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イギリスのお菓子vol.5「ブラックベリーとりんごのパイ包み」

vol.2で「イギリスはバターが安い」と書きましたが、

puff pastry パイシート

もお安いんです。イギリスに来た当初は「pie sheetはどこかな・・?」と思い浮かべながらスーパー店内を探し回っていたので、どうりでなかなか見つけられないわけでした。日本のものですとご丁寧にカットされたものがお上品な量で入っているだけですが、イギリスのはまるでサランラップのようにロール状に巻かれており、安いので使いたい放題!

普段の料理にも日頃から使いますが、とくに夏はわが家の庭にあるりんごとブラックベリーの収穫期なので、毎年このお手軽パイシートを使ってアップルパイをよく作ります。レシピはもっぱら日本の主婦雑誌で見つけた「(生地に)具材をのっけて四方をちょこっと折って焼くだけ」という簡単さです。

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はじめこそ分量や手順にしたがっていましたが、今となっては勝手にブラックベリーを追加したり、パイシートも日によって豪快にまるごと1本使いきったり、上にまぶす砂糖もテキトーで完全に独自レシピ、自己流になってしまいました。

りんご大好きイギリス人:りんごの種類

日本の東北地方に似た寒冷な気候をもつイギリスは、りんご栽培が盛んです。ロンドンでもわが家のように、ちょっと郊外に出ただけで庭や街路樹にまでりんごの木があるのはよく見かける光景です。

そのためイギリス人にとってりんごはとても身近な存在なようで、スーパーには驚くほどたくさんの種類が季節を問わず並んでいます。大まかに分けて、そのままでは渋みと酸味が強すぎて食べにくい「調理用(cooking)」と、くだものとしてそのまま食べられる「食用(eating)」のりんごがあります。

代表的な品種は調理用がブラムリー(Bramley)、食用がコックス(Cox)種でほかにGala, Russet(日本のナシのような色), Granny Smith(青りんご)Braeburn, Golden delicious (黄色),Fuji, Jazzといった種類があります。値段はさまざまで、いかにも今っぽいピンク色がかわいらしい、もとはオーストラリア品種だというPink Ladyがお高めですが、甘くて名前ともどもお気に入りです。

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ちなみにイギリス人はぶどう同様(日本と違って皮ごと食べられる品種なんだと思います)りんごも全体的に小ぶりなせいもあり、皮ごと丸かじりです。いちごなどほかのくだものでもそうですが、イギリス人は食器同様?(洗剤のついたお皿をすすがないという噂)くだものもあまり洗わない傾向にあり、ランチやおやつに持ってきたりんごを服のそでなどで軽くぬぐったあと、そのままかじったりします。「昔は水が貴重だった」など諸説ありますが、イギリス人は(くどい?!)「洗浄する」ことに対して無頓着、あまり気にしない人が多いのかもしれません。

りんごを使ったホームメイドのあれこれ

スーパーに通年ならんで季節感のないりんごとは違い、わが家のりんごの木は季節の移り変わりをはっきりと示してくれます。長い冬が終わり春になるとみごとな薄もも色の花を咲かせ、散った後は小さな青い実ができ、夏の食べごろになれば青いまま枝からボタボタ落ち、涼しい風がふく秋になると紅葉した実の最後のひとつまで落ちきり、冬にはついに葉っぱすらも落ちてさみしくなってしまいます。下の写真は4月のわが家のりんごの木。りんごの花なんて、こちらに来て初めて目にしました。

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そんな愛しいわが家のりんごを使って、これまでアップルパイ以外にも思いつく限りのものを作ってきました。なんせ大きな木から実が無数に落ちてくるので、情緒的な描写とは別にして、現実にはそれらをさっさと拾っておかないと茶色くくさり汚らしくなり、ついでにいうと庭の芝刈りのじゃまになるというリアルな問題が・・。

そのため、収穫時期の夏は毎年拾っては処理、拾っては・・のくり返しで大忙しです。無農薬なので芯が茶色く硬くなってたり、がコンニチハするのも当たり前で下処理にばく大な時間と手間がかかります。とはいえ、こんなことができる恵まれた環境は後にも先にももうないでしょうから、今年も必死こいて処理して加工しています。

なかでも、もっとも簡単で保存しやすいのはジャムでしょう。始めこそやれどっかのレシピを参考に、砂糖やらレモンをまぶして時間をおいてから鍋で煮たりしていたのですが、そのうちアップルパイと同じで、面倒な工程はすべてすっ飛ばすようになってしまいました。

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甘味づけは砂糖のかわりにレーズンを大量に入れ、あとはシナモンもドバドバっとふりかけ、よく吹きこぼしていた鍋ではなくレンジでひたすらチン。以上。究極の手抜きジャムです。わたしはもっぱらこのジャムをヨーグルトに入れて食べるのですが、甘味はハチミツで調整します。パンにつける場合はバターの塩気とジャムの酸味がうまく入り混じってハチミツすらつけなくても充分おいしいです。レーズンではなくブラックベリーを入れたバージョンも作りますが、別々に作って混ぜたほうが使い勝手がいいですね。

このジャムを基本にゼラチンを溶かしてゼリーにしてみたり、ローストポークやチキンにアップルソースとして添えたりといろいろ「応用」しています。それでも使いきれないので、例年は日本からきた家族のおみやげにしたりご近所さんにおすそ分けしたりしています。今年はコロナで家族が来れなかったので冷凍しておいたのですが、冬にも帰国できないこと確実なので(涙)どうしましょ。外にはまだまだ拾っておいたりんごが山積みです。

ジャムではなく、りんごそのものを欲しいといわれたお友だちからは、スライスしたりんごを乾かして作るりんごチップスを教えてもらいました。先月より早くもヒーターをつけるのが普通?のイギリス、「外じゃなくてもヒーターの上にのっけとけばパリパリになってラクだよ」ともアドバイスを頂きました。

実際私が外で干したものは乾燥が中途半端だったのか、色が茶色く退色してシナシナしていましたが、彼女の作ったものは色がくてきれいで水分も完全にとんで、カチカチになりお店で買う商品のようでした。

たくさんの人においしさをおすそ分けできるわが家のりんごの木、これからも大切に愛でていきたいと思います。

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