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イギリスで朝食を「イングリッシュ・ブレックファースト」

と言えばグルメや観光、ショッピングと楽しみは無限にありますが、なかでも宿泊先の朝食を楽しみにしている、という人は案外多いのではないでしょうか。

熱いお味噌汁に納豆、味付け海苔、焼き鮭、ひじき・・海外在住者の身としては、今こうして書き連ねているだけで垂涎ものです。特には目玉焼きに卵焼き、温泉卵だなんて、数種類用意してくれているところはテンションが最高潮に!ご飯のお代わりが止まりません。

そんな純和風の朝食も魅力的ですが、ホテルのボリューム満点ビュッフェ、といった洋食も捨てがたいかと思います。また、イギリスにはこんなものがあるんです。

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じゃじゃ〜ん!
伝統的なイギリスの朝食イングリッシュ・ブレックファーストですが、こちらの画像はイギリスつながりで仲良くなったよしくまさんと私(カリグラファー名:サリーメイ)の、記念すべき初コラボ作品なんです。

グラフィック・デザイナーで、とってもステキな似顔絵やイギリスをテーマにした絵を描くよしくまさん👇は、「働きながら旅をする」をコンセプトに⁈(かなり勝手に名付けてしまい、スミマセン)最近までイギリスにお住まいでした。

そんな高い芸術性をあわせ持つよしくまさんがなんと、今回私のカリグラフィー文字を、タイトルとしてご自身の作品に取り入れてくれました!どうやったらこんなセンスのいい仕上がりになるのか、魔術師のようなプロの手さばきで、私のつたない文字がここまで昇華されました。

ほかにもいくつかのバージョンを作ってくださったので、残りの画像と共にイギリスの朝食についてご紹介したいと思います。

ホテルの朝食:3つの典型スタイル

特に海外のホテルでは朝食のスタイルとして、セット、もしくはビュッフェのいずれにせよ、基本的に以下の3つに分類されます。

コンチネンタル・ブレックファースト:比較的シンプルで品数が少なく、正直ガッカリすることが多いのは私だけではないのでは?主にクロワッサンといったパン類(クロワッサンだとラッキー、と思ってしまう)、フルーツにシリアル、ジュースにコーヒーといったドリンク程度で、冷たいものが多いです。

アメリカン・ブレックファースト:目玉焼きにカリカリベーコン、トーストにパンケーキ、コーヒーなど、なんといってもあったかく調理されたものが必ずつき、品数も多くよりボリューミーです。

4〜5つ星といった一定ランク以上のホテルによく見られる、オムレツなどの卵料理をシェフが注文に応じて作ってくれるのは、大抵このアメリカンです。私が以前働いていたタイのホテルでは、ビュッフェ形式の朝食をまとめてABF、つまりアメリカン・ブレックファーストと呼んでいました。

イングリッシュ・ブレックファースト:その名のとおりイギリス式の伝統的な朝食で、トーストにベーコンかソーセージと目玉焼きのセット。つけ合わせはトマトのグリルにマッシュルーム、ケチャップっぽい味付けの煮豆がつき、ビュッフェ形式のこともありますが、基本的にはこれらがひとまとめにお皿に盛られたものを指します。

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イギリス式朝食の成り立ち

食にはあまりこだわりがない、おいしくない、とまことしやかにささやかれるイギリス料理ですが、真偽のほどはともかくとして、日本人にとってはツッコミどころが少々あるかな?というのは事実ではないでしょうか。

このイギリス式朝食も、トーストが薄すぎたり(イギリス人にとっては、外せないポイントのようですが)、「なんでも茹ですぎ」代表のようなベイクド・ビーンズがあったり、そしてなにより、これまたイギリスらしい、すべての料理を一緒くたに一皿にゴチャっと載せるあたりなんかが、余白を大事にし、こまごまとした料理を少しずつ、繊細に並べることに美徳を感じる日本人には、若干抵抗があったりします。

しかしそれも、もともとは日に2度しか食事を取らなかった農民のためや、第二次世界大戦中に兵士のスタミナを確保するために、毎日とるよう推奨されたりしたのが始まりと聞けば納得です。

貴族が生み出したアフタヌーン・ティー関連記事)とは異なり、イングリッシュ・ブレックファーストは庶民のための食事だったのです。

ご当地イングリッシュ・ブレックファースト

「フル」イングリッシュ・ブレックファーストとも呼ばれるこの朝食は、今では普通の家庭で毎日食べられることはあまりなく、あっても週末や祝日の特別な食事として、大抵はホテルやカフェといった外出先でとるのが一般的となりました。

この「full」の意味は、さまざまな種類の料理を盛り付けることからきており、実際上記に挙げた定番料理以外にも、豚の血が入ったブラック・プディングやハッシュド・ポテトがあったりと、各地で出される種類はそれぞれです(参照:Lemm, Elaine. “What Is a Full Breakfast in the U.K.?” The Spruce Eats 2019 August.)。

例えば、同じイギリスでも地域によってこんな違いがあります。

Full English(ロンドンなど、もっとも一般的でメジャーなタイプ):ブラック・プディング、またはソーセージ、bubble and squeakという芋とキャベツのお焼きのようなもの、 バター・トーストを指すfried bread

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Full Scottish (スコットランド式):ひとつ前の記事で紹介した、tattie=芋という意味のタティ・スコーンこと芋のスコーン、ハギス、oatcakesというオーツ麦を使ったクラッカーやパンケーキのような平なパン類

Full Irish(アイルランド式):パンの種類が、トーストではなくソーダ・ブレッド

Full Welsh(ウェールズ式):パンの種類が、Laverbreadまたはlaver cakesという、海藻のペーストをオーツ麦でくるんで揚げたもの

Full Cornish(コーンウォール式):Hog's puddingというソーセーとCornish potato cakesというパン類

と・・本当にいろいろありすぎて(上記の分類、すべて参照記事より)、イングリッシュ式以外、すべて検索しないとまったく想像がつかないものばかりでした・・!特にウェールズの海藻パン⁈に至っては、写真を見てもまったくわからないので、いつか実物を食してみたいものです。

なお、私が今まで食べたものでは、王室の避暑地としても名を馳せているワイト島と、日本からの観光客も多いコッツウォルズでの朝食がとてもよかったです。

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以上が今回のコラボ作品の、すべてとなります。人生のコラボレーションに感謝感激です!この場を借りて、改めてお礼申し上げます。こんな、よしくまさんみたいに寛容で奇特な方はほかにあまりいらっしゃらないかとは思いますが、コラボしてもいいよ、という方がいらっしゃいましたらぜひ、サポート欄のインスタかFacebookより直接ご連絡ください。むしろステキなイラストレーター、よしくまさんと、という方は、よしくまさんのページに飛んでコンタクトをしてみてください。

こちらでもフォローして頂ければ大変嬉しいです! 【Instagram】https://www.instagram.com/surreymay_calligraphy/ イギリス生活、旅、カリグラフィー