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【note版イギリス石器時代から現代までを学べるロンドン博物館】

イギリス全土ではなく、あくまでもロンドン限定で、昔といまをわかりやすく比較できる博物館です。こちらに来て、情報としてよく見聞きするようになりましたが、ロンドンも昔はいまの観光地としての華々しい姿とはかけ離れており、貧困がはびこる町でした。

日本でかつて公害が各地で問題になったように、産業革命が起こった19世紀のロンドンは、いまもイメージとしてある曇り空の天気というよりはむしろ、北京のようなスモッグで覆われた町(いまは知りませんが、2008年の頃は目が真っ赤に充血して痛かったです・・)として「The Smoke」という不名誉なあだ名までついていたそうです。

ロンドンという名前の由来は諸説ありますが、ローマ人が西暦43年頃にやってくるまでは名前すらなかったようです。ロンドン情報に特化したウェブサイトに寄稿しているブラウン氏によると、巷でいわれているLondiniumから派生したもの、という説はさらに別の人からの引用で前ケルト(the pre-Celtic)時代の言葉でテムズ川などを指す「広い河川」=Plowonidaからきているのでは、と述べています。

これがケルト期にLowonidonjonと変化し、Londinion→最終的にはケルト語で「ワイルド」を意味するlondだけ残ったなどの説があります(参照:Brown, Matt. “How London Got Its Name” Londonist Feb 2022.)。けれどブラウン氏も言うように、文書で残された記録がないので真相はどこにもないのかもしれません。

※以下は他媒体に掲載中の記事から転載(自著)した、過去のものです。noteには私の個人的な記録として一部割愛、再編集(くだけた文調や写真のキャプション、絵文字など)したものをお届けします。フルバージョンの原文はこちらをご参照ください(2019年2月24日執筆分)。

ロンドンと冠した名前の割には、お薦めランキングであまり見かけない、ちょっとマイナー?なロンドン博物館 Museum of London。その名のとおり、イギリスでもロンドン地域のみに特化した、紀元前から近代までの歴史を振り返る展示がされています。

古代から1660年代までの一階フロアー

一階(グランドフロアー=二階)から地下階に向かって歩みを進めると、順番にロンドンのこれまでを学べる仕組みになっています。始めは石器で出来た道具や武器、家の中の様子や台所用具など昔の生活ぶりを再現した展示が並び、途中子供向けに分かりやすく解説する為、服装も当時の格好をしたスタッフがいました。説明文など読む気が全くない子供達にとっては、こうして対面して質問を投げかけながら興味を引き出してくれるサービスは、分かりやすくていいですね。

その後イギリスではとてもよく焦点を当てられる中世の時代と、戦争、疫病、歴史的大火災が起きた1666年までが一区切りとして紹介されています。

華やかな社交時代と貧困のコントラスト

地下階は、「街の発展」を大きなテーマとして、きらびやかな装飾品やドレス、ガーデンパーティーが流行った様子などが再現され、イギリスらしいイメージとなっています。

ただ、どこの国でも通ってきた道でしょうが、1800年から1900年頃まではロンドンでも庶民の生活は相当に苦しかったようです。空腹のあまり机に突っ伏している写真や、親子でマッチ箱の内職に励んでいる写真など、家具や身なりは皆一様にボロボロ、表情も暗いものばかりです。

どちらかというと、先に述べた華やかな貴族といったイメージばかりが多いイギリスにおいて、日本の戦後を思い起こすこれらの現実を切り取った写真には驚きましたが、貧しい時代を経て豊かな今がある、というのは同じなんだな、と親近感も湧きました。

LGBTQ月間

物理的、経済的繁栄のみでなく、様々な思想の自由といったものも徐々に時間をかけて発展していきました。本来LGBTQ月間とは6月ですが、2月に同博物館を訪れたときは、ロンドンにおけるLGBTQの歴史を振り返る強化月間として、性的少数者にまつわるテーマを掘り下げていました。丁度トークツアーの時間だったので参加してみましたが、子連れですと「とても繊細で、あまり子供向きではない内容になります」と予め断りが入ったので、私だけにしました。ホームページには対象年齢10歳以上、となっていました。このときのお題は18世紀のロンドンで、ゲイの人達が集まる社交場だったモリー・ハウスについてでした。

イギリスでは当時同性愛は違法で、英文学の代表的な文豪オスカー ワイルドを含めた多くの人が逮捕され、監獄に入れられたそうです。このモリー・ハウスが摘発にあったのも想像に難くありません。同性愛が合法になったのはワイルド死後の67年後、1967年。案内役のスタッフが「そんなに昔でない事に驚きます」と、盛んに繰り返していたのが印象的でした。

子供が騒ぐので、カフェでオヤツを食べさせてから帰路につきました。こちらの博物館では、会議や各種パーティー、そして結婚式による貸切も受け付けています。

近くには迫力のセントポール大聖堂もあり、人混みに揉まれず自分のペースでゆったりと回れるので、子連れにも向いています。

Museum of London
住所: 150 London Wall London EC2Y 5HN
アクセス: 地下鉄 St Paul's 駅、Moorgate 駅、Barbican 駅より約徒歩6分
入館料: 無料
URL: https://www.museumoflondon.org.uk/museum-london

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