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私、メンズエステで働いてます。

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2021年5月の記事一覧

スタッフ久田の暴露 「ムカつく、ムカつく、ムカつく」

スタッフ久田の暴露 「ムカつく、ムカつく、ムカつく」

 もう疲れ切っていた。

 大阪・心斎橋にある店舗型のメンズエステの部屋を掃除しながら、久田はセラピストに対する怒りが沸々とこみ上げてくる。

(もっと、ちゃんと掃除しろ! いつも言ってるだろ!)

 しかし、いくら注意しても直してくれない。

 いや、そもそもセラピストたちは掃除が出来ない者が多いのだろう。

 セラピストが帰った後の部屋は床がオイルでベトベトだ。

 マットの上のタオルは綺麗に

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ゆあの暴露 「ツケを払う時」

ゆあの暴露 「ツケを払う時」

 ゆあは白髪こそ目立たないものの、顔のシワやゆるみは隠せず、身長はそこそこ高いものの、ガリガリの体型が余計に老けて見える43歳だ。水商売の女性のような、どこか特別な雰囲気が漂っていた。

 わざとなのか、舌足らずな喋り方に、妙に色気を出そうとしてくる目つきが少し物悲しさを感じる。

 ゆあはメンズエステの業界に入ってまだ1年くらいだ。

 はじめたきっかけは離婚して、一人で子どもを育てないといけな

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エリカの暴露 第3話 「ステマ大作戦」

エリカの暴露 第3話 「ステマ大作戦」

 エリカと萩原が事に及んだあと........

 まだ時間が余っていたので、マットの上で萩原に引っ付きながら話をしていると、

「エリカって、もっと人気出ていいと思うんだよね」

 萩原が天井を見ながらぽつりと漏らした。

「私もそう思います」

 エリカは笑顔で言い返した。

「エリカなら、都内で一番予約が取れないくらいのセラピストになれるよ」

 萩原がまじまじとエリカを見て、自信に満ちた口

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エリカの暴露 第1話 「女神」

エリカの暴露 第1話 「女神」

 セラピストはどのくらい稼いでいるのだろう?

