会の職員と、ちゃんと議論が出来ていた。相いれなくともお互い主張すべきことは主張していたことに、ぼくは健全さを感じたのだ。

 しかし、在日コリアン社会が「反アベ」一色だったかというとそうでもない。特に始動当初は期待する声もいくつか聞いたのだ。

 例えば安倍内閣が成立してしばらくしてから会ったある朝鮮総聯の元職員はこう話していた。「現地でも安倍政権への期待は高いのです。民主党政権には正直期待してなかった。というのも民主党の議員さんは出身母体が色々でしょう。だから決められない。トップにリーダーシップを期待出来ないのです。その点安倍政権は強く、かつ長期政権が期待できます。朝鮮自体がトップダウンで物事を決める国であり、それが出来る指導者を好みます。ドナルド・トランプ氏然り」。

 その後、2度の米朝首脳会談が開かれ、安倍政権が歴代最長の長期政権となったのはご存知の通り。

 退陣の際に安倍総理は拉致問題の解決が出来なかったことについて「断腸の思い」と述べていたが、今回の退陣は日朝交渉の面でも痛い。次期政権はどうしても次回衆院選2021年10月までの「中継ぎ」の印象が強い。開催が疑問視されているが、オリンピックと選挙をにらんで動くことになるだろう。それと同時に拉致問題解決、日朝交渉、日朝首脳会談が出来るような人物は果たしているのか。オリンピックに金正恩委員長を招いて、日朝首脳会談。そんなシナリオも頭に浮かぶが、絵空事に終わりそうな気がする。

■ 北のHow to その75
 どの党が政権を取るかというよりも、その政権が安定しているか。リーダーがリーダーシップを発揮出来るか。日本をはじめとする世界各国の政権のその部分を北朝鮮は重視している気がします。とりあえず「反アベ」とでも言っておけばいいでしょ?というのは間違いと思います。

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