 副業でやっている人が多く、月に1日しか出勤しない人もいれば、週に5日以上出勤する人もいる。

 だから平均月収を割り出してもあまり意味はない。

 大都市にある一般的なメンエス店では、1人施術に入ればだいたい1万円前後は稼げる。

 1日3人接客をすればおよそ3万円だ。

 コンスタントに週5日くらい出勤していれば、そこまで売れていないセラピストで

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エリカの暴露 第6話 「メンエス嬢の行きつく先」

エリカの暴露 第6話 「メンエス嬢の行きつく先」

 そして、翌日。

 萩原の心配が当たった。

 オーナーからエリカに電話がかかってきて、

「出勤前に話をしたい」

 と、カフェに呼び出された。

 エリカは逃げも隠れもせずに、そこへ向かった。

 席に着くなり、

「客と一緒に他店から人気嬢を引き抜いて、店を開こうとしてたんだって?」

 オーナーは声を荒げることはなく、むしろ落ち着いた口調だったものの、強い憤りを感じるような鋭い目つきで聞

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エリカの暴露 第5話 「自殺未遂」

エリカの暴露 第5話 「自殺未遂」

「お店を一緒に出そう」

 ある日、萩原がそんな話を持ちかけてきた。

 出会ってから1年くらい経った時だった。

 萩原の計画では他の店の人気No.1トップセラピストを引き抜いて、有名セラピストのみの店を作るというものだ。

「うん、やりたい!」

 エリカはやる気満々で答えた。

 今までに本当のトップセラピストしかいない店なんて存在しない。

 もしそんな店があったら、相場よりも高い金額を提

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エリカの暴露 第4話 「頂点」

エリカの暴露 第4話 「頂点」

 一週間後、その客はまたやって来た。

「よく会いに来てくれて嬉しいけど、お金は大変じゃない?」

 エリカは懐事情を探るために、気を使うようにして聞いた。

「あまり給料高くないから大変だけど、エリカちゃんのためなら」

 客は詰まったような声で言った。

「嬉しい。ありがとう」

 エリカはそう言って、キスできるくらいまで顔を近づけたが、相手が唇を寄せてきたところを上手く避けた。

「今日はさ

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エリカの暴露 第2話 「運命の出会い」

エリカの暴露 第2話 「運命の出会い」

 自分ほどの美貌があれば、すぐに人気になるとエリカは思っていた。

 だが、現実はそう甘くなかった。

 エリカからすれば、メンズエステで働いている女たちは綺麗でもなんでもない。

 「中の下」か良くて「中の中」だ。

 それなのに、自分よりも遥かに容姿が劣っていて、太っていて、コミュニケーション能力も低そうな女たちが本指名客を取っていた。

 メンズエステの世界にいるから、ちやほやされるような子

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◯太 大物歌手の妻に内緒の性癖丸出し㊙︎別邸メンエス遊び

◯太 大物歌手の妻に内緒の性癖丸出し㊙︎別邸メンエス遊び

 彼についてのいい噂はそこまで聞かない。

 最近も知人の彼女を略奪したとかなんとか、と週刊誌に取り上げられていた。

 本人には好感度抜群の妻がいるのにも関わらずだ。

 彼はメンエスでは、どんな客なのか。

 店のスタッフ、担当したセラピストに聞いてみた。

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ユーザー佐藤の暴露 後編 「パネマジと涙の連敗」

ユーザー佐藤の暴露 後編 「パネマジと涙の連敗」

次の日。

佐藤は予約時間の1時間前に、店の人に言われた通り電話をかけた。

「すみません。今日12時に予約をしてる佐藤ですが.....」

「確認の電話ですね。ありがとうございます。これからショートメッセージを送るので確認してください。指定の場所につきましたらまた連絡してください」

 電話を切ってからものの1分で、スマホにメッセージが届いた。

 そこには住所と予約時間が記載されており、時間ち

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ユーザー佐藤の暴露 前編 「メンエスデビュー」

ユーザー佐藤の暴露 前編 「メンエスデビュー」

 佐藤の財布には二万円しか入っていなかった。

 この二万円を見つめながら、メンズエステに行ってみようかどうか悩んでいる。

 きっかけは上司が飲み会の時に、メンズエステにハマっているということを話していたのを聞いたからだった。

 その上司曰く、風俗ではないが、良い思いが出来ることもあるという。

 さらに、風俗よりも可愛い子が多く、性格的にも危なくない子が多いと言っていた。

 メンズエステと

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明里の暴露 後編 「VS 有名ブロガー」

明里の暴露 後編 「VS 有名ブロガー」

 明里は出勤した事をツイートする為にTwitterを開いた。

 すると、AV女優のアカウントの方にダイレクトメッセージが来ているのに気付いた。

「突然すみません、これって明里さんですよね?」

 メッセージと共に、Twitterのリンクが貼られていた。

 恐る恐るリンク先に飛んでみると、そこには明里の顔が良くわかる画角のハメ撮り動画がアップされていた。

 はじめは昔のAVを誰かが流している

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明里の暴露 前編 「AV女優の内緒の副業」

明里の暴露 前編 「AV女優の内緒の副業」

 明里は金欠で悩んでいた。

 AV女優歴はもう15年になるが、熟女と言われる年齢になってからは単価も下がり、高級コールガールとしての仕事もほとんどなかった。

 そこで明里は以前出演した、客にエステをしていたら発情してしまったマッサージ嬢というシチュエーションのAVを思い出した。

 実際にそんな仕事があるとスタッフが言っていたので、調べてみると、給料が高く、なにより現金日払いが魅力的だった。

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オーナー今井の暴露 後編 「地雷客」

オーナー今井の暴露 後編 「地雷客」

 セラピストのココが、掲示板の爆サイに悪口を書き込みされていると、最近今井に相談してきた。

『ココは地雷。入ったら後悔する』

 という旨の内容が、日に何度も何度も書き込みされているというのだ。

 ありふれた内容だが、彼女を傷つけるには十分だった。

 書き込みをしたのはおそらくひとりだけ。

「匿名で書き込みできるのをいいことに、複数人に成りすましてるに違いありません」

 と、ココは言う。

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